セイヤのblog

３）「尖閣諸島は我が国固有の領土である」私もそう思っている・・・

中国においての反日デモによる破壊や略奪を目の当たりにしても、日本国内は冷静さを保っているという意見が多いが、本当にそうなのだろうか？　私には多くの日本人は「領土問題」の現実味を未だ理解出来ずに、従来同様当事者性を失ったまま傍観者然としているだけの様に見受けられる。

尖閣諸島の問題は、実効支配しているのが我が国であるという部分で前２つの領土問題とは大きく異なる。日本が中国の侵略に対して明確な意思をもって自衛権を行使しようとしている状態である事が本当に遍く理解されているのだろうか？

私の懸念は簡単だ
日本人は「自国の領土を、一命を賭してでも守ろう」という覚悟を本当に共有出来るのか？という事だ。大袈裟に聞こえるかもしれないが、対話交渉でさえ其の覚悟が無ければ旨く運ぶ事は無いし、ましてや武力衝突の可能性さえ出て来た領海防衛など出来はしない。
こうした問題に関しては「誰かが知らぬ内に解決して於いてくれるもの」という意識が多くの日本人の中にあるのではなかろうか。あるいは「アメリカが何とか取り計らってくれる」と楽観してきたのではなかろうか。


同盟国として尖閣諸島内で実射訓練までしていた米国だが、日中間の領土問題に関しは「中立の立場」だ。「日米安保条約の範囲」に関して米中間で丁々発止やっているが、その条約を踏まえた日米間での取り決めでも本土以外の「島の防衛」に関し米国は同盟国の責務を負わない事になっているし、実際に歴代の米国国務長官は「積極的には関与しない」と明言してきた。少なくとも尖閣諸島自衛の為の軍事的な展開は日本独自で行わなければならず、これまでの様に米国の陰に隠れて遣り過す事は出来ない。

安全保障に関して日本が初めて国家として矢面に立って其の真価を問われているのだ。現場の保安隊員や、何れ出動の可能性もある自衛隊員は退くも進むも忠実に命じられた職務を追行してくれるだろうが、問題は、繰り返しになるが肝心の政府や国民が本当に覚悟をもって「尖閣を守ろう」と思っているのか？という事だ。「危ない思いをする位ならくれてやれ」程度の意識で事に臨むなら、現場で危険に身を晒している隊員達はたまらない。ましてや米国も、非常事態になっても自国の若者達を危険に晒してまで支援はしないだろう。


現在の尖閣諸島周辺の状況は、南シナ海でのフィリピンと中国の領海紛争と同様の様相を呈してきた。この時は２か月間の洋上での睨み合いの末にフィリピンが後退して武力衝突は回避されたが、スカボロー礁には中国軍艦が停留して完全に海上封鎖をしてしまい、フィリピンは支配水域を縮小するに至っている。
東シナ海上において日中が対峙して、国の面子を背負って「退くに退けない」状況になった時にどちらかが後退する選択肢をとれるのだろうか？

何とか避けて欲しいが、武力衝突の可能性を完全に否定出来る状態でも無い。武力衝突というと日本人は直ぐに国を挙げての「大戦」と結び付けてしまうが、現代社会で其処まで拡大する事は稀であり、実際には小さな衝突を繰り返しながら既成事実が積み重なって、同時に対話交渉も進んで行く。国境域での小さな武力衝突など中国はお手の物だ。現場では意図せぬ些細な切っ掛けでも武力行使の契機となってしまうのも歴史が物語っている。


脅かす様な事を書いて来たが、当然「断固武力行使せよ」などと言うつもりで書いて来たのでは無い。自分達が直面している事態が如何に深刻で危険な状況であるのかを、現場に居る同胞の生命にも配慮して、当事者性と覚悟をもって日本人全てが考えなければいけない時期が来ている事を認識しなければいけないという事なのだ。

現代国家間での領土紛争というのは白黒の決着がつくものでは無く、最終的には双方からの譲歩によって現状維持と小康状態を継続させ続けるというのが現実的な落とし処だが、その時に愚かで情緒的な大騒ぎをして混乱を招くのか、あらゆるものに配慮した上で冷静な判断を下せるのかは、日本国民のそうした当事者性と覚悟に掛かっているのだ。