カテゴリ:議会
5番三田地久志でございます。通告に基づきまして質問をいたします。趣意汲み取りいただき明確な答弁をお願い致します。
地消地産の推進条例の制定について
平成28年第2回定例会一般質問において、地消地産の推進条例の制定について質問をしておりますが、再度質問をさせていただきます。 わが町岩泉町は、豊かな自然と気候に恵まれ、古来より東西に人々が頻繁に行き来し、明治時代には酪農の発祥の地として、昭和30年代まではその名声を高め、畜産・酪農が中心となりけん引役となって町を形成したといっても過言ではありません。また、エネルギー源としての木炭製造においても、日本有数の産地であったことは紛れもない事実でありました。 しかしながら、昭和30年代後半から農林業従事者の高齢化や兼業化などにより、担い手が不足し、耕作放棄地などが増加していきました。また、新エネルギー源としてLPガスが普及したことで、木炭製造が衰退し、人口減少が急激に進み、集落の活力が低下していきました。 近年、本町の一次産業を取り巻く環境は、東日本大震災津波や平成28年台風第10号豪雨災害によって、さらなる担い手不足が深刻化し、大きな転換期を迎えております。 更には、全世界で蔓延し収束の兆しが見えないコロナ禍による人的・経済的疲弊も見えてきています。 過日の町長の施政方針や全員協議会で説明があった、岩泉町国土強靭化地域計画、高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画、岩泉町地域薪資源利活用調査事業などにも関連すると思われることから、やはり地消地産推進条例は必要ではないかとの思いであります。 岩泉町国土強靭化地域計画では、リスクシナリオを回避するための具体的な事業一覧に、食料等の安定供給の停滞については記述がありませんでした。 高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画では、運動・栄養・口腔等のフレイル予防などの健康教育・健康相談を実施し、若い世代からの健康づくりの取組が将来の介護予防につながると記述してあります。 岩泉町地域薪資源利活用調査事業においては、未来づくりプランの部門別振興計画により、「次世代につながる持続的な農業振興」「森林資源の価値向上による持続ある林業振興」「安定、安心な水産物を供給する水産業の振興」の3点を基本に、森林整備・活用・保全をしていくとあります。 コロナ禍では、外食が減り家庭での食事が増えており、輸入食品よりは国産品、町内産品の「食」に対する安全性や信頼性への関心が一層高まってきていると思われます。 「身近な生産者を支援し、顔の見える生産者の生産物を食卓に」という声が出てきていることも事実です。この声に応えるためにも、本町の農林水産業の振興を図るとともに、安全で安心な食を町民の食卓に提供する必要があると考えます。 町内の食品製造、販売、飲食など食にかかわる者が率先して町内農林水産物を用い、さらには、学校教育、生涯学習、福祉分野、観光産業などあらゆる場に「食育」を推し進めていくことは、自然の恵みや食に関わる多くの人に感謝して人が生命をつないできたという美しい心を思い起こすことに繋がります。 このことが、岩泉町国土強靭化地域計画における食分野の対応、高齢者福祉における介護給付費の抑制、薪資源利活用による町おこしにもつながることではないでしょうか。 食を通して「もの」と「こころ」とともに真に豊かな地域社会を創造するため、生産者と生活者の架け橋となる地消地産(地域で消費する物は地域で作る)の推進を図る必要があると考え、「地消地産の推進」のために条例を制定し、取り組む考えはないか伺います。
非認知能力について
平成30年第2回定例会において「教育環境の課題について」の一般質問をしております。要約すれば、幼児教育の課題についてでした。 今般、非認知能力と認知能力の学術論文を何本か読む機会があり、幼児期における非認知能力及びその後の非認知能力の発達について質問をさせていただきます。 論文によれば、非認知能力・認知能力は世界中で研究がなされてきているようです。 非認知能力が注目された理由は、2000年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカのジェームズ・ヘックマンさんが主張した大きくは二つのことです。 一つは、子どもの教育にお金を使うなら就学前の乳幼児期がとても効果的だということ。もう一つは、幼少期に非認知能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済的な安定につながるということです。 認知能力とは、数が分かる、字が書けるなど、IQで測れる力です。非認知能力とは、例えば、目標に向かって頑張る力、他の人とうまくかかわる力、感情をコントロールする力、考える力などです。 日本においては、2017年3月に改訂された「学習指導要領」にその内容が組み込まれ、2018年4月の保育所保育指針・幼稚園教育要領も改定されました。それまで「養護」に重きを置かれていた保育所でも「教育」を一体的に行うことになりました。新しい保育所保育方針で示された「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)」には、自立心・協同性・思考力の芽生え・豊かな感性と表現など、まさに非認知能力というべきものが含まれています。 さて、町長の施政方針においては、保育士の就労環境を改善し子育て支援を充実させるため、「こども園保育業務支援システム」を導入し、さらに妊娠期から子育て期に渡り、切れ目のない支援を行うため、「子育て世代包括支援センター」を設置するとあります。 この施策で期待することは、保育士の就労環境が改善されることで、子どもたちと向き合える時間が増え、非認知能力が高まること。子育て世代包括支援センターにおいては、子育て中の親子が相互交流を行いながら、家庭内で子どもに対するフォローが増加し、非認知能力が高まることではないかと思います。 また、非認知能力は10歳ぐらいまでに力をつけることが肝要だと文献にはありましたが、二十歳くらいまでは力をつけることが出来るようです。 その文献では、幼少期の家庭環境や非認知能力が、学歴、雇用形態、賃金といった労働市場における成果にどのような影響を与えているかを検証しています。その中で、中学時代に運動系クラブや生徒会に所属したことのある者は、賃金が高まる傾向が見られるとのことです。就業以降の人生において、認知能力や勤勉性以外に、外向性が重要であり、協調性やリーダーシップを養うとみられる特定の部活動を通じた経験が、将来の成功に関係しているとのことです。 そこで、岩泉町の人材育成のためにも「非認知能力」を身につけることを今後の教育の重点目標とすることはいかがでしょうか。 Withコロナの現在、子どもたちは人とのコミュニケーションや様々な体験を通常時に比べ経験しにくい状況となっています。非認知能力向上は幅広い経験に根差す部分も多く、今まで以上に意識的に取り組むことが必要と考えられます。 すでに始めている自治体もあることから、町でも非認知能力の向上に早急に取り組むべきと思うのですが、町長の考えを伺います。 以上で本席からの質問を終わります。 5番 三田地 久志 議員の御質問にお答えします。
まず初めに、地消地産推進条例の制定についてでありますが、「地産地消」は、食品の安全に対する意識の高まりから、地域で生産されたものを地域内で消費し、生産者の顔が見え、安全で安心な農林水産物を提供すること、また産直や加工の取組などを通じて6次産業化にもつなげていく側面をもち、県内では宮古市、奥州市、久慈市が地産地消及び食育の推進に関する条例を設けているとお聞きしております。
本町では、食育推進計画を策定し、食生活や生活習慣に取り組んでまいりましたが、食育の推進は、地域と生産者との連携や豊かな地元食材についての見直し、さらには郷土食の伝承や豊かな味覚を育み、地域の自然や文化、産業への理解を深めるためにも大変重要な取り組みでありますことから、学校給食の地場食材の利用拡大や道の駅等での農林水産物の販売を推進してきたところでもあります。
議員御提案の「地消地産」は、「地産地消」の考え方に、地域で必要なものは地域で作るという概念が加わることになりますことから、地元の消費動向を認識することで新たな産品の発掘にも繋がりますので大変意義のあるものと認識しております。 今後においては、先行する自治体の取組状況なども参考にしながら、町民との協働による条例の制定に向けた環境整備を進めてまいりたいと考えております。
次に「非認知能力」についてでありますが、IQなどで数値化される「認知能力」と違い目には見えにくく、測定できない個人の特性による能力が「非認知能力」と言われておりますが、具体的には「意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、コミュニケーション能力」などと考えており、町のこども園では、平成30年度に施行された幼保連携型認定こども園教育・保育要領に基づき、「個別の知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「心情、意欲、態度の学びに向かう力、人間性等」を重点に資質・能力の向上に取り組んでおります。
また「非認知能力」を高める時期は、乳幼児期のとりわけ3歳未満児の保育が重要であると言われておりますことから、3歳未満児の発達過程における目標を立てた個別計画を作成し対応しているところであります。
こども園保育業務支援システムの導入と子育て世代包括支援センターの設置は、町の子育て支援を拡充する上で必要な環境づくりの一環でもありますことから、保育士と子どもたちが触れ合う時間を確保するとともに、出産・育児の不安を軽減し、産み育てやすい環境づくりを目指してまいりたいと存じます。
こども園における日常の保育活動のほか、運動会や生活発表会などの行事開催に至るプロセスが「非認知能力」の向上に資するものと考えており、併せて家庭における保護者と子どもとの触れ合う子育てが大変重要であると認識しております。
今後におきましても、保護者と家庭における子育ての重要性を共有し、協力し合いながら保育士、保健師をはじめ関係機関と連携を密にして、子どもたちの成長の一助となるよう取り組んでまいります。
以上で答弁を終わります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.03.06 16:14:37
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