空のオルガン

　広島の豪雨災害から一か月。
　ですが、私としては、ご縁の深い福知山市、丹波市の豪雨災害のその後が非常に気になります。
　
　８月１６日。私は丹波の実家におりました。大雨で、警報も出たので早めに帰りましたが、翌朝のテレビで福知山に大きな被害が出ていると知り、丹波も似たような状況ではないかと心配になりました。家の裏は山です。崩れたら家が埋もれます。母にメールしてみると「普通に過ごしてる」

　２，３日経って、様子を見に行くと、あんな山際なのに無事でした。父に至っては呑気に散歩です。
　でも、数件隣には土砂が入ったり、もう少し先へ行くと家具を運び出されていたり。

　知り合いの家の１階が土砂で埋もれたと聞いて、お手伝いに行きました。
　その日と翌日との２回行きましたが、だんだんと大きなダンプが行きかうようになり、個人の車が通行の妨げになると聞いて、しばらく行かなくなりました。

　
　そうこうしてるうちにボランティアセンターが立ち上がったので、登録をして、何度かボランティアに行かせていただきました。
　個人的に知り合いの家にお手伝いに行きたい気持ちもありましたが、各自がそれをすると、被災地が車だらけになってしまいます。知り合いの家を含む、この地域のお手伝いをしようという気持ちで、その時その時ご縁のあったお宅で作業をしていきました。

　わかっていたことですが、泥が重い！大勢でやっても、なかなか進みません。
　「なかなか進まない」を、「少しずつだけど進んでいる」と言い換えて、作業しました。

　運動不足の体にはややハードでしたが、休憩時間にほかのボランティアの方々と話すのがたのしい！
　楽しいなんて言ったら、被災地の人に叱られるかもしれませんが。
　知らない者同士がチームを組んで、その日一緒に活動して、「またいつかどこかで」と別れていくのがいいです。
　私なんぞはすぐ近くですが、和歌山、浜松、佐賀、長崎、福島、青森・・・遠いところから来てくださった方がいました。団体さんもですが、個人で来られた方も。福島から夜行バスを乗り継いで来たというお兄さんも。

　何回か参加していると、再会する方もいたりします。
　静岡から、前回日帰りで、今回も日帰り、という方がいました。
「稼ぎは全部交通費さっ」なんていうおっちゃんもいました。このおっちゃんは実際休みのたびに来てくれているみたいです。関東から！

　中には、九州の人と信州の人が、「前、福島で会いましたよね？」「先週、広島で見ましたよ」「で、今回ここでまた会って」とかいう話も。

　動く人は動いてるんだなあ。
　私なんて、年に数回、数千円の電車賃で大阪行くのも結構考えるけど。

　マスコミにほとんど取り上げられなくなったのに、丹波市にボランティアが集まるのは、フェイスブックによるところが大きいみたいです。
　「緊急支援グループ　丹波豪雨災害に関するグループ」というのができていて、そこで情報を得てきてくれている人が多いようです。私はフェイスブックはしていないので、人から聞いて初めて知りました。

　昨日は、泥に浸かった田んぼとその周りの作業でしたが、いろんな生き物に遭いました。
　・カエル（長靴履いてたら小さいのは平気になりました）
　・モグラ（川に落ちて溺れかけてましたが、救助されました）
　・ザリガニ（誰かが「これ、アメリカじゃなくて二ホンザリガニや」と言ってました）
　・アオダイショウ（目の前を横切っていきました）

　そしてマムシ。言われるまで気づきませんでしたがすぐ近くに潜んでいました。危ない危ない。

　
　でも、また行きたい。経済的な余裕があれば、他の被災地にも行きたい。
　ん～、ボランティアの旅に出たいよ～。

　出会った人が素敵な人ばっかりでした。
　頭まで泥まみれになりながら側溝の泥を取り除いてくれた人。
　中腰のしんどい作業を「これでビールがうまくなるぞお」と言った人。
　破損した道具を、ありあわせの持ち物で見事に復活させた人。
　目立たないところを、きっちり仕上げる人。
　「クレームは全部こっちが受けるから、存分にやって」と送り出してくれた人。

　みんな、カッコよすぎ！

　まだまだ、ボランティアは必要です。やることはいっぱいあります。
　実際に行ってみてわかることもたくさんあります。
　筋肉隆々じゃなくてもできることがあります。
　もっともっと、大勢の人に来てほしい。

　礼文島も、ニュースに出なくなりましたが、どうなってるんでしょうか。
　それ以外にも、災害じゃなくても、私たちが気づかないところでしんどい思いをしている人がいるはず。
　直接的には何もできないけど、「思う」ことからはじめていこうと思います。