2009/12/10(木)11:52
110-7 大晦日
外の景色はスッカリ白くて、
マクドナルドハウスから病院までの徒歩5分の距離を
私と母は車で行き来した。
擢斗の調子も落ち着いていて、
静かな大晦日。
面会中は終始ずっと穏やかに過ごせた。
むしろ、普段以上に気持ち良さそうに眠る擢斗に
声を小さくして気を使う位だった。
クリスマスツリーや、飾ってあったプレゼントを
しまったせいか、ほんの少しサッパリしてみえる
空間に、『まさかお正月飾りは飾れないしね…』
と、眠ってしまった擢斗の横で、母とコソコソと
小さな声で話したりした。
擢斗は眠るのも、泣くのも、仕事だよねーとは
言えない赤ちゃんで、
スヤスヤと眠る顔は私達を本当にホッとさせてくれた。
毎日痛いことや苦しいことの繰り返しの中、
一体、どのくらいスヤスヤと眠れたんだろう。
そんな事をふと、たまに今でも考える。
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面会中は長期入院の中、
勝手に少しづつ私たち家族の中に決まり事が増えたりもしていた。
2人で面会が1時間なら、
30分づつ擢斗の顔が向いている方の席を交代して座ったし、
1人の面会の時は、擢斗の吸引と同時に向きが変わると、
ベッドの右から左へ、左から右へと椅子を持って移動。
いつも擢斗の真正面の席の取り合いだった。
自分が擢斗の後頭部を見ている時に、
ニッコリ笑ったりすると、
『笑ってる!』のパパや母の声で、
慌てて反対側の席にベッドの周りを回って
駆けつけたり、悔しがったりした。
ただ、この日は母と丸椅子を並べて
擢斗の顔側に2人並んで過ごした。
予定では、一緒にお年越しの瞬間を皆で迎える。
2人で1回目の面会は
いつもよりもずっと短く帰った。
そうじゃないと、又来るのが少し悪い気がした。
『あと又少ししたら、来るからね。
その時はもっとのんびり一緒にいようね。』
『パパがいない分婆ちゃんまだ帰らないでハウスにいるからね。』
『パパお仕事頑張ってるからね。』
『じゃあ又あとでね。』
いつもいつも面会終わりの挨拶は、
長くて、終わらない。