天使の歯

2009/12/10(木)11:52

110-7 大晦日

息子とのあゆみ(166)

外の景色はスッカリ白くて、 マクドナルドハウスから病院までの徒歩5分の距離を 私と母は車で行き来した。 擢斗の調子も落ち着いていて、 静かな大晦日。 面会中は終始ずっと穏やかに過ごせた。 むしろ、普段以上に気持ち良さそうに眠る擢斗に 声を小さくして気を使う位だった。 クリスマスツリーや、飾ってあったプレゼントを しまったせいか、ほんの少しサッパリしてみえる 空間に、『まさかお正月飾りは飾れないしね…』 と、眠ってしまった擢斗の横で、母とコソコソと 小さな声で話したりした。 擢斗は眠るのも、泣くのも、仕事だよねーとは 言えない赤ちゃんで、 スヤスヤと眠る顔は私達を本当にホッとさせてくれた。 毎日痛いことや苦しいことの繰り返しの中、 一体、どのくらいスヤスヤと眠れたんだろう。 そんな事をふと、たまに今でも考える。 ******** 面会中は長期入院の中、 勝手に少しづつ私たち家族の中に決まり事が増えたりもしていた。 2人で面会が1時間なら、 30分づつ擢斗の顔が向いている方の席を交代して座ったし、 1人の面会の時は、擢斗の吸引と同時に向きが変わると、 ベッドの右から左へ、左から右へと椅子を持って移動。 いつも擢斗の真正面の席の取り合いだった。 自分が擢斗の後頭部を見ている時に、 ニッコリ笑ったりすると、 『笑ってる!』のパパや母の声で、 慌てて反対側の席にベッドの周りを回って 駆けつけたり、悔しがったりした。 ただ、この日は母と丸椅子を並べて 擢斗の顔側に2人並んで過ごした。 予定では、一緒にお年越しの瞬間を皆で迎える。 2人で1回目の面会は いつもよりもずっと短く帰った。 そうじゃないと、又来るのが少し悪い気がした。 『あと又少ししたら、来るからね。 その時はもっとのんびり一緒にいようね。』 『パパがいない分婆ちゃんまだ帰らないでハウスにいるからね。』 『パパお仕事頑張ってるからね。』 『じゃあ又あとでね。』 いつもいつも面会終わりの挨拶は、 長くて、終わらない。

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