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日本を代表する役者で『ラストオブサムライ』にも出演した役者さんです。でも、誰も知らない。役者暦は46年で今61歳の大ベテランです。 昭和18年に生まれ、15歳で東映京都撮影所の大部屋入り。 初主演作が美空ひばり主演の『鞍馬天狗』の群集役。 その当時の日当は250円。アンパンが10円だったそうです。 そんな境遇の中、今の奥さん福本雅子さんが押しかけて結婚してしまいます。東映の独身寮を追い出されて、布団1組、茶碗1個の夫婦生活がスタートです。茶碗が無いからみかん箱をテーブルにして交代でご飯を食べたと言いますから、マジ貧乏だったようです。 そこで、始めたのが『スタント』でした。このギャラが500~1,500円。 これがスターへの入り口になります。『スタント』と言っても火がついた車を運転してとかではなく、時代劇の殺陣です。 市川右太衛門を初めとする、東映のスター達に切られること2万回。 撮影現場を渡り歩いて、1日で『斬られ役』『通行人』『忍者』『浪人』などの役を7回こなしたとのこと。 1992年、テレビ番組『徹子の部屋』に一通の手紙が着ます。 『いつも斬られてばかりいる、あの役者さんをとりあげてください。』 これが実現して『日本一無名な有名人』と言われるようになります。 デビューして43年後の2001年に映画『Red Shadow 赤影』で初の台詞がある役を獲得します。同時にNHKの『人間ドキュメント』に出演。『どこかで誰かが見ていてくれる』という本も出版されます。 さらに京都撮影所では『福本清三斬られる!』という撮影ショーまであるそうです。こうなるともう笑っちゃいます。 『ラストオブサムライ』を撮影するという報道を見たときは、『こんな、映画に出てみたいな』と思ったそうですが、何もしなかったそうです。考えてみればそうですよね、オーディションの申し込み用紙に『斬られ暦』を書くわけには行かないし、相手は世界のハリウッドですから。 これを変えたのもファンからキャスティングマネージャーに出された手紙が切っ掛けでした。それで『ラストオブサムライ』に出演。彼の役はトム・クルーズを守る護衛役。トム・クルーズと映っている時間が一番長いかもしれません。 しかし、斬られ役ばかりだったからパスポートを持っていない。ロケに行く前は家中大騒ぎだったそうです。トム・クルーズが映画祭で来日した時に『セイゾー、来るか?』と誘ってくれたので『行きます』と返答したそうです。そしたら来た招待状が『東京国際映画祭』!福本さんはてっきり『京都映画祭』だと思っていたらしく(よく考えればハリウッドの大スターが地方の映画祭になんて行くわけ無いのですが)服が無い、電車代もかかるとまた一騒動。 東京に行き会場のトム・クルーズの部屋に挨拶に行くと、もう一人髭を生やした外人が話し掛けてくる。誰かと思ったらスピルバーグ監督。 東映は退職して現在は嘱託の身だそうですが、二人の子供も独立して立派にやっているそうです。人生の終盤に見事な花を咲かせた役者人生だと思います。 ベトナムでもこんな話を聞きたいものです。 (2004.5.29) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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