ベトナムニュース

　　　８月１１日－
　＊ノンドクマン書記長は２日間に渡り北部のHai Duong省を視察し、地元の役人と経済発展について話し合った。同省は今年前半に12.5％の経済発展を達成したと報告し、書記長は賞賛の言葉を述べた。しかし経済は不安定で地元の企業には競争力が無いと述べ、更に経済発展に力を入れるよう指示した。（訳者注：12.5％などと言う数字は全くの嘘）

　＊北部は台風Kammuriの影響による大雨と強風で、山岳地帯を中心に死者８２人、行方不明者３９人の報告が来ている。各地で崖崩れが発生し、道路は寸断され、列車も乗客を乗せたまま立ち往生している。電気も電話も不通で、陸の孤島となっている。詳しい報告が入れば、死者の数は更に増えると予想される。

　＊オリンピックの開会式に出席するため北京を訪れているグエンミンチェット大統領は、式の後でラオス、モンゴル、ブラジルなどの大統領、更にアルバニア、オーストラリア、ラトビアなどの首相と会談し、幅広く友好を深めた。

　＊南部を流れるドンナイ川は、水質の汚染が甚だしい。水は濁り悪臭が鼻を突き、付近の住民は頭痛を訴える。周辺の工場が廃水を垂れ流しにするためで、政府の指示にもかかわらず状況は改善しない。（訳者注：いつものようにズン首相は、関係機関に水質汚染を無くすよう指示を出した。それを受けて天然資源環境省は、廃水を垂れ流す工場には稼働停止を命じると発表した。）

　＊今年になって政府は、外国企業に450億ドルの投資許可を発行した。去年と比べ大幅な増加である。しかし増えたのは不動産投資で、製造業への投資は減少傾向にある。外国企業がゴルフ場や行楽地を建設するのは、将来の土地の値上がりを狙ったもので、健全な投資とは言い難い。地価の異常な値上がりは、経済発展の障害になる。

　＊（訳者注：ホーチミン市の株式市場に上場しているBack Tuyet Cotton社は、従業員の給料も払えず、生産活動を停止した。実質的な倒産だが、同社の株式は額面価格の６割以上で、相変わらず売買が継続している。株式市場への影響を考慮した政府が、無価値の株券を買い取っているらしい。この企業の経理報告は全くの嘘で、過去に赤字を計上した事は無く、表面上は優良企業だった。こんな状態になっても、会社の経営陣にも経理を指導した会計事務所にも全くお咎めは無い。ベトナムでは、粉飾決算は当然の事らしい。）

　＊北部を襲った大雨による洪水で、死者は９７人、行方不明者は数十人に上ると報告されている。しかし連絡の取れない地区が多く、詳しい状況はまだ判らない。家屋や農作物への被害も非常に大きい。軍隊が出動し、被災者の救出活動が行われている。祖国戦線は全国各地で、被災者救援の募金活動を始めた。

　＊北部の山岳地帯は避暑地や観光地として人気があり、ここを訪れていた外国人観光客約２百人は、道路と鉄道の不通で移動ができなくなっていた。政府は企業が所有するヘリコプターをチャーターし、外国人観光客を安全な地域に輸送した。

　＊建設現場などでは、頻繁に労災事故が起きている。しかし企業が社会保険に加入していなかったり、労働者と労働契約を結んでいないため、正規の補償金が支払われない場合が多い。労働者は法律を知らず、いつも泣き寝入りをする事になる。

　＊ベトナムの重量挙げの選手が、北京オリンピックで銀メダルを獲得した。ベトナムがメダルを得たのは、シドニーオリンピックに次いで２度目である。

　＊政府はインフレを抑えるため、銀行の融資を抑制し公共事業への投資を控えている。これは大きな成果を上げているが、仕事が増えないために失業率は急速に上昇している。企業は受注が減り、人員整理を始めた。経済の成長率が２％下がれば、失業率は１％上がると言われる。これからは失業率の上昇が大きな問題になる。

　＊ノンドクマン書記長は関係機関に、北部の水害の救援に全力を上げるよう指示を出した。また自ら被災者のために献金し、全国民に募金を呼び掛けた。

　＊計画投資省の報告によると、ベトナムの企業は317件、２５億ドルの海外投資の計画を持っており、既に１０億ドルの投資が行われた。ラオスが最大の投資先で、カンボジア、アメリカと続く。ラオスではベトナムの企業が、発電所の建設やゴム園の開発を行っている。PetroVietnam社は、油田の開発や不動産投資などで、海外に２０件、２億２千万ドルの投資を行った。しかし外貨が不足するベトナムでは、外国投資の許可を得るのは非常に難しく、また外国への投資から本当に利益が生まれるかどうかは不明である。

　＊大雨による洪水で、３日間も立ち往生していた列車が、やっとハノイ市に到着した。疲れ切った３百人の乗客は、やっと家に帰る事ができる。洪水による死者は119人、行方不明者は４０人と報告されている。

　＊ベトナムには１千万ヘクタールの農地が有り、1400万世帯の農家が７千万枚の農地を所有している。と言う事は、農家は0,14ヘクタールの小さな農地を５枚持っている事になる。小さな農地は機械化が進まず、効率の良い作業ができない。今後は農業も外国と競争する事になるので、区画整理をして大規模農業を取り入れる必要がある。

　＊中部のQuang Nam省は、観光開発のプロジェクト３０件(270ヘクタール）に投資許可を発行したが、２０件以上のプロジェクトは投資が全く行われず、割り当てた土地は雑草の茂る荒れ地となっている。地元の政府は、一定の期間内に工事を開始しないプロジェクトは、投資許可を取り消して土地を没収すると発表した。

　＊ベトナムは、今年になって外国企業に450億ドルの投資許可を発行したが、外国企業が実際に行った投資は６０億ドルしか無い。ホーチミン市は外国投資７０億ドルに許可を出したが、実行された投資は４億ドルである。外国企業は、実際にプロジェクトを開始する段階になって、面倒な手続き、インフラの不備、住民の立ち退きなど予想もしない困難にぶつかり、実際に投資するのを躊躇してしまう。

　＊日本のお盆の時期に、ベトナムではVu Lan祭りが行われる。日本と同じく祖先を敬う祭りで、人々は紙で作った巨額のお金、家や車などを燃やし、それらが天国に居る祖先に届くようにと願う。政府と仏教協会は、資源の無駄使いだと言って止めさせようとするが、昔から続く伝統だから人々はますます高価で精巧な模造品を燃やす。

　＊日本でパシフィックコンサルタント社の贈賄が明らかになり、ベトナムの副外務大臣は記者会見を開き、政府の対応を示した。「外国政府からの援助金は有効に使われ、国家の発展に大きな貢献をしている。しかし事件が報道されたのだから、ベトナム政府は日本と連絡を取りながら、詳しく調査する予定だ」と語った。

　＊ベトナムのガソリンスタンドは、様々な違法行為をしている。流量計に細工して表示を水増しし、安いアルコールや水を混ぜて量を増やす。グエンタンズン首相は関係機関に、ガソリンスタンドの検査を頻繁に行い、違法行為には厳しい処罰を与えるよう命じた。

　＊工業団地や輸出加工区にある企業は、労働者の給料を銀行の自動支払機で払うようになった。企業は銀行と契約するだけで、労働者の同意を得ないまま銀行振り込みを行うが、田舎から出てきた労働者の多くは、銀行に入った事すら無い。彼等に取って、自動支払機で給料を受け取るのは、精神的に大きな負担である。企業は労働者に自動支払機の使用法を良く説明し、彼等の同意を得た上で自動支払いを行う事が必要である。

　＊グエンミンチェット大統領は、前に労働大臣と財務大臣を務めたHien氏に金星勲章、前に副外務大臣を務めたLoi氏にホーチミン勲章を授与した。グエンフーチョン国会議長は、人民軍、公安省、警備保障会社の指導者に、地位に応じた様々な勲章や表彰状を授与した。（訳者注：国家の指導者は、勲章や表彰状で部下の掌握を図る。高級軍人は公安省の役人になり、公安省の高級役人は警備保障会社の経営者になる。）

　＊政府は国家の福祉政策を実行する社会福祉銀行に、貧困な学生に合計３億ドルの奨学金を授与するように指示した。（訳者注：非常に良い政策だが、実際に奨学金を受け取るのは、貧困な学生ではなく役人とコネの有る学生である。）

　＊ホーチミン市のサイゴン川にPhu My橋が建設中で、大型の貨物船は建設現場を通り抜ける事ができず、大きな問題になっている。川の上流には５か所の船着き場があり、それらはコンテナ貨物の半分以上を取り扱っている。大型の貨物船がそこに到達できないと、貿易貨物の輸送は非常に難しくなる。建設業者は、政府の許可を得て工事をしているのであり、今になって建設方法を変更する事はできないと言う。）

　＊ハノイ市は合併で拡大し、市の郊外に大きな行政地区を建設した。役人がそこの役場に通うため、市は役人専用のバスを運行しているが、朝夕の通勤時を除いて乗客はほとんど居らず、満員の公共バスを尻目に空気を運んでいるだけである。（訳者注：役人は特権階級だから、庶民が乗るバスには乗らない。ベトナムの中流階級はバイクに乗り、バスに乗るのは下層階級である。彼等はバスの中で啖を吐き、子供は靴のまま座席の上で遊び、ごみは窓から外に捨てる。余りに不潔で行儀の悪い態度に、私などは耐えられない。）

　＊政府は、欠陥肥料を無くすために、全力を上げると決めた。農業省が２百のサンプルを調査した結果、８１に土や石炭殻が混ぜてあった。しかも不純物が半分近くを占める事もあった。肥料の効果が薄いのも当然である。

　＊国会の常任委員会は、会議を開いて様々な政府機関から提出された報告書を検討した。特に国営企業の民営化が議題になり、今までに3800社が民営化され、国営企業は1700社に減った。株式の売却で国家は５０億ドルの収入を得て、民営化した企業は経営効率が改善した。しかし法律が不完全で企業の資産は極端に低く評価され、民営化した後で経営者は資産を売却し、巨額の利益を上げている。公正な民営化が、ぜひ必要である。