782901 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

良さんの読書日記

良さんの読書日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

2013.10.18
XML
テーマ:本日の1冊(3684)
カテゴリ:ミステリー小説
泣き童子 三島屋変調百物語参之続宮部みゆき  、角川文庫、単行本初版2013年6月30日

<あらすじ>
 おちかは、江戸は神田三島町にある袋物問屋『三島屋』に女中として住んでいる。主人・伊兵衛の姪になる。両親は、川崎宿にある旅館『丸千』を営んでいる。
 彼女は、百物語ということで、不思議な話を集めている。『泣き童子』では六話が収められている。
 「魂取の池」。『鏡池』とい名前の池があった。空の色や景色を写すほど水がきれいだったのだ。しかし、土地の人は『魂取の池』と呼んだ。
 夫婦、許嫁など、好きあっている男女二人の姿を写すと、仲が破たんするといわれている。それを試そうと、ある許嫁同士が姿を写した。

 「くりから御殿」。長治郎が十才の時、村を山津波が襲った。仲良しだったみいちゃん、おせんちゃん、はっちゃんが死んだ。遺体は見つかっていなかった。
 長治郎は、網元の別宅『おかどさんの山御殿』で暮らすようになった。そこで、みいちゃんの夢を見ると、翌日みいちゃんの遺体があがった。おせんちゃんの夢を見るとおせんちゃんの遺体が、はっちゃんの夢を見たらはっちゃんの遺体が揚がった。
 「泣き童子」。隠居した差配人(大家)は昔、店子である大坂屋から相談を受けた。家の前に捨て子があり、自分の子どもとして育てた。三歳になって、突然、大泣きをすることがある。調べたら蓑助という職人がいるときに泣くことが分かった。そこで、しばらく長治郎が預かることにした。
 翌朝、大坂屋が押し込みに入られ、みな殺しになった。
 「小雪舞う日の怪談語り」。岡っ引きの半吉に誘われておちかは「怪談語りの会」に行った。
 <第一目の話> 父が家を建て増しした。建て増しした家ではつぎつぎと人が迷子になった。そのうちみんなそこに入らなくなった。怒った父は、ひとりで入っていった。
 <二人目の話> 村の小川にかかった橋を一人で渡るとき、転んだら必ず自分で立ち上がらなくてはならない、という戒めがあった。
 大きなおなかを抱えたお関は、橋の真ん中でこけた。起きようとした時、後から手が伸びてきた。お関は思わずその腕にすがった。
 <三人目の話> 母は千里眼をもっていた。病を見抜くのだ。しかも、病が発症する前から見えた。

 藩には郡奉行が2人いて、それぞれの派閥があった。父はどっちの派閥にいたら得か決めるため、母に、どちらかに病が宿っていないか見るよう言った。
 <半吉の話> 半吉が駆け出しの頃、重病で寝ている病人の監視をするよう親分から命じられた。病人は与之助といい、へそから下が黒くなっていた。頭のてっぺんまで黒くなったら死ぬという。
 半吉は、隣りの部屋で寝ていると、生臭い臭いに目が覚めた。寝ている与之助のそばで誰かが与之助の右腕をさすっていた。さすっていたのは骸の腕だった。
 「まぐる笛」。一太郎は6歳の時、静養のため母の遠縁の家に行った。とりわけ暑い夏に、この村に『まぐる』という怪物がでるいい伝えがあった。
 この夏、まぐるが出て村人を食べていった。大人たちが束になっても勝てなかった。そこで、一太郎の母・光恵が呼ばれた。
 「節気顔」(せっきがん)。小間物問屋の長男・春一は、どうしようもない道楽者で、勘当された。ところが、30半ばを過ぎて突然、家に帰って来た。
 春一は弟の店の物置きに住み、よく働いた。ただ、二十四節気の日には一日中出かけた。
 大雪の日、お末が家に帰ると、伯父の春一が物置から出てきた。血だらけだった。
 顔をよく見ると春一ではなかった。しかし、相手はお末の伯父であるかのように話した。

<良さんのコメント>
 本書『泣き童子』は、宮部みゆきの『三島屋変調百物語シリーズ』の第三弾になる。主人公のおちかが17歳から18歳になる。

 どの物語にも何らかの風刺があるのが最大の特徴だ。例えば『まぐる笛』で、一太郎の叔父はこう言っている。
 「まぐるサ、目に見える。火で追えるし、まぐる笛サ使ってしのげる。目に見えず正体も分からず、どうやって逃れたらいいかわからない災厄よりもましだ」
 一つ一つの物語にどのような風刺がなされているか、読者に考えさせる内容になっている。もちろん、そのヒントは、文中にほのめかせてある。


ホーム・ぺージ『推理小説を作家ごとに読む』も御覧ください。
http://bestbook.ife.coocan.jp






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.04.15 11:52:07
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.