|
カテゴリ:はい、あーんして?
私の話をしますね。
私の話を参考にして、ご自分に置き換えて聞いてみていただきたいのです。 私は歯科医師です。 なりなくてなったのか、というと違います。 高校3年の冬まで、私の将来の職業選択に歯医者、という選択肢は皆無でした。 幼い頃に大病を患い、父が医療関係で働いていたこともあり、さらには初恋の女の子の家が開業医だったこともあり、医者になりたい、とずっと思ってきました。 受験にあたって、高校卒業年には学力が不足していて医学部に行くのは難しい、と担任に言われ、 今年はリハーサル、ということで試しに歯学部を受験してみました。 それでもとうてい合格ラインの足下にも及ばないだろうから、受験と同時に一年全寮制の予備校で勉強しようと思って東京の予備校に申込金とともに願書を出していました。 ところが、どこがどう間違ったか、合格通知が舞い込んできました。どうにも信じられなくて、大学の本部にまで、何かの間違いではないでしょうか、と問い合わせました。 そのとき、辞退する、という選択肢がありました。 ところが私は、入学する、という選択肢を選びました。 学生時代には入学してしまったこと、歯医者になってからも心ならずも歯医者になってしまったことを心底後悔していました。正直言えば、つい最近まで後悔していました。 こんな話をお聞きになると、おまえは成績もよくって世間離れした夢のような次元でなにを言ってるんだ、 って怒りを感じる方がいらっしゃるのもわかります。 でもそうではなくって、医者だとか歯医者だとかどうだとかの問題ではなく、夢をあきらめた瞬間とその後の後悔については、職種の問題ではなく、感情、心、気持ちの問題だ、ということをわかっていただきたいのです。 歯医者になって今年ですでに24年、なぜ、なりたくもなかったこの職業についているのか、ということがようやくわかりました。 あるときは占い師になぜ私は歯医者なんでしょう、なんてことを聞きにいったこともありましたが、とんだ検討外れの答えがかえって来ただけでした。 この答えは、自分の中にしかありません。 なぜ、自分は、夢だった仕事とは違う仕事に就いているのだろう? あのときあきらめさえしなければ、もっと頑張っていれば・・・ そして、あるときはこんなはずじゃなかった、と現状の生活を嘆いてみたりする。 これからお話しするのあくまでも私がみつけた私の答えです。 どうか皆さんは皆さんでご自分の答えをみつけてください。 私の答えが参考になるなら参考になさってください。 私がなぜ、夢でも望みでもなかったこの職業についているのか? この仕事が、私にとってのベストだからです。 もう少し踏み込んだ答えはこうです。 この仕事が、人生を学ぶのにベストだからです。 人は仕事を通じて人生を学びます。 そもそも人生は学びの場です。 職業は、人生を学ぶための手段なのです。 だからもちろんのこと、職業に優劣なんてのはありません。 人生の大半の時間は仕事を通して、そして仕事とは人と人との関係性の中で営まれていくものです。 私は、人生を学ぶベストな教材として、歯医者、という職業を自分自身で選んでいたのです。選択肢を選んだのは最終的には私自身なのです。 世間の皆さんからはかなり敬遠される職業ですよね。 だからこそ患者さんの真の希望を察し、恐れや不安を察し、どれだけいい関係性を築くことができるだろうか、 あるいは従業員スタッフ、外部の業者さん、指導に関わってくださる先生方との関係性・・・、この難易度の高い学びには、なんともってこいの職業でしょう。 私は自分自身で自分の職業である歯医者を、「わたしも嫌い」と公言してきましたが、 いまはなんとありがたい仕事に就けたのだろう、と心から感謝できるようになりました。 そう思えるようになった瞬間から、歯医者である自分を嫌うことを止めることができました。 そして、私がこの職業から、人生について学び尽くしたとき、ほかの仕事に就くことになるでしょう。 そしてその場で新たなチャレンジが待っているんです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.07.03 08:19:16
コメント(0) | コメントを書く |