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百花繚乱

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2008年01月28日
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カテゴリ:小説A

006

光の中で少女は声を聞いた。
「夢を奏でたいか?」
渋い声だったが、少女の耳には新鮮に聞こえた。
「1年間だ。1年間、お前に夢を奏でさせてやろう」
「―――誰・・・?」
光の中で消えゆく意識と闘いながら少女は尋ねる。返答はなかった。
更なる強い光が少女を包む。

(1年間、私が夢を奏でることができるの?)

少女は純粋にうれしかった。
どれくらい、この言葉を待ったことだろうか。
しかし同時に不安にもなった。
突然の出来事への困惑もあった。

けれど少女の決意はできていた。
「夢を、奏でさせてください」
強く望んだ。
結果なんて、結末なんてどうでもよかった。

もしかしたらこのあと私は死ぬかもしれない、そんな恐怖もあった。
けれど、こんな生き方をするのだったら別に死んでもいいとさえ思えた。

少女の夢。
そえれは、たくさんの人がいて、動物たちがいる。
本で読んだみたいにたくさんの人とお話をして、笑ったり、泣いたりして。
自分のことを自分を認識してくれる、存在を確信できる、そんな世界で過ごすこと。

―――光の中、名もない小さな島の林の中で、一人の少女が消えていった。


007


雨は次第に強くなっていった。
そんな中を勇人は
「はやた、はやち、はやつ、はやつ、はやて、はやて~」
と自分の名前を四段活用で口ずさみながら、活用したら自分の名前が登場しないじゃんというどうでもいいことに残念な気持ちを芽生えさせながら目の前の250g300円の豚肉か、600g700円のお得シールつきの豚肉か、どちらが得か悩んでいた。
一人暮らしである勇人にとって、食料調達は生き残る上で重要な任務なのだ。

買い物を終えて、両手いっぱいにカップ麺が大量に入った袋をもって帰路についた。
勇人には料理はできない。
いや、不器用なだけで、ちょっと卵を割った時に卵の殻が一緒にボールに入ってしまうくらい、ちょっと不器用なだけなのだ。

「はやと、はやたー、はやてすと・・・」
と自分の名前を形容詞の規則変化させながら、家についた。
が、雨の中、勇人は玄関前で呆然と立ち尽くす。
目の前で少女が倒れていた。
髪は比較的長く、白いワンピースを着ていたりする。
全身が雨でずぶ濡れで力なく突伏せていた。

それをみて勇人は無視するほど勇人も人情薄くない。
勇人はとりあえず少女を家へ担ぎいれた。


(続)





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最終更新日  2008年01月28日 19時39分42秒
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