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百花繚乱

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2008年03月01日
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カテゴリ:小説A


023


「ん、あー、まぁ・・・転入生だ。あー、えー、なんだっけ?」
「か、河原実乃里です・・・」
「あー、そういうことだ、よろしくやってくれ」
そうやって朝のホームルームは終わり担任は早々と教室を出ていく。
あたりは一学期始まって早々に転入生ということでざわめきだしている。
「勇人、あれがお前の言っていた遠い親戚とやらか?」
隣に座っていた荻元裕一が声をかけてくる。
「勇人よ。あの子とお前には人間としての造りが恐竜とミジンコ、サメと金魚、ワシとスズメ、真新しい水洗トイレと壊れて水が出なくなって使用不可の看板が掲げられている水洗トイレなみの差があると思わないか?」
「よりによってミジンコや金魚やスズメや壊れて水が出なくなって使用不可の看板が掲げられている水洗トイレに例えられた張本人に同意を求めるのか?レベルが高いな。俺にはとても真似できねぇ」
勇人は裕一を睨みながら適当に返事をする。
勇人と裕一は中学からの友達だが、前回、勝手に学級委員に推薦されたことはまだ忘れてはいなかった。
「に、してもだ。あの子は誰なんだ?」
「だから、俺の親戚で・・・」
「この俺に嘘をつくとは、貴様もレベルが高くなったものだ。経験値を上げたようだな」
「どういうことだ?」
「これを見よ」
そう言って裕一は巻物を取り出した。
それを拡げて勇人に見せる。
「これは、なんだ?」
「これは副島家、つまりお前の家の先祖代々からの家系図だ」
「なんでそんなものをお前が持っている?」
勇人の疑問を裕一はあっさりと無視して
「この家系図によれば、河原実乃里という親戚は存在しない」
「信用できるのか」
「当たり前だ。この俺の情報に0.1%の狂いもない。」
確かに裕一の情報はよく当たるといわれている占い雑誌よりも当たっていた。
「で、なんなんだ?あの子は?」
「そ、それはだな」
どう答えようか勇人が頭を回転させているうちに一時間目開始のチャイムがなる。
「勇人、後で話を聞かせてもらおうじゃないか」
裕一は不敵な笑みで勇人を見ている。

――――こうして実乃里のスクールライフは始まった。


024


人、人、人。
周りにたくさんの人がいる。
胸が高鳴る。
心臓が破裂しそうなぐらい鼓動を打つ。
静まれ、静まれと何度も自分に言い聞かす。
それでも意に反して鼓動はどんどん速くなる。
こんなに自分以外の人がいることが、私にはうれしかった。
いままで一人だったのが嘘のように思えてくる。
それに、いま、みんなの視線は私に向いていた。
体が熱くなる。
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
多分、今頃私は顔中が真っ赤なんだろうな。
変な子に見られていないかな・・・
「ん、あー、まぁ・・・転入生だ。あー、えー、なんだっけ?」
先生がいきなり話を振ってくる。
いきなりなので焦る。
「か、河原実乃里です・・・」
「あー、そういうことだ、よろしくやってくれ」
先生に窓側の一番奥の机に座るように指示される。
はい、と答えて先生は教室から出て行った。
視線を床から上げてみる。
勇人くんがいた。
隣の子と話している。
何の話をしているんだろう。
緊張をほぐすためにそんなことに思考を回転させる。
「ねぇねぇ」
一番前の席の子が話しかけてきた。
「ひゃ、ひゃい?」
驚いて舌を噛んでしまった。痛い・・・
「あなたが勇人の親戚なの?」
「え。あ、はい。河原実乃里です・・・」
「実乃里?じゃぁ、みのりんでいい?私、一条。一条歩」
「え、あ、はい。よろしくお願いします・・・」
一条さんか。友達になれるかな?
なれたらいいな。
私が勇人以外の人間と話すのは初めてだった。
感動した。
と同時に安堵の息が漏れる。
これも勇人くんのお陰だな。
私は勇人くんを見る。


これから頑張らないと。
そう言って私は自分の席へ向かった。

――――私の学校生活はこれからなんだ。


◇◇◇


歩はおじいちゃんとの交渉に成功させた。
今日はその勇人の親戚が転入する日だ。
チャイムと同時にガラガラと扉があいて担任の先生と女の子が入ってきた。
あの子かな?
歩はそう思う。実際、彼女以外にはあり得ないのだが。
「ん、あー、まぁ・・・転入生だ。あー、えー、なんだっけ?」
「か、河原実乃里です・・・」
前で女の子が自分の名前を口にする。
河原、実乃里か・・・
歩はそんなことを呟いて彼女に目をやる。
髪が長くてさらさらしてそうだった。
そんな彼女は視線をしたにしたままだ。
堂々としていればいいのに、と思う。
歩がもう一度、彼女に視線を向けたとき、彼女の体がビクッとなった。
顔が赤いのがわかる。
耳まで顔を朱色に染めて、歩は可愛いとさえ思ってしまう。
彼女は顔をあげていた。
視線の先を辿る。
勇人がいた。
目の前の女の子が勇人を見続ける。
なんだか複雑な気持ちだった。
そんな気持ちになっているうちにホームルームは終わり、担任の先生は教室を出ていく。
歩は彼女に声をかけた。
一刻も早く友達になろうと思ったのだ。
「ねぇねぇ」
「ひゃ、ひゃい?」
驚かせちゃったかな?
歩は思ったが気を取り直して話し続ける。
「あなたが勇人の親戚なの?」
「え。あ、はい。河原実乃里です・・・」
「実乃里?じゃぁ、みのりんでいい?私、一条。一条歩」
「え、あ、はい。よろしくお願いします・・・」
純情そうな子だった。
よかった。すぐに友達になれそう。歩は内心でホッとする。
もう一度彼女を見る。
彼女はまた勇人を見ていた。
(も、もしかしてこんなに可愛い子が勇人を・・・。でもそうだよね。遠い親戚だし。今は一緒に暮らしてるんだし・・・。一緒に、暮らしてる?一つ屋根のした?)
歩は何かを妄想する。
顔が赤くなる。
まさかの強敵ライバル出現に歩は焦りを感じてしまう。
(みのりんと勇人は、ずっと一緒・・・。二人の急接近!?)
妄想がどんどん膨らんでいく。
「うー。やばいかも・・・」

――――こうして歩とみのりんは出会った。











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最終更新日  2008年03月01日 20時40分29秒
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