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百花繚乱

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2008年03月08日
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カテゴリ:小説A


027


勇人は夢の中にいた。
冷たい雪がしんしんと降り積もっていった。
もう、体の半分は雪で身動きが取れなかった。
雪はさらに降り続けた。
体の体温を奪っていく。
でも勇人はそれに抗おうとはしない。
ただ、闇のように暗い空を見上げて白い息を吐いているだけだ。
「―――いいんだ、これで・・・」
そっと呟いて前を向く。

目の前に少女がいた。
暗くて顔が見えなかった。
なにか叫んでいた。
でも、何も聞こえなかった。
少女が勇人に向って走ってきた。
雪がそれを阻んでいた。
少女は雪をかき分けて、必死にかき分けて勇人に手を伸ばしている。

勇人はそんな少女から目をそらして手を払っていた。
勇人は必死に何かを叫ぼうとした。
でも、冷え切った体から声を絞り出すことができなかった。
歯を食いしばる。

少女はそれでも勇人に手を差し伸べ続けた。
嫌な顔ひとつしないで、むしろやさしく微笑んでいた。
顔は見えないけれど、口元がほほ笑んでいた。
勇人はそんな少女を見て、気付く。
―――俺は、間違っていたのか?

勇人は少女の手を取った。
その瞬間に雪がいっせいに宙を舞い、静かに消えていった。
闇のように暗い空は青く、鳥さえも飛んでいた。
手を差し伸べていた少女の顔が隣にあった。

―――ごめん。

絞り出すように勇人は歩にいった。


◇◇◇

勇人は目を覚ました。
窓から少しだけ光が入っていた。
ゆっくりと顔を横に向けた。
目覚まし時計がある。
「ヤベッ!実乃里のヤロー、昨日の仕返しに俺をおいて行きやがったな!」
勇人はベットから跳ね起きるとすぐに制服に着替えて家を出た。
「夢なんて久しぶりに見るから・・・・」
勇人は今朝見た夢を思い出しながら、なんであんな夢を見たのか考えた。



028



絶対に起こしてやんない。
実乃里は誓った。
昨晩の出来事だった。
勇人くんの言うように私は野球のナイターを見ていた。
想像していたのと全然違っていた。
私はテレビという不思議な箱から流れる映像に見入っていた。

勇人くんがお風呂から上がったとき、私はさらに興奮して5-5の延長13回表で攻撃側が球をヒットさせたところを見ていた。
野球のルールは大体はテレビで見ていて覚えた私は走れーと叫んでいた。
そんなときに勇人くんが
「なぁ、実乃里。冷たくて甘い飲みもんがあるぞ。お前、飲むか?」
なんていうから私はお願いした。
勇人くんは私の前でコップにビンの中からドロドロした液体を注いで私に渡した。
「見てのとうり甘口だ」
勇人くんはビンのラベルの『甘口』という部分を私に見せて勇人くんは、さぁ飲めと飲むように勧めた。
私はテレビに視線を向けたまま、その液体を豪快に飲んだ。
・・・・・・まずかった。

私はその液体のあまりのまずさに目がくらくらした。
勇人くんを見ると横で大笑いしていた。
「飲めないのか?それでも人間か?」
勇人くんがそう言った。
きっと勇人くんは私がこれを飲めないから笑ってるんだ。
私だって・・・・
そういって私はコップの中身をすべて飲み干した。
口の中はドロドロした。
のどがさらに渇く。
水がほしい・・・

私はくらくらした状態で意地でもテレビを見た。
5-6でなんとかズが勝った。
でもそんなことはどうでもよかった。
水がほしい。
私は野球の試合が終わるとすぐに水を飲んだ。

水を飲んだ私は机の上のビンを見た。
『焼肉のたれ・甘口』
明日絶対に起こさない。
私はそう誓ったのだった。






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最終更新日  2008年03月08日 18時29分37秒
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