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百花繚乱

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2009年03月05日
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カテゴリ:小説A


空は繋がっている。
人を、町を、山を、海を。
朝やけ、昼空、黄昏時、夜空。
いつも、絶たれることなく、包み込んでいる。


000


夜。ようやく私は廃駅から一歩、外に踏み出す。
月明かりが優しい。星が光っている。
昔はもっと星があった。
この駅がまだ運行して、電車が通っていたもっとずっと前。
星は、数えきれないくらいにあった。
ひとつの星座さえ、見つけるのに苦労した。
けれど今は、街中が光で溢れかえっている。星は存在を隠し、より強く光っているものしか見えなくなってしまった。
「……ふぅ。」
嘆息をついて、私は一歩、一歩と外へ出る。


001


「愛だな。」
「そうか、愛なのか。」
「もちろんだ。愛がなくてどうして語ることができようか、否、語れまい。」
「その反語法強調も、愛の一環か?」
「ようやく分かってきたではないか。そうだ。杉田玄白だって愛で解体新書を訳したように、俺達も愛でみつけようじゃないか!」
そう言って健一(けんいち)は俺に肩をかけてくる。
暑苦しいからやめろと一蹴、俺はもう一度空を見上げた。
健一が望遠鏡を設置し始める。
健一は天文部、といってもまだ同好会だが、それを立ち上げるくらい星が好きな奴だった。
なにか、何万年、何百万年かかってやってくる星の光に神秘を感じるのだと、初めて健一と喋ったときに語ってくれた。
俺も少しばかり星や空には興味があった。
だからこうして、二人並んで天文同好会の活動にいそしんでいる次第である。
「フッ…見よ、宵の明星、ヴィーーーーナスだ!」
「金星、そろそろ暮れる時間だな。」
「お前にも見えるか。やはり愛があれば金星とて肉眼で見ることができる!」
いや、愛がなくても、と胸中で呟いて金星を見る。
その金星は、明るい街の中でも、堂々と光っていた。





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最終更新日  2009年03月05日 16時53分31秒
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