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百花繚乱

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2009年03月08日
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カテゴリ:小説A


002


私は空を見上げた。いつも見る、星空だった。
月は三分の二ほどは欠けていた。
私はいつもの道を歩く。
「ここも、もうすっかり変わったな…」
数年前、ここには電柱などなかった。
数年前、ここにはコンビニなどなかった。
数年前、ここには優しいおばあちゃんが経営していた駄菓子屋があった。
街は変わっていく。
たったひとり、私を残して…。
わかってたことだけど、それでも悲しい気持ちになる。
そういう気持ちになる度に、私は自分を叱咤した。

あのとき、覚悟は決まっていたはずなのに…。

空を見る。
「昔は、もっとたくさん、星があったのにな…。」
もう、何度めの夜空だろうか、そんなことをふと考えた。

―――もう何年、この空を見続けてきたのだろうか?


003


「さて、これ、何だと思う?」
「星。」
望遠鏡から俺は目を離して、健一が差し出してきたクリスマスツリーのてっぺんに飾るべき装飾品を見て答える。
「星?」
「星。」
星と答えた俺を健一が残念そうな顔をして見つめたかと思うと、健一は目を見開いて
「こんな形の星などあるかぁぁぁぁ!」
叫びだした。
だって、ねぇ…?
これ何って言われたら、星、としか答えれないじゃん…。
「じゃぁ、なんて答えればよかったんだ…?」
「誰が考えたのかわからないが、絶対にそんな形ではないのに、一般的に星型と言われている
形をしたクリスマスツリーの装飾品、略してDZI装飾品。」
「いやいや、なに、DZI装飾品って。」
「誰が考えたのかわからないが、絶対にそんな形ではないのに、一般的に星型と言われている
形をしたクリスマスツリーの装飾品。いやはや、君もまだその程度だったとは。」
あれ、なんか人間的価値が大幅にダウンした気がする。
「というわけで、咽が乾いた故、飲み物をかってくるんだ。」
「なぜに俺?」
「他に誰がいる?」
「お前。」
「愛だよ。」
「愛なのか?」
「愛なんだよ。さぁ、買ってこい。おっとコンビニに新登場のレモントマトがいい。」
そういって千円札を俺に渡す。
自分で買えよと嘆息しつつ、俺は千円札を受け取り、屋上を後にした。






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最終更新日  2009年03月08日 14時31分50秒
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