知識のない人が憶測で書くということ
アメブロにある女性の陰謀論者がいる。 この人の記事については、以前から嘘の内容が多いと思って、別の記事についての反論を書こうかと考えていたが、その前にある記事が目に留まったので、そちらについて先に書くことにする。 「数々の毒殺事件は731部隊が登戸研究所所員」https://ameblo.jp/norinori311311311/entry-12787042396.html「帝銀事件以外にも戦後多くの未解決、冤罪が疑われている毒殺事件があります。」と書きつつ、「戦後731部隊や登戸研究所はアメリカCIAの傘下機関となり捜査不可になっています。」と話を進め、「上記の毒殺事件がすべて未解決、冤罪となっているのは731部隊や登戸研究所所員が関与していたからだと思いますね。」と自身の考えを披露している。 それらの事件は「名張毒ぶどう酒事件、青酸コーラ事件、パラコート連続毒殺事件、和歌山カレーヒ素事件などです。」ということで、「これらの毒殺事件も731部隊か登戸研究所研究員が犯人だと思います。」と書いている。 名張毒ぶどう酒事件や和歌山毒入りカレー事件に至るまで、冤罪が疑われる事件や未解決の事件まで、731部隊や登戸研究所(陸軍第9技術研究所)の犯行だと言う。 これは言語道断である。 それこそ冤罪ではないか。 まったく知識のない人間が、戦時中に毒物を扱い、戦後はアメリカに協力したというだけで、731部隊や登戸研究所の関係者が戦後の事件の犯人だと言うのだ。 警察の捜査記録や司法解剖鑑定書を読んだこともない人間が薄っぺらい知識だけで憶測を書いているのに過ぎない。 例えば、帝銀事件に関して言えば、警察の捜査記録や司法解剖鑑定書は一部の書籍で引用されているが、全文が掲載されたことはない。 開示請求されたものを弁護士や研究者が読むことができる資料で、一般的には公開されていない。 ちなみに砒素(亜砒酸)は登戸研究所の所員が中国で人体実験をしたが、体外に排出されることがあり、百発百中の毒物ではないため、研究に重きを置かなかった。 731部隊や登戸研究所は終戦によって廃止された戦時中の旧日本軍の機関であり、戦後も存在し続け、CIA(中央情報局)の「傘下機関」となったという書き方もおかしいだろう。 存在しないものを存在し続けているように書いているのだがら、イルミナティが存在していると信じている妄想と同じだろう。 また、731部隊や登戸研究所の関係者らについては、CIAは関与しておらず、GHQ参謀第2部(GⅡ)である。 帝銀事件に関して言えば、真犯人は731部隊員や登戸研究所の所員ではない。 まったくの根拠なしに憶測だけで「これらの毒殺事件も731部隊か登戸研究所研究員が犯人だと思います。」と主張することこそ陰謀論である。陰謀論者はこのように憶測だけで主張してばかりなので、いつまで経っても信用するに値しない言説ばかりなのである。賢い人間は騙されない。