仁信日記

１０時半ごろ、自宅から電話があり、家内が言うには、
「Sさんの奥さんから連絡があって、Sさんが亡くなったんだって。今、実家のほうに集まっているみたいよ。」
「えﾞ～っ。なんでぇ～。」
というんで、早速、S氏の実家にTEL。
S氏は、昔１０数年前に自分が所属していたメタルバンドのドラマーで、ここ数年は年賀状のやり取りくらいで、実際に面と向かって会ったのはもう５年前くらいだから、少し疎遠かも。

電話に出た女性に、バンド名と名前を告げると、どうやら奥さんであった。
「あのう、私、ア○グ○フのIと申しますが、先ほど自宅のほうにご連絡いただきまして、なんでもSさんがお亡くなりということで、それってホンマですか？」
「ハイ、主人はがんだったんですけれど、２年ほどの闘病生活を経て、8/30、他界しました。」
「えﾞーっ、じゃぁ、ホンマなんですね？ちょっとにわかには信じられないんですけど、このたびはご愁傷様でございます。他にはなんとゆうたらええのんか、ちょっと言葉が見つからないんですけど、がんだなんて、ぜんぜん知りませんでした。」
「主人も、絶対治るつもりでいたので、元気になったら皆さんにお会いしたいと常々言っておりました。弱っている姿を人に見せとぉなかったんやと思います。」
「・・・・」
「もう、ア○グ○フの方には常々お世話になりっぱなしで、いつも主人は「最後にいいバンドができて俺は幸せやった」って申しておりました。」
「いや～、ほんまに残念でなりません。もうお通夜とかはお済みなんでしょうか？」
「S市のS斎場で明日18時からがお通夜、あさっての10時から告別式です。」
「いや～、ちょっと何とか調整して、お線香上げさせてもらおと思っとりますけど、ほかのメンバーのには連絡してもらったんですかね？」
「それが、Iさん以外には連絡ついてしませんのやわ。」
「そんなら、私が責任もって、ア○グ○フのメンバーには伝えときまっせ。」
「よろしゅうお願いします。あっ、主人の弟がお話したいゆうておりますので．．．。」

「あっ、どもIさんですか。はじめまして。Mの弟です。生前は故人がお世話になりまして。本人に成り代わりまして御礼申し上げます。」
「こちらこそはじめまして。このたびはまことにご愁傷様でございます。にわかに信じられないお話をいただきまして、もうなんといってよいのやら言葉が見つからなくって．．．。あっ、今しがた奥様からお通夜の日時をお聞きしましたので、何とかメンバーに連絡つけて、何人伺えるかはまだちょっとわかりませんが、少なくとも私は明日お伺いしたいと思っています。」
「あぁ、ありがとうございます。本人もことあるごとに、ア○グ○フ、ア○グ○フっていっておりまして、ア○グ○フが解散した後は、これで自分のバンド人生は仕舞いやって言うてたくらいですから。では、明日よろしくお願いします。他のメンバーの方への連絡のほうもよろしくお願いします。」
「えぇ、ア○グ○フの関係者には私から責任持って連絡しときます。ではっ。」


電話を切って、すぐボーカルのKM氏に連絡。
やはり、S氏死去の話は彼にとっても、衝撃であった模様。
通夜への出席については、今日の明日だから、ちょっとまだわからんなぁとのこと。

実はこのバンド、すでに11年ほど前、ギターのKA氏が亡くなっている。いろんな思いが駆け巡った。
バンドの４人中２人までが他界したことで、次に死が訪れるのは自分かKM氏の番だなぁ。11年前のKA氏死去をもって、バンドの完全復活はありえなくなったが、今回のS氏の死は再結成に与える影響もかなり大である。自分のひとつの時代が完全に過ぎ去ってしまったことを認識したように思う。


仕事中にもかかわらず、S氏のことをいろいろと思い出す。

あれは解散後だったが、ギターのKAの葬儀にも駆けつけてくれた。

もともと、変なところに頑固一徹なひとだった。
ご家族によればS氏は「弱った姿はみんなに見せられない。絶対治って、治ってからみんなに会いたい。」と言って、病気についてわれわれに明かすこともついにせず、今日に至った。
まったく、らしいよ。

自分の結婚式にも出席してもらった。
5万円も包んでもらってえらく恐縮したのを覚えている。

以前、ライブの日に、S氏持参のタムが急に悪くなって、付近の楽器屋で結構な値段のするものを現金で買っていた。当時貧乏だった私は、この金のかけ方はすごいなと思ったが、それもS氏のア○グ○フにかける思いが大きかったということだろう。



ともかく、明日の通夜には必ず行って、線香だけはあげたい。職場から直行という形になるので、S市へのルートを確認しておこうっと。