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カテゴリ:中国という国
例えば。
酔いつぶれた人間を脇に抱えてタクシーを止め、 後部座席に酩酊状態の友人を放り込んだあと自分が助手席に座ったとする。 行き先を告げ、金さえ払えれば、タクシーは目的地まで連れて行ってくれる。 それが北京という街。 地下鉄などの公共交通機関が不十分なこの都市に暮らす人間にとって、 タクシーは移動の頼みの綱であり、最も頻繁に使用する脚の一つとも言える。 実際非常にリーズナブル。10分ほど乗っても15元(1元=13円)程度、 渋滞に巻き込まれなければ30分以上乗ってたって50元はかからない。 だから先日の“白酒乾杯!”なんていうのも、 タクシーの存在がないとあり得ないお話。 東京では絶対にここまで豪快な飲み会は開けない。 これまた例えば。 新宿で飲み、酔いつぶれた同僚を支え、駅までたどり着いたとする。 しかしこの先、仲間たちの行く先はいくつにも分かれるはずである。 ある者は山の手線で渋谷、そこから東横線に乗り換え。 ある者は中央線で武蔵境まで。 ある者は小田急線で下北経由井の頭線乗り換え。 じゃあ、泥酔しているのが西武新宿線沿線居住者だったとしたら…??? 終電に合わせてサイクルする東京の夜は案外早い。 同僚を自宅まで送り届けたりなんかすると確実に自分が帰り着けなくなる。 “配達可能”なのは、そのままその家にやっかいになる覚悟があるときくらいだろう。 じゃあタクシーは?となると、人件費の高い大都市のこと、もうそれは言わずもがな。 下手すると人間関係にも軋みを生じかねない。 結局、酔っ払いの精神力だけが、彼の家路に繋がる一筋の道だ。 そんなこんなで、北京では、店で吐いている人間は見たことがあっても、 路上で吐いている人間を見たことがない。 ひとしきり落ち着いたら、車に乗せて輸送である。 ついでに同僚が一緒なら、会社が手配している同じアパートに住んでいたりするから、 車から引き摺り下ろすマンパワーもある。 つまり北京は、“豪快に飲んで、潔く玉砕したい人間にやさしい街”…である(笑)。 その意味でのタクシーの貢献度はかなり高い。 が。相変わらずレベルは低いんだよなあ、運転手の。 今日も「三里屯」と言っているのに、お前の言っている場所を知らないと言われ、 「太平洋百貨店」「雅秀市場」「工人体育場」と次々と目印を挙げても 「ちゃんと具体的に言ってくれ」でかわされ、思わず声が大きくなってしまった。 心地よいほろ酔い気分もぶっ壊しなんだよね、こういう運転手がいると。 この攻防は一体いつまで続くんだ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.07.06 09:50:28
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