2005/10/08(土)13:51
アーヴィング・バーリンと著作権
アーヴィング・バーリンは、自分の曲を守るために厳しい態度をとっていました。
彼は、初期の一部の作品以外は作詞と作曲との両方をやっていて、
そういう作品は、本などで他のソングライターの曲との混載を禁じていました。
曲集や楽譜といったものにはたいてい多くの人の曲が入っていますが、
彼は自分の曲は他の人の曲と一緒ではなく、自分の曲だけでなければ使用を認めませんでした。
バーリンの曲を掲載したければ、バーリンの曲だけで構成したものでなくてはならなかったのです。
ですから、子供向けのクリスマス・ソング集のような本にも、
バーリンの「White Christmas」は載せることができなかったというわけです。
私が持っているスタンダード曲集などの楽譜にも、バーリンの曲が載っているものは一つもありません。
歌詞も同じことで、たとえば、クリスマス・ソング集のCDについている歌詞カードには、
「White Christmas」の歌詞だけは載せることができませんでした。
バーリンの作った曲に「God Bless America」という曲がありますが、
これを本当のアメリカ国歌にしようとまで言われ、
今では自然に非公式の国歌としてアメリカの第二の国歌になっていますが、
この曲に関しては、彼の曲集以外の出版物への掲載を一切禁止しており、
おまけに、この曲の歌詞を他国語に翻訳することも禁じていました。
それは、彼にとってこの曲は意味深い曲であるということで、
アメリカについて考える上でも見逃せない重要な曲と言えるでしょう。
1989年にバーリンが亡くなり、遺族はこの禁止規定を解いたので、
現在では混載が認められるようになったということです。