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カテゴリ:日誌
孤発性の十二指腸の異所性胃粘膜には生検でよく遭遇するが,十二指腸の異所性胃粘膜と胃底腺ポリープが同時発生する例もしばしば認められる.これらの病変の発生にはWnt/β-cateninシグナル伝達系の異常が深く係わっていることをβ-cateninの遺伝子変異の検索により明らかにした論文(*)である.
![]() Duodenal gastric heterotopia 具体的には孤発性の十二指腸の異所性胃粘膜の84.2%,胃底腺ポリープとの同時発生例の93.3%に,β-catenin遺伝子のpoint mutationがあり,その多くがβ-cateninのcodon 32, 33, 37に限局したミスセンスミューテーションであることを証明している.変異部位がGSK-3βによるリン酸化部位に相当することから,β-cateninが核内に移行してアミノ酸変異が生じてTCFを介した転写活性がdriverとなって腫瘍発生に至ることの説明になろう. この研究,愛媛大学の学生さんが筆頭著者になっている点で注目した.学生時代に基礎医学教室での研究機会に触れることは,どこの大学でも試みられているが,実際に研究成果を公けの論文にして発表するまで仕上げる例はそれほど多くはないであろう.本人のモチベーションもさることながら,指導者の苦労も並大抵ではないと想像する. * Nakagawa M, Kitazawa R, Kondo T, Ninomiya K, Okita M, Haraguchi R, Kitazawa S. Duodenal gastric heterotopia, sporadic or fundic gland polyp-associated, frequently carries β-catenin mutation. Virchows Arch. 2014; 465: 253-6. ![]() WNT Signaling Pathway お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.09.28 20:46:54
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