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2020.06.16
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カテゴリ:日誌

 ブラウンのシャツとネクタイをシックに着こなした英真なおきさん。昨年6月に現役の新理事に就任されてから一年。今回のようなまさかの事態に直面されて,さぞや運営側のご苦労も多いことかと思います。英真さんの世代は,阪神淡路大震災のときの被災と休演も経験されているので,このような事態での後輩たちへのアドバイスやケアも怠りないことだと信じます。

 英真さんの最近の活躍は宙組公演『El Japón -イスパニアのサムライ-』でのドン・フェルディナンド役と『Aquavitae』の錬金術師の役が記憶に鮮やかですが,あえて私の好きな星組公演『霧深きエルベのほとり』での酒場の女主人・ヴェロニカの場面をレビューしたいと思います。主人公の水夫カール・シュナイダー(紅ゆずる)が名家の令嬢マルギット・シュラック(綺咲愛里)との結婚を諦め,彼女の幸福を一番に考えて再び水夫として再出発を期す場面です。一度は身を引いた恋とはいえ,マルギットへの溢れる愛情は行き場を失い,酒場の女主人ヴェロニカの胸に顔を埋めながら,カールがマルギットへの純粋で永遠の愛の告白をするクライマックスでした。涙にむせびながら切々と愛を語るカールと,彼を胸に抱きながらじっとその恋の熱情をマルギットにかわって静かに瞑目しながら受け止めるヴェロニカを,英真さんは観音様のように演じていました。菊田和夫さんの作品ならではの,日本人の感性に訴えかけるような繊細なドラマとして余韻が残りました。

​ ところで,話は『Aquavitae~生命の水~』(作・演出:藤井大介)に戻るのですが,英真なおきさんがなぜ錬金術師(alchemist)の役を演じているのか,ずっと疑問に感じたのでいろいろとウイスキー造りの歴史を調べてみました。金属の加工や鋳造を専門にしている古代の錬金術師が,たまたま液体蒸留用に製造した蒸留器にお酒を入れて加温・冷却抽出してできた蒸留酒に特別な風味があることを発見し,それが「不老不死の水=aquavitae」として世の中に知られるようになり,その技術を応用してウイスキーが作られるようになったとのこと。いってみれば今もウイスキー醸造に使われているシャラント式アランビック蒸留器の原器を作ったのが錬金術師であり,だからウイスキー好きの藤井先生もそれを承知のうえでウイスキー造りを象徴する存在として英真さんを「錬金術師」に据えたのだということを納得しました。随分と遠回りの調べものをしてしまいましたが,上記の歴史はもっと詳細に藤井大介先生が『Aquavitae~生命の水~』のプログラムの解説にお書きになっていたので,最初からプログラムを参照すべきでした。やっぱりお酒好きの人の知識や薀蓄には太刀打ちできません。​いつも解説の部分はすっとばして写真集のようにプログラムを眺めているだけではいけませんね。

 「再開への願い,再会への夢」がどのような形で実現されるのか,すでに具体的な準備の段階にはいっていると思います。現場の空気を誰よりも熟知する英真さんをはじめとする理事の賢明なご判断に期待します。



シャラント式アランビック蒸留器(Wikipediaより引用)

* 6月15日時点で,7月17日(金曜日)から大劇場公演の再開が発表された。変則的な形でも公演が再開されることはうれしいニュースである。劇団四季や東宝など他の劇団ともなるべく足並みを揃えてとのご判断であろう。

 





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Last updated  2020.06.16 18:56:19
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