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倫理の進化

倫理の進化

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若樹

若樹

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2012.12.31
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カテゴリ:思想
日本人として、今後の人間の生きかたを提言して行く上で、私の道徳的根幹を成している、
言わば日本人としてのアイデンティティーを挙げておきたい。
「忠臣蔵」である。

私が子供の頃の、年末スペシャルと言ったら、忠臣蔵や、白虎隊が、毎年の様に二夜連続などで、日テレで放映されていた。

K-1等、格闘技に、取って変わられる前である。

忠臣蔵も、白虎隊も、言わずと知れた、時代劇であり、武士の物語である。
私たちがかつて慣れ親しんでいた、時代劇ー水戸黄門初め、大岡越前、銭形平次、遠山の金さん、そしてフィクションでは、
必殺仕置き人などーは、いずれも、殆どが主役は侍で、弱気を助け、強き(卑怯)をくじく、と言う事をテーマに、作られて放送されて来た。

残念ながら、今はどの番組も放送されていないが、私たち昭和の世代は、こういう番組から、
自然「武士道」である、道徳精神を、染み込まれて来たのである。

中でも、「年末スペシャル」で幼い頃初めて見た、日本テレビ製作の約5時間を超えるドラマ、
「忠臣蔵」には、魂を揺さぶられる程の感動と、勇気を覚えた。

知らない方は、ネットで是非、詳しい内容を調べて頂きたい。
これは、元禄15年12月14日に起きた史実であり、恐らくは、日本の歴史の中で、最も精神の基盤とするべき実話であって、
その正道たる行動を持って、300年経った今でも、語り継がれる四十七人の侍の、生き様と、死に様である。


「忠臣蔵」に関しては、幾つも映画やドラマがあったが、この日テレのドラマ程、良い作品はない。
キャスティングから、脚本から、兎に角最高のものである。

また、特別スペシャルとして、5時間の枠を取った為に、赤穂浅野家藩主、浅野内匠頭が、吉良上野介を、殿中で切り付けるまでの様子が、詳しく書かれているし、その後、一方的な綱吉の判断によって、浅野が切腹をされ、残された赤穂の侍たち、中でも浅野家ご家老の「大石内蔵助」の、主君仇討ちまでの1年と9ヶ月の事が、つぶさに書かれている。

余りに感動した私は、何かで、彼ら内匠頭と、四十七士のお墓が泉岳寺が、東京の品川にあると聞きつけ、祖母と伯母を急き立てて、そこへ連れて行ってもらって墓参した。

帰りに、四十七士の名前全てが刻まれた、鈴のようなキーホルダーを、買ってもらって大事にしていたのを覚えている。

内匠頭は、確かに武士としては申し分ないが、一国の藩主としては、的確ではなかったと思う。
しかし、そうであったからこそ、私たちは日本史に残る神話とまで言われる勇気と武士道を見る事が出来た。

内匠頭には、藩主としての才覚はなけれど、「武士」としての自覚は強すぎる程にあった。

吉良がもっと親切で、浅野がもっと侍魂に欠いた存在であったなら、殿中、松の廊下での、刃傷事件は起こらず、内蔵助以下浅野家の侍もまた、平凡に生涯を終えたはずである。

しかし、浅野家お抱え侍約三百人のうち、四十七人が行動を起こした事によって、この史実は永遠のものとなった。
吉良を打った彼らを、切腹させるか、放免するかで、切腹を綱吉に進言した、荻生徂徠の宿願通り、彼らは切腹によって、永遠に日本の不滅の光となったのだ。

これは、余りに壮大で、余りに当然な、人間としての筋、侍としての「武士道」を通した男たちの、物語だ。

私は、今から丁度二年前、(ダックスのラブと、ビーグルのベルが置いて行かれた一月ほど前だ)ずっと心の中で勇気の源泉として来たこの物語を、どうしてもまた見たくなって、アマゾンで探してみた。

幸運な事に、12月であった為、「忠臣蔵」のDVDはお得な料金で販売されていて、二枚組みのそれを、購入した。

それから、毎年12月の14日の頃には、「忠臣蔵」を見ている。

何度見ても、感動に震えずにはいられないし、また、自分に度胸と勇気と、それを信じる強さを与えてくれるものだ。

浅野家家老内蔵助は、浅野家再興の道が残っている間は、吉良への主君の恨みを置いて、家臣とその家族の生活第一に考え、今すぐ仇討ちを、いや、城に立て篭もって篭城を、といきりたつ同士を抑え、腹のうちではどれほど吉良への怒りを秘めていたか知れないが、内匠頭の弟、大学によっての浅野家再興の道が閉ざされた時、兼ねてから同士に約束していた様に、「有志のみで、江戸にいる吉良邸へ討ち入り、主君の仇を取って」、尚且つ、

「自らの処分を将軍家に任せる」事によって、吉良の度重なる内匠頭への露骨な侮辱。それに対してとうとう刀を抜いた主君のみが即日、ある武家の「庭先」で切腹。
と言う、余りにも一方的な沙汰、
そして浅野家取り潰しと言う更なる理不尽な沙汰を下した、将軍、綱吉に自省を徹底的に、命を捨てて促すと言う、言わば将軍の正義の正不正を、人民、衆人環視の元、真実を問うと言う、
断固とした精神。

それに、感銘を覚えずにはいられないのである。
赤穂は、広島に本家を持つ、兵庫の城であるが、内匠頭が藩主として、任務についていたのは江戸で、吉良が住んでいるのも、江戸。
その江戸で、彼ら赤穂藩士が、見事討ち入りをして、吉良の首を取り、四十七士が全員揃って、内匠頭の眠る泉岳寺へ墓参、町を練り歩く中、江戸の町民は、「天晴れ、赤穂の浪人たち。」と、祭りの様に通りへ出て、主君の仇討ちをした侍たちを、喝采で送った事は、その江戸っ子の血を受け継ぐ者として、誇りである。

正に、江戸っ子の、道義精神、義理人情の現われだと、私は思う。

江戸っ子は、将軍家ではなく、赤穂藩士の味方についた。
それが綱吉を、どれほど苦しめたか、自身も、ここまで町民が味方につくとは予想していなかったと思う。

ともあれ、私たちはこの赤穂藩士の恩恵を受けている。
人間、権力者によって理不尽な事がまかり通り、それを深く考えもしない国の政治が認めて、大乱となった時、民衆は如何にして、正道を取り戻すのかを、身を持って示した訓戒である。

仇討ちと言う行為自体は殺人ではあるが、ここにはそれを超えた目的がある。
内蔵助の本当の敵は、吉良ではなくて、片手落ちの裁きを下した、将軍家そのものだったと私は思う。
将軍家と直接対決の為に、吉良の首は不可欠だった。
そしてそこには、亡き主君の無念を晴らすと言う家臣としての、「道」もあった。

市井の一人間が、公儀、或いは法律に対して、明らかにそれが道に反したものであると悟った時、人はどうするべきか?

この問い掛けは、ずっと昔からなされて来た。
私も昔、ブログ初めの頃、「一人でもやる勇気」と言うタイトルで、H・D・ソローの言葉も紹介している。
(ソローは白人で、黒人奴隷制度時代、それに反抗して、自身も「地下鉄道」と言う、人権を求めて逃亡した黒人を、
助ける組織に在籍していた)

不正が行われていて、法によって社会的弱者が公然と放置されている様な時、人はどうするべきか?

人道に反するとは思うが、法に逆らう勇気はない。
社会を敵に回すのも怖いと言って、見て見ぬ振りをするか。

或いは、「自分ではない、誰かがきっと何とかしてくれる」と、他人の行動を、ただ待つか。

それとも気がついた人間の宿命として、自らの手で、その法に立ち向かって行くか。
あなた方は、そのどれなのか。

ソローが言うには、
「徳のある人間ひとりに対して、徳の後押しをする人間が999人いる。」

これは別に、その999人が徳の良き支援者であると言っているのではない。
その999人は、正義が(一人の力によって)勝ちますようにと思いながら、一人の人間の背中に隠れてるに過ぎない、自分自身は、不正に対して、何ら犠牲を払わずに、正義が勝つように都合良く祈ってる、卑怯者に過ぎないと、言っているのである。


四十七人で、将軍家に対して過ちを突きつけた赤穂浪士の生き様を、長年に渡って子々孫々に伝え続けたこの国で、開拓、アメリカのソローと同じ悩みを、日本人の私が抱くのは、恥である。
忠臣蔵の教えを、ただ伝えるだけで、ここぞと言う時実践出来ないないならば、我々に赤穂浪士を称える資格はない。

私たちは、薄汚い商人になって、権力者と手を結んで、私腹を増やせる人ほど、賞賛して当然の事となる。

水戸黄門の、庶民に紛れた生活をしながら、庶民の暮らしや権力者の横暴を知り、勧善懲悪の単純な理論を、毎晩聞かされる道徳物語として、子供に教えて恥はないのか。。
その親に、勇気はあるのか。
自分ならば、やるべき時に、勇気を出す事が出来るのか。
嫌として、或いは人間として、範を示す事出来て、子供にその精神を教えるのか?

勇気のない者に、勇気を語る資格はない。
孔子の言った通り、単純な事実。
「言葉が行動より立派であるのは、恥である」

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本記事は、FC2ブログに一度拠点を移し、そこがオリジナルに今はなっています。
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Last updated  2012.12.31 19:00:53



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