山ボケ社へようこそ            山ボケ猫(野口いづみ)のブログ

2015/03/31(火)13:46

上州武尊―西俣沢と荒砥(あらすみ)沢ー

上州武尊、かねてから気になっていた山スキー・エリアだ。7年前の9月に一人で行ったことがあるが、牧場からのピストンだった。オグナからは初めてで、山スキーでも初めてだ。で、今回、企画にのせていただいた。 2月21日、花咲にあるせみね山荘を朝7時半に10名が3台の車に分乗して出発、OGNAほたかスキー場駐車場に15分で着。2名が加わって総勢12名となる。ここからスキー場まで歩いて数分だが、シャトルバスがちょうど来たので乗る。最上の第6リフトが9時にならないと運行されないと聞いて、レストランでお茶などを飲む。8時半前に、リフトが動いているらしいと聞いて出発する。 今日も快晴。3週続いての、“どうしちゃったの”晴天で、朝の雲量ゼロ。4台のリフトを乗り継いで9時15分頃に終点1828mに着いた。 暑くて、皆、ゴアの上着を脱いでしまう。シールを付ける。ヒロヤ・リーダーが、「なんかの部品が落ちている」と雪面からネジのようなものを拾う。私は他人事と聞き流しながら、上機嫌で写真を撮っていた。右手に瘤状の皇海山、左手に日光白根。さて、TLTのビンディングにスキー靴をはめ込もうとすると、踵がゆるゆるで、履はけない。変だなあと、かがんでみてみると、踵がぶらぶらしている。触ってみると、踵の上部構造がポロリと、とれてしまった!リーダーが拾った部品は、私のものだったのだ!そばにスプリントも落ちていたし、平べったい板状のものもはがれてきた。つまり、ビンディングのバラバラ事件。もう一つのスキー板についているビンディングを参考にして、リーダーが10分近い奮闘の末にネジをねじ込んでくれた。一時は一人で下山する姿を思い浮かべていたが、なんとか皆と出発することができた。構造的欠陥か。 9:35、出発(1828m)。北西へ、割合斜度のきつい斜面が続く。ボーダーたちが直登近いコース取りをしているようだ。私はクトーを付けていなかったので、慎重なシール使いが必要な場所があった。滑ってころんだ仲間から貰いコロビをしてしまう。10:15、約40分で前武尊(2040m)についた。 バラックの屋根の下に日本武尊の銅像があった。絶景かなと、展望を堪能しているように右手をかざしている。 確かに展望の良い、気持ちの良いピークだ。日本武尊さんが眺めている方向へ振り返れば、富士山がみえる。その左に独立峰が山容を連ねる。容貌魁偉で黒い皇海山、白い白根と燧ケ岳。2名が体調不良でここから下山。十二沢を下るとのこと。 10名はシールをつけたまま、北の稜線伝いに向こう側の鞍部までおりた。ちょっと、悪い下りだった。眼前に剣が峰がそびえていた。剣が峰は合掌造りの屋根のような形のピークで、白い屋根の片面がこちらへ切れ落ちている。 剣ヶ峰下でリーダーがピットを掘る。”コンプレッションテスト、ショルダーで20cmあたりに弱層。バープテストではスラフなし”とのことで、雪崩の危険は少ないだろうと判断された。一人ずつ、間をあけて剣が峰のトラバースに入る。北側に抜けると、次なるピークがそびえていた。家の串だ。山頂はとがっている。山頂が近づいた、急な登りで、前のNさんが前かがみになって、脚を突っ張って苦労して登っている。つい見かねて、美しい声でやさしく、「腰を伸ばして、膝を曲げてて」と、指導してしまう(あとで、この時、”罵声が飛んだ”と言う人がいたが、遺憾なことだ。) 11:25、家の串(2103m)山頂。樹氷がまばらに立っていた。 前方には武尊がまだ遠く立派な稜線を伸ばしている。ゴアを着て、シールを外す。ここでランチを取って、やや長めに休んだ。昨夜、夕食で残ったキノコ御飯で作ったおにぎりが美味だった。油を使ってキノコを炒めているので凍らないようだ。 右手、東に至仏、平ケ岳が見える。平ケ岳への稜線もトレースしたと、懐かしく眺めた。 左手、西には北アルプスが見えるとの声。なお、南の川場谷は急で危険らしい。 11:50、さて、西俣沢へ滑降だ。リーダーが、”転ぶと一人では起き上がれないかもしれないのでパディとして2人以上の組で降りるように”指示した。最初は傾斜が強い。それから、広い源頭部の斜面をそれぞれに楽しむ。 親分さんが、テレマークを決める。69歳の手習いの3年目にしては上出来と、皆でひそひそ。雪質はよく、滑りやすいが、底なしの落下感と言うパウダーではない。 標高1800mまで、300mほど下る。上からはややフラットに見える沢底まではまだ100m以上ありそうだ。沢底まで下りたい気持ちもする。西俣沢を下っていくと、武尊牧場スキー場へ行けるそうだ。以前、リーダー氏はそのツアー中にビンディングがとれてしまい、板が飛んで行ってしまったことがあるそうだ。その時は4時間かかって牧場へもどったら、車に、”すぐ沼田警察へ連絡するように”と貼紙がしてあったそうだ。ここでシールを付ける。気温が高く、風もないので、シール貼りに苦労しない。先行して10名位のボーダーグループいたが、家の串の方へ、登り返したらしい。先頭(のガイドだけ?)はスキーだったようだ。 私達は荒砥沢へ、尾根を乗り越すべく、南へ登り気味にトラバースする。しばらく行って、小尾根を乗り越して進む所が悪く、立ち止まっていると、後ろからリーダーが、「What happened?」と言ってトップに出てきた。発音が悪くて、「何かが8分」と、私達には聞こえたが・・・。 その先はリーダーが先導した。さすがのコース取りだった。家の串の東尾根を、当初は1900mあたりで乗り越す予定だったが、着いた場所は1930m位で、若干高い位置で乗り越したことになる。 12:45~13:05、そこで、シールを外して、一休み。 右上方に剣が峰と、先ほど通過した巻き道が見えた。コルから荒砥沢源頭に躍り込むボーダーの姿がみえる。 さて、13:05、私たちも荒砥沢に滑り込む。トラバース気味に右へ滑る。 調子こいて、しばらく下ると、大きなデブリが落ちてきている場所があった。ここは南面だし、やはり、暖かい陽気のせいか。クワバラ、クワバラと裾を巻く。 広い源頭部を3,400m下る。正面に白根山が見える。 13:20頃、と、急に小さな沢状の地形になった。ちょっとした振り子沢。あれだけの谷が、よくこれだけ狭い沢になるものだ。鼠のようにすべっていく。 13:30過ぎ、先行していたボーダーが沢から離れて進んでいくのが見えたが、リーダーは沢沿いに7,80m進んでしまった。 変なのではと、地図を確認してボーダーの歩いていたコースが正しいことがわかる。コースへショートカットして戻ることにする。友ちゃんが素早くシールを付けて、雄々しく斜面をラッセルして、あっという間に上に登った。 上がったところが林道だった。そこからは、ゆるやかに上下する林道をシールを付けたまま歩いて行った。 木漏れ日が注ぐ雪道。一度、休みをとる。1時間の林道歩きの末に、14:50、オグナスキー場に出た。シールをはがしてゲレンデに飛び出す。そこからセンターハウスまではあっという間だった。15:00、センターハウスに帰着した。先に戻っていた2名と合流。そこから、道路わきの広い廊下のような雪面を滑って駐車場まで降りて行った。 (平野裕也リーダー作成のGPS資料 1日目と2日目のものが載っています)

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