カメの歩みのように一歩ずつ in山形きろく

2006/09/20(水)02:09

ニッカウヰスキー仙台工場

県外ネタ(19)

山形市から約1時間弱。国道48号線を走り、関山峠を越え作並を過ぎたあたりの新川川と広瀬川の合流地点にニッカウヰスキーの仙台工場があります。 ちょっと時間があったのでいってみることにしました。 アルコールといえども、ウイスキーはほとんど飲まない私。 家にもウイスキーははりません。果たしてどのようにできるのか興味津々。 この工場は1969年にニッカウヰスキーの第二の蒸留所としてできました。 水が清らかで空気が澄んでいて、なおかつ湿度が高いこれがウイスキーの熟成には必要な条件です。 その条件にピッタリだったのは奥羽山脈を隔てた宮城県側のここだったのです。 今山形の芋煮はシーズンですが、蔵王高原産の里芋もこの湿度が高い条件にピッタリです。この気候のおかげで、粘りの強い里芋ができるんです。 昨年の取材日記はこちら。 さて、話はそれましたがここのニッカウヰスキー仙台工場は見学ができます。 ガイドさんがひととおり案内をしてくれます。 原料である麦を乾燥させピートという水草の堆積したものでスモークをします。 麦芽を粉砕し、温水を加え糖化し、酵母を加え醗酵させます。これがまさにビールで7%程度のアルコール分までにします。 その液体を2回蒸留し、ウイスキーの原液ができます。 この時点でもウイスキーの色は無色透明。ちょっとびっくりしました。 確かに蒸留したものですので、無色ですよね。 蒸留器はこんなに大きいものです。これがいわゆる単式蒸留器で、とうもろこしを主原料とするグレーンウイスキーをつくるための連続蒸留器とは違います。 アルコール度数も単式に比べ連続のほうが高くなるようです。 これらの工程でできたウイスキーの原液をあとは樽で熟成するという仕組み。 樽で熟成すると、樽の香りと色がつき、琥珀色のウイスキーとなるのです。 10年も20年も熟成させると、樽の中からウイスキーが蒸発し半分程度も減ってしまいます。 これを天使の分けぶんと呼んでいます。ちょっとロマンチックですね。 これで出来上がるのがウイスキー。樽ごとに違う味で出しているのかとおもいきや、ブレンダーによってブレンドされるのが普通。 これには衝撃をうけました。 ブレンドするのが常識のウイスキー。樽ごとに味が違うものをブレンダーによってブレンドする。 そしてグレーンウイスキーなどを混ぜることで、甘みを出したり複雑で奥行きのある味をだしたりします。 オールモルトウイスキーとは、全て麦が原料ですので、グレーンウイスキーは入っていませんが単式蒸留と連続蒸留のモルトをブレンドしたもの。 ピュアモルトウイスキーは複数の蒸留所の単式蒸留ウイスキーをブレンドしたもの。 そしてシングルモルトウイスキーは同じ蒸留所の単式蒸留ウイスキーをブレンドしたもの。 全てブレンドによってできあがっていたのです。 日本酒の概念とは全く違います。タンクごとに違うものであったりするのですが、別工場のものを混ぜてしまうとは、衝撃でした。 しかし、これが北海道の余市や仙台に工場がある所以なのでしょう。 それぞれの持ち味を生かし、いいところが引き出すことを考えるウイスキーの特長なのでしょう。 だからブレンダーという人がもっとも重要人物になるのだということを学びました。 日本酒の概念に近いシングルカルク=一つの樽のウイスキーが工場限定で販売してました。 もちろん飲みやすくブレンドしていないため、ちょっとクセがありますがこれもまたいいものです。 香りのかぎ比べをしてみました。樽熟成前のもの、5年もの、10年もの、シェリー酒を入れたことがある樽で熟成したもの、20年もの、やはり香りが違ってきて本当に面白い。 ウイスキーの面白い世界を見たような気がしました。 学ぶこと、それが興味を持ち、味の理解へとつながる、日本酒にも通じるところがありただのうんちくではなく、造りがどうか、その過程がどうか、そしてどういう結果になって飲む状態にあるのかということを伝えることが必要だということを再認識しました。 あまり興味のなかったウイスキー、時々飲んでみようと思います。

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