カテゴリ:登山
剱沢を下り源次郎尾根を目指す。朝は色温度が低く、写真は青ざてしまうのだが、それが、これからの登攀の不安感を象徴しているかのようである。 平蔵谷右手の取り付きルンゼに入る。雪質は腐っていたり凍っていたりして、かなり扱いにくい。ロープを出す時間的余裕はないので、慎重にステップをなぞる他はない。見下ろすと、なかなかの急斜面である。心の安定のためには、上を向いて登ろう。 源次郎尾根に到達し、最初のピッチの終了点から写した。前景、中景、後景と奥行きのある1枚に仕上がった。登攀者がもう少し大きく写っていれば、見応えのある作品となっていたでああろう。 確保者と登攀者をからめた1枚。確保者(左)にうんと近づくことで、遠近感を強調した。雪壁が立っているので、下から写すと距離が詰まって高度感がうまく出せない。 背景右手は剱沢、左手は八ツ峰。雪と岩に囲まれ、日本とは思えない風景である。トップで登攀しているからこそ、写せる構図である。ロープはインクノットで支点に固定しているので、やまやろうは後続を確保する必要はない(最後尾は別)。支点をすっぽ抜けないように踏みつけているだけなので、こういう撮影時間が確保できる。 登攀中のロープワークを撮影する機会は、大変少ない。通常そんな余裕はないからである。今回は作業を分担できたし、やまやろうは登攀中、常時腰にカメラを付けていたので、ちょっとした時間があれば、このように撮影できる状態であった。カメラはザックに入れるものではない。肌身離さず抱えているものである。 トレースが続くのは源次郎尾根一峰。頂上からバックステップで下り、この二峰の登攀に取りかかった。今回の山行の中でもっとも厳しい登攀であった。アドレナリン全開、気合いを入れてピッケルを氷壁に叩き込み、身体を持ち上げた。生きていることを実感できるピッチであった。 今回の山行の中で、2番目に気に入っている作品。源次郎尾根二峰の懸垂地点に向かっているところ。ナイフリッジを支点なしで進んでロープを伸ばしている。本当は中間支点を取ればよいのだろうが、スノーバーを埋めても飛び出てきそうなほど細いので、意味がないだろう。 二峰の懸垂下降。やまやろうは2度目だが、こうやって写真に撮ったのは初めてである。意外と高い。夏になれば雪がなくなり、高度差はもっと出るであろう。普通は45メートルロープいっぱいで着地する。 最後の力を振り絞り、剱岳の山頂に達する。雪に埋まっているのは祠である。周辺は雲に包まれていたが、やまやろうの写真だけは、一部青空が写った。自分の写真は今回とても少ないので、貴重な1枚。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/05/18 11:57:44 PM
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