親父の背中
お父さん、 あなたの背中の大きさに気付いたのは、 子を持つ親になってから・・・ ほんと何にも親孝行できなかったよね! ごめんね! 僕もあなたのような大きな背中に少しでも近づけるように 今日は頑張って走ります! 遠い空の上から見ていて下さい 本当にあなたの息子で良かったです! ありがとう去年の愛媛マラソンの時地元のテレビ局が生中継してくれてるんだけどその中で『ランナーから大切な人へのメッセージ今、伝えたい 8000の想い』というランナーからのメッセージを読んでくれるのがあるそこで読まれた父へのメッセージ本当に父の背中は大きかった!大きすぎて、越せなくて、届かなくて・・・父は中学しか出てないただの職人仕事柄一年のほとんどが出張で出張の無い時も『麻雀』をしに行くので家にいたのを見た覚えが無いくらい職人なので力が強く、気が短いほとんど家にいないのに子供の頃よく殴られたのを覚えてるとにかく怖い父だったそんな怖い父の涙を始めて見たのが母が死んだ時その時の様子は40年以上経った今でも鮮明に覚えてる母が亡くなって父は大好きだった『麻雀』を一切辞めた母が亡くなって2年が経って父は再婚した俺の為に・・・再婚した母と俺の仲が悪いのは知ってたと思う父も辛かっただろうな・・・弟が出来妹が出来た「俺の居場は無い!」と勝手に思い込んでた俺も子供だったんだよないつまでも・・・高校を卒業したら絶対に家を出ようとして大学に行く事にした父に話すと「行って来い!」と言ってくれたでも、勉強などしない俺にいける大学はとてつもなくお金のかかる3流大学しかなかったでも、父は黙って行かせてくれた20年以上勤めた会社を辞めて・・・お金のため、俺の為に・・・安定した会社勤めではなく一人で仕事を請けるようにした俺はこれが父の寿命を縮めたと思ってるそんなにまでして行かせた大学を俺は2年で辞めた父がどんな思いで会社を辞めたかそんな事など考えもせず・・・5年間福岡で遊んだ「いい加減帰って来い!」と言われ愛媛に帰って来た仕事も無いので父の仕事を手伝ったこの時、父の職人としての腕の凄さを目の当たりにしたその職人の世界では父の名は有名だった全く知らなかった!その後、父は世界各地にその技術を教えに周ったのだそんな父との仕事も俺は2年で辞めた父も俺が後を継いでくれると思ってたと思うしそれで安心したと思うでも、それを俺はまた裏切った父は何も言わなかった・・・大学を辞めたときも仕事を辞めたときも何も言わなかった子供の頃あれだけ怖かった父が・・・最低な息子だな!そんな父の背中が本当に大きいんだ!と気付いたのは俺が親になってからその頃には父の寿命は残りわずかだった糞みたいな息子は気付くのが遅すぎたなにも親孝行など出来ぬまま父はこの世を去った唯一出来た親孝行は孫を抱かせる事だけだった父の遺影は娘を抱いて微笑んだ時の父の笑顔俺が始めて見た凄く優しい父の顔その顔を見ると俺は少しだけ許された気になるあの父の大きな背中に近づこうと頑張ってるでも、到底手が届かない必死でもがいた俺には無理だった押しつぶされて病気になった・・・本当にダメな馬鹿息子だな!病気も良くなりようやく見つけた父の背中には到底届かない!俺は俺の背中このちっちゃな猫背の背中が俺の背中あの父の背中を誇りに想い自分なりの父の背中を俺の家族に堂々と見せようと思う