やすくんのエッセー

2005/10/07(金)20:33

松茸はとられる前に千人の股の下をくぐる

創造性・教育(28)

こんなところに松茸はない、 と思っている場所にあんがい松茸がある。 ただし、 「なさそうなところを探せばいいのだろう」 と思って、 砂漠や雑木林のなかを探しても見つからない。 定説を疑いつつ、いつも 「なにかおかしい」 と気づく独特のカンが働かないと、 松茸は見つからない。 発明、発見も同じである。 カンは夢中になって仕事に打ち込んでいないと 働かない。 自分のなかに咀嚼した知識がなかったり、 研究の流れを知らなかったりすると、 カンの働きようがない。 つまり、生半可な研究生活を送っていたのでは、 深い知識も得られなければ、カンも働かない。 深い知識を持った人が、集中力を発揮して、 死にもの狂いになって研究しているときにこそ 新しい発見、発明に結びつくカンが働くものである。 換言すれば、徹底して「守」を磨いた人にのみ あるとき突然ひらめくような「破」の境地が訪れる。 【西澤潤一「技術大国・日本の未来」朝日文庫1993】 西澤潤一氏は、文字通り「独創開発」を信条とし、 半導体や光電子工学の世界でそれを自ら実践してきた 日本には珍しいタイプの研究者である。 出版されてずいぶんになるが 創造性を考える上で貴重な本だ。

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