2005/10/07(金)20:33
松茸はとられる前に千人の股の下をくぐる
こんなところに松茸はない、
と思っている場所にあんがい松茸がある。
ただし、
「なさそうなところを探せばいいのだろう」
と思って、
砂漠や雑木林のなかを探しても見つからない。
定説を疑いつつ、いつも
「なにかおかしい」
と気づく独特のカンが働かないと、
松茸は見つからない。
発明、発見も同じである。
カンは夢中になって仕事に打ち込んでいないと
働かない。
自分のなかに咀嚼した知識がなかったり、
研究の流れを知らなかったりすると、
カンの働きようがない。
つまり、生半可な研究生活を送っていたのでは、
深い知識も得られなければ、カンも働かない。
深い知識を持った人が、集中力を発揮して、
死にもの狂いになって研究しているときにこそ
新しい発見、発明に結びつくカンが働くものである。
換言すれば、徹底して「守」を磨いた人にのみ
あるとき突然ひらめくような「破」の境地が訪れる。
【西澤潤一「技術大国・日本の未来」朝日文庫1993】
西澤潤一氏は、文字通り「独創開発」を信条とし、
半導体や光電子工学の世界でそれを自ら実践してきた
日本には珍しいタイプの研究者である。
出版されてずいぶんになるが
創造性を考える上で貴重な本だ。