王培生老師の逸話
王培生大師と日本の武道家とが交流した際のエピソードが1999年の新聞「香港商法」に掲載されていたのを見つけましたので紹介します。(本文は1999年発行の武術雑誌「武魂」に掲載された「太極功夫也制人」いう題名の文章が元になっています。)------------------------------------------------------------------------------1980年代初頭に瀋陽で行われた伝統武術交流会の中で行われた中日武術家座談会席上の出来事でした。中日双方の演武が終わり歓談していた時に参加していた日本の武道団体より太極拳についての質問が出されました。「太極拳は武術として行うのではなく身体健康の為に行うものではないですか」北京から出席した王大師は「太極拳は健康保持の為だけではなく護身術としても優れた武術である」こう述べた後、「掴むことなく、叩くことなく、小力で大力を倒し、柔が剛を制する・・・試して見ますか?」この後、王大師と武道団体の代表者と交流(試合)になりました。この時王大師は60歳を超えていました。王大師が右手を差し出して構えた瞬間、相手は右腕を掴み左手で王大師を突きました。王大師は右手を上げ「提手上式」を用い相手の重心を浮かせ即座に「進歩裁捶」を用いて相手を地面に制しました。即座に立ち上り首を掴みながら蹴りを放つ相手を「雲手」で裁き、腰へのタックルを「抱虎帰山」を用いて再び地面に制しました。最後に立ち上り左腕を捕ろうとした相手の腕を捕り「海底針」で相手が跪いたところを「扇通背」にて仰向けに倒し交流は終わりました。交流の後、同団体の団長より「今回の交流会は非常に多くの収穫がありました。是非日本にて先生の武術をご教授いただきたい」と申し出がありましたが王大師は「中国には私のような武術家が沢山いるが、皆世にでることを望まないのです。」と応えただけでした。この後別れの握手の時、不意に大師の手を強く握り仕掛けてきた相手の腕を自然な反応で関節を取り、抑えながら不意打ちに対して一喝したという出来事もありました。この交流会において王大師の武術の奥深さと深い武功が認められると共に太極拳の円熟の境地に達した者には健康と強靭さが併せて具えられていることを世に知らしめました。-------------------------------------------------------------------------上記は王大師の数多いエピソードの中の1つですが太極拳の技を自然に使用するためには多くの経験と努力が必要です。名人というものは本当に凄いですね。この時の王大師は正に「用意不用力」を体現したものであったとのことです。王培生大師が使用した技に興味がある方は当教室においでいただければ館長が手を取って説明、再現いたします。会員の方は教室で是非体験してみてくださいね。