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テレビ・新聞が報じないお役に立つ話

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2021.09.17
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下記はAERAdotからの借用(コピー)です   お詫び:少し古い記事です。

朝のラジオニュース番組「森本毅郎・スタンバイ!」は、30年近く同時間帯聴取率1位を独走してきた。番組が始まった1990年からアシスタントを務めるフリーアナウンサーの遠藤泰子さんは、現在77歳。今も毎朝、東京・赤坂にあるTBSのスタジオでニュースを読む。「日本一のニュースの読み手」と森本さんが信頼を寄せる遠藤さんは、どのように75歳を折り返したのか。

*  *  *
「74歳のとき、股関節神経症が悪化しました。杖にすがって歩くほどで、健康なら2、3分で行けるところにそろそろと10分かかるんです。ごく当たり前の動作ができないことが悔しくて」

 マイクの前では大きく見えるが、実は小柄。滑舌のよい低めの声はラジオのままに艶(つや)やかだ。

「体にメスを入れるのが怖くてありとあらゆる民間療法を試しましたが、75歳の暮れに思い切って手術しました。全身麻酔は初めてです。手術翌日には痛みが取れて、1カ月後には杖なしで歩けるように。当たり前に歩けるって本当にありがたいですね。

 足の病気なので声には影響ないと思っていましたが、あとで友人から『手術したらマイクを通して聴く声が変わったわよ』と言われました」

 番組は月~金、朝6時半に始まる。遠藤さんの平日は規則正しい。

「3時半起床、21時半就寝の生活はすっかり体内時計に刻まれています。24時間が「スタンバイ!」を中心に回っているんです。4時半過ぎに家を出て、5時に赤坂のTBSに入ります。新聞12紙に目を通してから本番です。

 番組終了後は軽食をつまみながらスタッフと反省会。コロナ禍の今は終わったらまっすぐ家に帰ってずっと家の中にいます。滅入りませんか?と聞かれますが、一人っ子だからか一人で時間を過ごすのは苦になりません。家の中をせっせと片付けたりしていると時間はあっという間に経ちますね。夕方は17時半から食事をして19時にお風呂。21時半にはベッドに入ります。お酒も平日はビール1杯まで。会食の予定も入れません。その分、金土に楽しんでいましたが、コロナで遠ざかりました」

番組が取り上げるのは日々のニュースや社会問題。リスナーの側に立った森本さんの問題意識と大いなる批判精神は、小学生からシニアまで幅広いファンに支持される。

 硬派だがあたたかい森本さんと遠藤さんの前向きな朗らかさが絶妙に調和する2時間だ。

 そのスタジオも、コロナ禍の影響を受けた。

「密を避けるために森本さんは赤坂の事務所からリモート出演です。私はスタジオのマイクの前が好きで、コロナ禍も毎朝赤坂のTBSに通っています。

 そう、発熱恐怖症にもなりました。コロナに感染していなくても発熱すると局舎に入れませんので、熱を出すのが怖くて。

 でも普段からのどの痛みとか目がゴロゴロするとか、ちょっとしたことでもすぐに病院に行くようにしています。自分の体調のせいで急にピンチヒッターをお願いするような事態は避けたいので、体の変調に気をつけるのはもう習い性です。

 10年ぐらい前から記憶力が気になり始めました。SDGsとかサブスクといったカタカナの新しい言葉は、スマホの中に一覧表をつくって時折見返しています。歯の問題も避けられません。削るなどで少しでも歯の状態が変化すると舌の動きに影響してしまいます。例えばラ行が発音しにくくなるなどしたら、家で声に出して繰り返し練習しています」

「日本一のニュースリーダー」「存在感があるのに存在感を出さない」。森本さんの遠藤さん評だ。信頼は厚い。遠藤さんにとって「スタンバイ!」はどういう存在なのか。

「50歳になる直前、肩こりがひどい時期がありました。マッサージを頼んだ施術師の女性が『苦手なものやイヤなものを取り除いていくことも大事かもしれませんね』と言ってくれたひと言が心に残りました。その時から少しずつ、気の進まない仕事は無理して受けない、苦手な人とはなるべく会わない、また、身の回りにはボールペンひとつでも気に入ったものを置くようにしてみたんです。そしたら確かに気分が楽になりました。大事な分岐点だったように思います。そう考えると改めて、30年以上続けている『スタンバイ!』がつくづく好きなんだと思います。

森本さんは歩く受信機かと思うくらいニュースの動きを常に把握していらっしゃる方。24時に休まれて4時起きだそうですが、寝ている間にもふと目が覚めるとCNNにチャンネルを合わせたりされるほどです。誰よりも勉強されるので、森本さんについていこうと、チームには緊張感があります。それは31年間、変わりません。一人ひとりが真剣に参加している、それが『スタンバイ!』の魅力です」

 31年の間には、プライベートではいい日もあれば、悪い日もあった。

「69歳で入籍しました。30代と50代で離婚を経験していまして、再々婚。立教大学放送研究会の4歳先輩です。50代後半からのおつきあいでした。ところが間もなく主人が認知症に。4年ほど家で介護しましたが、大きな体を抱えたりする動作で股関節の症状が悪化。周囲から共倒れになるわよと心配され、自宅から歩いて数分の介護施設に預けることにしました。3年前のことです。

 今、主人は私のことがわかりません。でも入籍を後悔はしていません。明治生まれの両親はほとんど介護することなく旅立ちましたし、子どもも育てていません。一度はこうして誰かのお世話を、という運命かなと思います。

 人生は晴れの日ばかりではありませんよね。でも、仕事を辞めようと思ったことは一度もありません。曇りや雨の日も、マイクの前に座るとスイッチが入ります。アナウンスの仕事が好きなんですね。こうして55年、やってきました」

 4月、番組は32年目に入った。

「私がアナウンサーとして終わるのはこの番組と決めています。

 今は一日一日が愛おしい。マイクの前に座っている時、ふと我に返って、ああ、幸せだなあと思う瞬間があります。今日、番組が終わったとしても『ああ、やり切った』と言えるように。そんな思いでニュースを読んでいます」

(ノンフィクションライター・三宅玲子)





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最終更新日  2021.09.17 13:30:06
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