Horse Rainbow 02


Horse Rainbow Vol.02 
「日本競馬最大のアイドルホース オグリキャップ」



さて、よしきが小学生の頃、たまたまNHKで競馬中継をやってました。
そのレース、確か「天皇賞秋」だったと思います。
そこから始まった、日本競馬にとって大変化を遂げた時期。
それが「第一次競馬ブーム」であり、「芦毛ブーム」だったんですね。
その屋台骨を支えていたのが、誰もが知っているアイドルホース「オグリキャップ」でした。
というわけで、今回は日本競馬最大のアイドルホース、オグリキャップについて取り上げたいと思います。

オグリキャップ、1985年3月27日、北海道三石に生まれました。
父親は、ダンシングキャップ、母親はホワイトナルビー。
幼少の頃のオグリキャップは、ハツラツと呼ばれていたそうです。
ちなみに、このオグリキャップの名前の由来。
笠松時代の馬主、小栗孝一さんの冠号「オグリ」に、父親の名前の「キャップ」を取ったものです。

で、オグリキャップのデビューは、岐阜の笠松競馬場。
いわゆる、中央競馬ではなく、地方競馬でした。
笠松では、最初の頃は2着がありながらも、3歳後半~4歳1月には8連勝。
今世間を賑わせている、アンカツこと、安藤勝己騎手で7連勝を記録しました。
そして、4歳の冬、鳴り物入りで中央入り。
中央初戦はペガサスS(GⅢ)。今で言う、アーリントンCです。
中央初戦を河内騎手で勝利。
中央2戦目 毎日杯(GⅢ)も快勝。
今の中央競馬なら、ここで追加登録料を払って、クラシックへ!といいたいところでした。
ただ、この時期は、そういう制度がなかったんです。
実は、このオグリキャップの大活躍で、中央競馬の制度が見直され、
追加登録という制度が出来たんですね。これ、ホント。
クラシック裏街道を進むオグリキャップは、京都4歳特別(GⅢ)・ニュージーランドトロフィー4歳S(GⅡ)も快勝。
で、古馬初挑戦となった、高松宮杯(GⅡ)も快勝しました。
東京初見参となった毎日王冠(GⅡ)も勝利。
これで、中央入りで重賞6連勝。地方からの通算では14連勝。
そして、よしきがはじめて競馬と出会った、天皇賞秋(GⅠ)に駒を進めます。
しかし、そこに立ちはだかったのが、芦毛ブームの片棒を担いだ馬、タマモクロス。
オグリキャップは、このタマモクロスに勝てませんでした。
天皇賞秋では2着。ジャパンカップ(GⅠ)では3着。
(ちなみに、タマモクロスは1着、2着でした。)
で、年末の風物詩、有馬記念(GⅠ)へと進みます。
そこで、3度目の正直と言うんでしょうか、初めてタマモクロスに勝ったんですね。
このレース、ベテラン岡部騎手が唯一乗ったレースでもありました。

さて、5歳の春は全休したオグリキャップ。
5歳の秋、オールカマー(GⅡ)で復帰します。そのレースを快勝。
続いて、毎日王冠(GⅡ)を連覇。
そして、昨年2着の雪辱を期して望む、天皇賞秋(GⅠ)へと進みます。
しかし、オグリに立ちはだかった馬、それは、武豊騎手とスーパークリーク。
惜しくも、クリークに首差の2着でした。
ちなみに、オグリは悔しくてかどうかは知りませんが、レースが終わって、一歩も動かなかったそうです。
しかし、オグリキャップは、ここから常識を超えた馬となります。
続いて、京都のマイルチャンピオンシップ(GⅠ)で1着。
しかも、この時は武豊騎手が乗るバンブーメモリーを、直線最後で差し返すという、離れ業を演じます。
で、マイルCSが終わってから、たった7日後、オグリは東京競馬場にいました。
何と、ジャパンカップ(GⅠ)に連闘で出走。
しかも、そこでニュージーランドのホーリックスに僅差の2着。
この時のタイム、2分22秒2は、現在も世界レコードなんです。
しかし、神様はここでオグリに試練を与えました。
続いての有馬記念(GⅠ)、1番人気に反して5着。
オグリにとって、初めての着外でした。

6歳の春を迎えたオグリキャップ。
初戦はマイルのGⅠ、安田記念でした。
で、ここでの鞍上に、みんながビックリ。
「笑っていいとも」のテレフォンショッキングであれほど「オグリは嫌い」と言っていた、武豊騎手。
いわば、「昨日の敵は今日の友」という状態です。
で、武豊騎手が乗るオグリは、安田記念をレコードで快勝。
しかし、オグリはここから迷走を続けることになります。
今は亡き岡潤一郎騎手が乗った宝塚記念(GⅠ)では、オサイチジョージの2着。
秋初戦の天皇賞秋(GⅠ)では、6着惨敗。
続いてのジャパンカップ(GⅠ)では、何と11着惨敗。
この頃の新聞には、「オグリは終わった」とか、「走るのがかわいそう」とか。
こんな記事が堂々とかかれるようになってしまいました。

で、迎えた有馬記念1週間前。
何と、瀬戸口厩舎は、報道陣をシャットアウト。
しかも、鞍上にはあの、武豊騎手を。
中山競馬場は、今以上のものすごい雰囲気に包まれていました。
今みたいな、ファンファーレに手拍子を送るって言う状態じゃないけどね。
でも、レース直前から、ホントに異様な雰囲気になになってました。
そう、「オグリの引退レース」。
レースがスタートする。大歓声。
宝塚記念を勝った、オサイチジョージが先頭で走る。
2番手にはヤエノムテキとメジロアルダン。
オグリは中団からレースを進める。
1周目のゴール前、異常な歓声。。。
向こう正面後半から、外に出していたオグリが動く。
4コーナーでは先頭に並びかける。
その時、中山は割れんばかりの大歓声。
青い帽子が伸びる。アルダンじゃない。
外から白い馬が伸びてくる、決してホワイトストーンでもない。
オグリだ。オグリだ。。。オグリ1着。。。
オグリが、クルージングに入っていた向正面。
どこからともなく、歓声が聞こえた。。。
「オグリ!オグリ!オグリ!」
多分、馬をコールされたのは、後にも先にもこれだけのような気がしている。

奇跡を起こした、オグリキャップ。
新聞の1面は、全てオグリキャップ。
「感動のラストラン!」「ありがとう!オグリ!」
こんな文字が、紙面を躍っていた。。。

もう、あれから12年が経とうとしている。
そう、午年の有馬記念。
今年は、12月23日。まだ3ヶ月以上も先の話です。
でも、今年の有馬は、何か予感がする。
「復活」、「待望」、そして、「アイドル」。
今年の有馬記念は、そんな希望を持っていたい。

それと、もう1つ。
全然活躍しないオグリの子供から、そろそろ活躍馬が出てきてもいいんじゃないでしょうかね?
偶然かな、サンデーサイレンスと同い年のオグリキャップ。
サンデーサイレンスとの最高の相性を誇る種牡馬は、
ひょっとするとオグリなのかもしれない。。。


© Rakuten Group, Inc.