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2019.10.08
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以前このブログで書いた、気になるフォールディングバイクの1台である Tartaruga Type SPORT に試乗してきました。今回、試乗させて頂いたのは横浜の GREEN CYCLE STATION さんで、非常に親切丁寧に対応していただいたのですが、うっかりカメラを忘れてしまったので今回は画像無しです。

なお GREEN CYCLE STATION のHPには画像も記事も沢山在りますので画像付きの記事はそちらをご参照ください。m(_ _)m

今回、試乗の準備として自分の DAHON HORIZE を輪行して最寄り駅まで行き、其処から走っていきました。タイヤサイズが 406 1.5 のマラソンレーサー装備でサスペンション無しのフォールディングバイクとの差を明確にするためです。

また、ウチの HORIZR は交換したパーツ代を含めるとDX相当になるので、安価なバイクをアップグレードした場合との差を感じるためでも有ります。

今回試乗したTartaruga Type SPORT は下記の3台です。

SD:始めに試乗したのはスタンダードモデルであるSDです。タイヤはシュワルベ デュラノを履いていました。以前「橋輪」さんで試乗した DAHON ではかなり硬質な乗り心地だったように記憶しているデュラノですが、なんという事でしょう。とてもスムーズな乗り心地なのです。20インチとは言え一回り大きな451タイヤと前後サスペンションのご利益でしょうか。フォールディングバイクと言うよりクロスバイクと言った方が乗り心地としては近いように感じました。

ウチの HORIZE は乗り心地を犠牲にしたくなくて妥協点としてシュワルベのマラソンレーサーを履いているのですが、SDのデュラノの方が快適でした。

リアサスは私の体重ゆえにペダリングによってはその存在を悪い意味で感じる事もありましたが、基本的には前後サスペンション共にその存在を感じる事は無いのにマイルドな乗り心地と言うか、良い仕事をしています。前後共にエラストマーを使用したタイプですが、このフレームを作っている台湾のパシフィック社は Birdy(昔の日本での名前は R&M BD-1)のフレームも作成しているエラストマーを用いたサスペンション設計に精通した会社さんなので味付けが絶妙なのも納得できます。

まさに評判どおりの素晴らしい自転車だと感じました。

GT:続いて試乗したのはドロップハンドルのGTです。今時マイクロシフトで触角が生えているのには苦笑しましたが、個人的には親指ブレーキが使えるので嫌いではありません。でもサイクルグローブをしていなかったので少し手が痛かったです。GTはランドナーを目指しているらしくタイヤが Maxxis DTH と言うBMX用のタイヤでサイズは 1 1/8 でしたが、更に快適な乗り心地だったかと言うとそうでも有りません。やっぱりドロップハンドルにサイクルグローブは必須ですね。個人的にはランドナーと言うより、もう少し走りの良いスポルティーフのように感じました。ポジションの違いからか、少しだけ小径車らしいハンドリングのクセが出る様にも感じましたが、充分に良いと思います。

K.K:最後に試乗したのはDXと言いたいところですが、他の方が試乗していたのでショップオリジナルのK.Kです。一番の特徴であり、歴然とした差を感じると言われるハブがDXと同じシールドベアリング仕様になっているSDなのですが、このモデルはお買い得かもしれません。シールドベアリングの効果は絶大で、小径車らしくケイデンスがグングン上がります。ギア1段分に近い差が有るかもしれないと感じました。確かに歴然とした差を感じさせて頂きました。

今回試乗させて頂いた GREEN CYCLE STATION(略してGCS)さんの試乗車たちは、全てメンテナンスがキッチリと行われており、さすがはタルタルーガマエストロの居るショップだと感じました。

それでもブレーキはタッチこそ良いですが効きはイマイチ。どんなショップでもテクトロのロングアーチではブレーキタッチを良くする以上の事は出来ません。最低でもブレーキシューは交換したいし、出来ればブレーキ本体をシマノに交換したいです。ウチの HORIZE は効きの良いVブレーキをシマノ DEORE に交換していますからブレーキの不満は仕方ありません。

という事で、良いフォールディングバイクだからこそ、気になった点を書いてみます。

一番のダメダメポイントはオプションのフェンダーです。タルタルーガは、企画をした吉松さんが自転車の予備知識を持っていなかった事が幸いして出来上がった奇跡のような自転車ですが、このフェンダーについては予備知識の無さが災いとなっていると感じます。

ブレーキ本体をカバーしないこのフェンダーでは旅先で雨に降られ泥道でも走ったら、最悪の場合は出先の宿でブレーキキャリパーのフルメンテが必要になるでしょう。そうでなくとも靴のかかと部分はフェンダーが吐き出す泥水で大変な事になると思います。スーパーで売ってるような安物ルック車につける、あのフェンダーと同等か、それ以下でしかありません。雨天走行後、メンテナンスを行わなければテクトロのブレーキスプリングはすぐに錆びてボロボロになるでしょう。

もし、自分がフェンダーをつけるなら、リアフェンダーはブロンプトンと同じく着脱しないで、代わりにフェンダーに小さなキャスターか小さな脚と、それを保持できる丈夫なステーを付けます。フロントは昔のランドナーのリアフェンダーと同様に分割式フェンダーとしてブレーキ部分までと言うか、通常の長さか、輪行時に邪魔にならないギリギリまで伸ばします。金額は当然ながら現行の簡易フェンダーより高額になりますが、ランドナーを自称するなら必要な装備だと考えます。

次に疑問を感じるのはヘッドパイプに鞄をセットできない事。ブロンプトンもダホンもターンもタイレルのイヴも、多くのミニヴェロがクリックフィックスや専用の鞄が取り付けられるようになっています。
確かに着脱式のフロントキャリアの設定はありますが、それではハンドルマウント用のフロントバックくらいしか取付できません。ブロンプトンや、タイレルのイヴはかなり大きな専用バックの設定がありますし、ダホンやターンもリクセンカウルの鞄が選び放題なので比較すると実に残念です。

最後の残念ポイントはリアキャリアです。イージーフォールディングは Type SPORT がフォールディングバイクとして認められるようになった、タルタルーガにとってエポックな出来事であり、リアキャリアとイージーローラー、イージーフォールディングアダプター(標準装備品にするべき)とイージーフォールディング専用の輪行バックは Type SPORT の素晴らしいオプションだと思います。

ですが、このリアキャリアには積載能力が無いのです。推奨されているオルトリーブのスポーツローラー(旧フロントローラー)は一般的なサイドバックの大きさを知る身としてはミニチュアバックかと思うほど小さく、可愛らしいと言えば、聞こえは良いですが週暴力には疑問を感じます。もちろん、一般的なサイドバックは100%取り付け不可。試していませんが、足の大きな私では、推奨されているミニチュアバックのように小さくて可愛いスポーツローラーでも踵が当たる可能性があります。

また、このキャリアにはダボが無いので例えば寝袋(今時はシュラフって呼びますね)をリアキャリアに結びつけるのもストラップなど考慮が必要ですし、自転車用のゴムバンドなど使いようがありません。

たとえば、ダホンならスポーツローラーが取り付け出来るフロントキャリアがオプションで有りますし、リアにはもっと大きなサイドバックが付けられるキャリアがオプション設定されていますし、それらのキャリアを装備しても輪行バックに収まります。まぁ、輪行を前提とした場合には複数の鞄と言うのは、あまり現実的とは言えませんが、積載能力と言う意味ではフォールディングバイクの中でも能力が低い部類に分類されると思いますし、そういう意味でランドナーを語るのは如何なものかとも思います。

少し入手が難しいですが、リアキャリアにラックタイムのアダプターを付けてラックタイムのカバンを付けるぐらいが現実的ですかね。それ以外ではヘッドパイプのダボを流用してクリックフィックスのアダプターが付くアダプター?を自作するとかかな。

鞄の選択肢がオルトリーブのスポーツローラー一択と言っても良いというのは大いに疑問を感じますし、もしペダリングの邪魔になる場合は選択肢が無くなりますから、私のように靴のサイズが大きな人が宿泊前提のツーリングに利用する場合、鞄で頭を悩ます事になるでしょう。

現実的なのはリュックかメッセンジャーバックですが、そういう意味ではランドナーと言うよりロードレーサーに近いのかなと感じました。ベースとなったパシフィック社のリーチはモバイルロードレーサーとして設計されましたしね。

ですが、本家パシフィック社のリーチは入手の容易さで問題がありますし、マエストロ制度、ユーザー登録制度などショップとユーザーの事を考えた良い自転車だと思います。以前 Birdy の試乗をして購入を真剣に考えた時には、フォールディング時の姿が好きになれなかったり、クリックフィックスが使えない事が購入しない理由になりましたが Type SPORT には、まだまだ改善の余地が有るし、実際に少しずつアップグレードされているのが素晴らしいと感じます。

もちろん現時点でもフォールディングバイク、ミニヴェロとして抜群の走行性能を誇りますし、輪行時の荷姿が2種類あるのも特徴的です。前後輪を外せば一般的なフォールディングバイクが収まるオーストリッチの「チビリン」に楽勝で収まりますし、イージーフォールディング時は多少大きくなりますが、厚みが無いので意外と邪魔にならない感じがします。

イージーフォールディングにはブロンプトンやバーディーのようなスピーディでトリッキーなスタイル変更は無理ですが、必要にして充分といえる短時間で輪行袋に収まります。しかも、二種の収納スタイルを選ぶ事も出来ます。大きな駅で構内を歩き廻る必要があるならイージーフォールディング。日本で企画されただけに輪行袋もキャスターも配慮が行き届いていますので、転がして歩くのが楽しくなるかもしれません。手回り品切符はギリギリ必要になるかも。駅員さんの判断しだいです。

混雑しそうな電車に乗るなら一般的な収納方法で。一般的な収納方法を選択すればリアキャリアは不要となり、軽量化できます、メーカーやショップの推奨方法とは異なりますが、フォールディングバイクとしては軽量な部類となる Tartaruga Type SPORT なら、リアキャリア無しでチビリンバックの選択肢もアリかもしれません。もちろん手回り品切符は不要なサイズです。

何より、独自の走行フィールは、モールトン、バーディ、ブロンプトンなどフォールディングバイクにも引けをとらない上質な味わいで、生産完了したジャイアントの MR-4 ほどロードレーサー寄りではなく、穏やかに走りを楽しめる良いフォールディングバイクだと感じました。

持参した HORIZE は自分の好みでパーツを組んだのですが、比較してみるとフレームの魅力と言うかサスペンションの魅力と言うか、本当に魅力的でした。

現在はオプションであるフェンダーの泥除けとしての能力と、リアキャリアの積載能力に、疑問を感じましたが、着実に進化を重ねているので、今後、改善される可能性も感じます。タルタルーガと同様に日本で企画されたフォールディングバイクとしてジャイアントの MR-4 が存在しましたが、残念ながら生産終了となってしまいました。ブリジストンモールトンも。

ですが、タイレルやタルタルーガなど小さいですが素敵なフォールディングバイクを作る国産メーカーが増えて来ました。とても素敵な事です。

タルタルーガにはこれからも頑張って欲しいし、発展して欲しいです。試乗して、あらためて素敵な自転車で欲しい自転車だと感じました。





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最終更新日  2020.05.10 23:22:42
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