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テーマ:仕事しごとシゴト(23727)
カテゴリ:お仕事!
急速に変化し続ける状況下で、最短距離で正解を導く力 ネガティブな気付きや課題を察知し、ポジティブな解決策へとつなげていく。そのサイクルは、中村選手のあらゆる行動に見ることができます。まずは、サッカーそのものへの取り組み方もその1つ。彼は、トルシエ監督にも指摘されているように、細身なのでタックルやヘディングが弱い。そこでフリーキックやセットプレーを磨き上げていくわけですが、結果、試合に使ってもらうためには、それだけではダメだということに気付き、日本食レストランもないようなイタリアの田舎のチームに入ったわけです。荒れたグラウンド、体格が良くラフプレーが多い選手たち。そうしたあえて苦手とする「壁」の多い環境に身を置き、「郷に入れば郷に従え」のとおり、サッカーも生活もすべて新しい環境に染まっていきました。 新しい環境になじむ努力をしないのなら、環境を変えた意味がない。たとえ、それが修行のような毎日であっても。修行を得たからこそ、成長できるのだ* 例えば、シュート1本にしても、日本ではより良いポジションにいるメンバーにボールを送ってゴールの確率を上げようとする。しかし、イタリアでは「なぜ打たない?」と責められる。その際に「だって」と言い訳をするよりも、「そういうサッカーなんだ」と受け入れたわけです。 新しい環境の中で、自分を認めさせるには、プロセスが必要。まずは受け入れ、それから自分を認めてもらうという方法をとる。その頃合いを見計らうのも「察知力」のなせる業といえるでしょう。 日本を発つとき、最悪のことを想定していた。様々な状況を想像して、『もし、そうなったら、こうしよう』とあらゆることに対して、心の準備をしていた* ネガティブな感情をぱっとポジティブに変えていく。中村選手はそれを瞬時に行っているように感じます。人は、どうしてもネガティブな感情を引きずりがちで、ポジティブに考えられるようになるまでには時間がかかります。しかし、中村選手のようにその変換の回路を自分の中に持てば、失敗したときに落ち込む時間を最短にして、すぐにポジティブな課題に転化することができるというわけです。 中村選手が行ってきたことは、「経験」→「内省」→「概念化」→「実践」というシンプルなことの繰り返し。自分より身体能力の高い相手と戦うためには、状況を的確に察知し、一瞬でも早く動き出すことや裏をかくことが求められます。そのトレーニングが、あの「フリーキック」を生み、「キラーパス」へとつながっているわけです。もちろん、レッジーナを選んだことも、その後、セルティックを選んだことも、自分のサッカー人生のリスクを鑑み、課題をポジティブに設定したことに他なりません。 考えてみれば、サッカーはどんどん状況が変化していくスポーツ。人も動けば、ボールも動く。それもチームプレーだけに複雑です。ミスプレーに落ち込んで、その後の対応が遅れれば、当然つけ込まれてしまいます。気持ちを瞬時に切り替え、瞬間ごとに判断して前に進まなければなりません。 その点が、たいへんビジネスに似ていませんか。多数の人々が関係し、刻一刻と変化していく。その中でいかに最高のパフォーマンスを上げていくのか。その熾烈な競争の中で、中村選手のように小心者になり、察知力によって常に危機感を持ち、それをポジティブな目標に転化し、実践していくことが必要です。危機管理の名言として「計画は小心者に、実行は楽天家にさするべし」という言葉がありますが、それを一人で行っていくわけです。 中村選手はその繰り返しを常に行うことで、ネガティブな状況を察知し、反射的に最善の判断を行えるようになると語っています。その積み重ねの結果、技術やフィジカルはもちろん、「ガラスのエース」と揶揄(やゆ)されたメンタル面も強化された彼は、今、日本のサッカーを背負って立つ超一流のアスリートとして、ピークを迎えつつあるといえるでしょう。それでも、彼は言います。 達成感を得るなんてことは未来永劫、ない。これは習性なんだ。そんな気持ちになることは、怖くてできない* おそらく日本一小心者のファンタジスタ、中村選手。考えすぎて「悩んでいるようにも見える」そのネガティブさが、彼の「察知力」を磨きあげ、より高みへと突き動かしていく原動力になっていることは間違いないでしょう。ネガティブな状況を察知し、それを自分の問題として引き受け、次につなげていく。その勇気と考え方の回路を私たちも自分の中に持ちたいものです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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