晴れたらいいね

時は８月。もうすぐお盆。
結香にはお盆の思い出がたくさんあります。
盆踊りなどのお祭りや、祖父宅の帰省。
楽しい思い出が満載です。

結香がまだ小学校の低学年の頃。。
例年のようにお盆は祖父宅で過ごすべく
両親に連れられて帰省。

この年、祖父宅には遠方に住んでいる
イトコたちもみんな帰省してきていました。

結香は朝から晩までイトコ達と遊びまわっていました。

そんなある日の夕食。
その日は祖父が孫の結香達みんなに
オムライスを作ってくれることになっていました。　　　　　　　　　　　　　

祖父はオムライスがお得意。
材料も全部祖父が買いに行き、
全部調理☆

結香は祖父の作ってくれるこのオムライスが大好きでした。

夕食時にはイトコ達みんなでこのオムライスを
楽しくおいしく食べました。
祖父はうれしそうに見ていたのを覚えています。

その年のお盆が過ぎ、９月のお彼岸。
今度はお墓参りのために帰省したときのこと。

祖父はすっかり変わってしまっていました。
結香の顔はもちろんのこと、
息子である父の顔や名前でさえもわからなくなっていました。

ふっと家を出て行ったきり
帰って来れなくなってしまっていました。

この時もそうでした。
父や叔父。祖母、近所の人みんなで手分けをして
いなくなってしまった祖父を探していました。
夕方、父と叔父に連れられ帰宅した祖父。

その時の祖父の目はうつろ。
オムライスを作ってくれていた時のあの祖父の姿は
どこにもありませんでした。

わずか１ヶ月の間にここまで・・
コドモながらにショックでした。

時がたち・・それから５年程の月日がたった冬の日。
祖父は今度はお正月に帰省していた
親戚に看取られながら他界しました。

祖父が遠く旅立ってしまってから早幾年。

あの夏最後にみんなで食べたオムライスが
ふと懐かしく思い出されました。