虎魂悼罪

[仕事論、勤労観的なもの] カテゴリの記事

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• 令和マインドなんすかね？

  最近は店の定休日の水曜日も仕事してます。まぁ最近というか以前から、営業日に入らない仕事を休みの日にやる事は日常化してたけど。最近うちの店によく来る若いお客さんがいて、学生時代から休日は近場のサーキットで草レース参加してるような子なんですが今年から新社会人だそうです。この前、こんな会話をしましてね。「残業代も出ないのに仕事の後の飲み会って参加しなきゃダメですかね？同期とか上司とか結構頻繁に週末誘われるんですけど」俺「別に強制じゃないから行きたくなきゃ行かなくていいんじゃない？」「野村さんなら参加しますか？」俺「新しく入った会社なら積極的に参加するかもね」「プライベートの時間も拘束されるのなんだかなー。次の日朝早くから走りたいし」俺「拘束だと感じるなら出なくていいんじゃない？オレは親睦深める方がオレにとって得だと思うから出るけど。」「参加しない事でボクの評価が下がるんだとしたらおかしいし」俺「下がりはしないんじゃない？ただ、参加してる同期の評価が上がることで相対的に抜かれる可能性はあるけど」「休日出勤とか今後あるのかなぁ」俺「俺は毎週のように休みも仕事してるけどね。」まぁ、オレの場合は休みも仕事してるというよりは「毎日が休みだけど仕事してる感覚」に近いけど。個人事業主だしね。『仕事』というものに対する認識がオレとは20歳近く離れてる平成っ子とは違うんだろうとは思うわけだけど、根幹は昔から変わらんと思うんだよね。「仕事の後の飲み会に参加すべきか？」は強制じゃないなら参加しなくていいとは思う。ただ、俺はそういうたぐいの集まりは結構進んで参加する。酒も飲めない下戸なのに。理由はシンプルで「職場でできない会話とかから相手の事を知れたり理解が深まる事があるから」だな。「拘束される」「嫌いな人がいる」とかならオレも行かんと思う。ただ、断り方や物言いは最大限の配慮をするけどな。「残業手当も出ないのに参加したくない」を公言してしまうと、どうなるか？会話というのは言葉として出してない部分も伝わる。一言で言えば「金もらえないなら、あなたたちと飲みたくない」と言ってるように伝わるわけだ。オレがもし上司側で誘う側だったとして仮に誘った部下や後輩から「残業手当は出ますか？」と言われたら？「俺らはプライベートで飲むが君が仕事として飲むというならオレが日当払ってやる。ただし、世間で酒飲んでるだけで金取れるのはホスト、ホステス、キャバ嬢、コンパニオンくらいだ。キミにはオレらを楽しませるために全力で日当分はプロとして働いてもらう。」と言うかもしれない(笑)そらそうだろ？ホストやキャバ嬢が客の金で酒飲んで給料までもらえるのは、彼らがプロで客が満足するサービスしてるからだ。金稼ぐって甘くないぞ。まぁ、多分そんな事を言ったら不参加で終わりだろうし、逆にそこで「任せてください！」と乗り気な奴なら面白そうだからオレも祝儀切っちゃいそうではあるけど(笑)世間の会社には「就業時間」というものがあるな。雇用契約の中でも決められてるし法律でも週40時間とか決まってる。オレの認識ではこれは「最低限」だったりする。例えばプロ野球選手いますね？日々の練習メニューは全体練習が何時から何時までとか、試合ある日はシートノック何時からとか一応のスケジュールはある。じゃあ支配下登録されてる選手で、チームが定めた時間以外に練習してない奴がどんだけいるか？まず０だろ。ナイターがある日だとホームチームは13時くらいから全体練習とか始まるのかな。ビジターで試合開始二時間前くらいからとか。でも早い人は午前中からウエイト室でウエイトやったりグラウンドで走ってたり自主練を入れてから軽いランチ食って全体練習なんて人が多い。試合後もすぐシャワー浴びてホテル帰る人もいれば、練習グラウンドでバット振って帰る選手もいる。宿舎帰っても部屋でバット振ってる清原や落合みたいな選手もいる。社会人でも家で仕事する人なんかいくらでもいる。俺は家だとサボっちゃうし猫が邪魔するから職場で残って終わらすけど。上司と仕事の後に飲みに行く事が苦痛なら行かなきゃいいと思うけど、行って得るものを失うのは仕方ないとは思うよ。上司だって毎回付き合ってくれる後輩と酒も入って色々な話をすることで「こいつこんなこと考えてるのか」「こいつこんな面もあるのか」と理解するだろうし、それは自分という商品をアピールする機会でもある。まぁ栃木居た頃に酒癖悪い上司に毎回誘われ飲みの席で説教食らうのに堪忍袋の緒が切れて「会費払って説教食らうなら素直に聞く代わりにここ払ってください」とキレたオレもあんま偉そうな事は言えんけど。まぁ会社なので結果さえ出せばコミュニケーションも仲間も不要、1人でも実力で認めさせてやるぜという気概があるなら、それはそれでスタイルではあるけし難易度は無駄にあがるが気持ちはわからんでもない。30代半ばの頃の俺がそうだったんで。いや、俺これでも結構コミュニケーションは取ってた方だけど「会社は仕事しに来てるから友達作りに来てるわけじゃねぇ」とは思ってたし。当時の会社で横浜行った頃からかな、少し変わったの。通称、横浜男塾の名の通り男だけ30人くらいいた拠点だったけど、後輩をメシ食いにつれてったり仕事教えたりしてた中で集団の中での自分の立ち位置を認識して意識は少し変えたが。一番最後まで残って自分の仕事をしてる俺に妙に懐いて一緒に残る若手が3人いて、当然彼らは強制でもなく自主的にオレの手伝いをしてたんだけど、必然的にオレが帰るときに一緒に帰るからオレが飯食いに連れていく事になるわけで、毎回3人分のラーメンや炒飯を食わせるのは地味に財布に響いたが、まぁ自分の仕事手伝ってくれた日当みたいなもんだと割り切ってたな。その3人今はみんな出世して管理職側だからな。オレがもし今も会社に残ってたらオレの上司になってる。彼らが金欠の頃にオレが食わせてた晩飯の返礼が欲しいところだが、独立した俺に外注委託で仕事を頼んでくるのがソイツらだったりするんで、当時のラーメンや餃子の投資回収は数倍になって返って来てるともいえる。とはいえね、誘った時に「行きたくないな」と思われる上司ってのも情けないというか資質には欠けるのさ。仕事に意欲あって少なからず向上心がある新人なら、目指す先輩や上司の話は聞きたいと思うだろうしメシに誘えばホイホイついてきそうではあるし。少なくとも「めんどくさい」と思ってる人間を無理に誘っても面白くなかろうし、行きたくなきゃ飲みの誘いも断りゃ良いのさ。仕事に特に目標も意欲もなく金稼ぐためのバイトみたいな感覚の人間なら、上司や先輩に無関心だろうし就業時間以外で関わるのも億劫だろうし。むしろ新しいハラスメントがどんどん生み出されてる時代なんで、下手に後輩なんかに関わるとロクな事無いみたいな気もするし、放っておけばいいんじゃなかろうか？も正しい気はしないでもない。ただ、今年の春に新社会人になった人（そんな若い層でここ読んでる人がいる気配はないけれど）にオッサンから一言だけ助言するとするなら、これオレは事あるごとに会社内で上司にも後輩にも言ってた事なんだけどさ…「世の中、正しい選択肢が必ずしも最善の選択肢とは限らない」という事だけどこか片隅に覚えておくと損はしないと思う。「就業時間外だから飲み会に参加する義務はない」うん。正しいよ。ルールとしてはね。「仕事終わってないけど定時なんで残業減らせという指示もあるし帰ります」うん、正解。ルール的に正しい。ただ、おそらくいくつかある選択肢の中で、最善の結果を得られる選択肢が必ずしもその正解じゃないという理不尽が世の中には存在する。オレが勝手に思ってる真理だったりするが、若者が一番耐性が無いであろう要素がこの「社会の理不尽さ」だと思う。いや、ガキの頃から理不尽な事なんか多かれ少なかれ経験はしてるのだけど、少なくとも子供の頃は守ってくれる人がいたし、学校という組織は意図的にその理不尽さを緩和する方針の組織ではある。それが社会に出たら、どう見ても自分の方が仕事も頑張ってるのに要領よくサボってる同期の方が評価されるとか、同じミスでも自分は怒られたのにアイツは許されてるとか、仕事量はどう見ても自分の方が多くて貢献度も高いのに自分より劣る奴が昇給したり昇進したりとか、数え上げりゃキリが無い。今の時代はそういう理不尽を法律とかルールとか使って他力本願で何とかしようとする。自分の人生なのに他人のせいにしてるのは勿体なくないか？とは思うけど。昔の人間はそこまでインフラ整ってなかったんで自力で突破するとか開き直るとか全員なぎ倒すとか力技で打開するか、そこから逃げるしかなかった。世の中は理不尽なものだし、努力が必ず報われるほど甘くも無いし、無駄な努力がホントに無駄で終わる事もある。俺は面倒くさいから世の中のルールとか法律に頼るの辞めて、いつからか「自分はどうありたいか？」というオレ様天動説視点で自分の行動をジャッジするようにして随分と楽になったけど、このマインドは相当に能天気な奴じゃないと至らないマインドなのかもしれない。「男は人生の半分くらい仕事に費やすんだから仕事面白くなるような考え方した方が良かろう」というのは俺の変わらない行動理念なんだけど、今の人達は「なるべく働かず楽してさっさと稼いでリタイアしたい」みたいな人もいるからね。俺なんか多分、仮に手元に100億円あろうが何かしら仕事はするもんな。ウチの店に若者の客は多くないので、たまに会話するとジェネレーションギャップ感じるんだけど、その若い客から「5月の連休はいつからいつまでですか？」と聞いてきて「ここ20年くらい連休なんか縁が無いよ」と言ったら「なんで自分の店なのに休めないんですか？」と返ってきた。正確には20年は無いな。ＹＳＰ居た頃はメーカーの休みに合わせてＧＷも5日くらい休みあったから16年くらいか。「自分の店なのに休めない」のではなく「自分の店だから休まない」だけなんだけど。まぁ、休んでどっか行く予定も無いしね。休みたきゃいつでも休める立場になると意外と休まなくてもなんとかなるのだ。いや、実は神田伯山が所沢のミューズホールで会をやると聞いたときに「近いしちょっと休んでチケット取ろうかな」と誘惑に負けそうになったが、その時期猛烈に忙しかったんで無理だなと。オレに嫁や子供でもいるなら家族サービスの日で連休とか休むかもしれないけど、独り身で猫一匹だからな。特に休んでまで遊びに行く予定もないけど、まぁペナントレース始まったし交流戦とかで阪神がベルーナドームとか千葉マリンに来るときに定休日が重なるなら行こうかな？くらいか。あ、でも去年ベルーナで阪神戦やってるから今年は甲子園か。ウチのデブネコ預かってくれる人でもいれば海外旅行でも初体験したいところだが、そういうことは溜まってる仕事を減らしてからだな。

  2024年04月30日

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• 「職人が何を売ってるのか？」を知らない人には理解に苦しむお話

  珍しく連日投稿です。今日ちょっと帰りも早いですし。ウチのお店で昨日あったお話とか最近ネットで見かけた話から思うところもあったので記事にしてみようかなと。昨日ね、ウチのお店に若い二人組が来たんです。最初に来た時「スロットルケーブル自分で交換しようとしたんですけどタンクのホースが外せない」ということで外し方を聞きに来ました。できないならバイク持ってくればやってあげるけど、ケーブル交換はキャブ外さないとできないから工賃８000円くらいかかるよと言ったら、あまりお金かけたくないようだったんで簡単に口頭でやり方だけ教えた。数十分後、また二人できて「ケーブル外そうとしたけどスロットル側のスイッチボックスが硬くて外せない」と再度来店。その時彼が手に持ってたドライバーを見て「それ1番ですよね？ボックスのネジは2番じゃないとナメちゃうから」と工具が違うことを指摘。オレ「車載工具に簡単なドライバーのセット入ってると思うので、それ使うのが早いかな」とアドバイスして帰す。この時点で作業の手を止めて全く一円にもならない助言で時間を奪われてるけど、近所の子だし自分でやろうとする意欲は悪くないんで多少は協力してあげてた。小一時間ほどして3度目の来店。「すいません。工具貸してもらえますか？」この一言で若干カチンと来てる俺。オレ「商売道具は貸せないです。セキチュー（ホームセンター）すぐ近いから行けばドライバーとロングプライヤーくらい2000～3000円で揃うと思うよ」若者「いや、ホムセン行くの面倒ですしここの方が近いしバイク屋さんなんで…」この子たちはオレに喧嘩売ってるんだろうか？それとも素なのか？オレ「俺が今持ってるこのハゼットのラチェット、いくらか知ってる？」もうタメ口になってる俺。若者「いや…」オレ「18000円。この店の工具はホームセンターみたいな安物使ってないんだ」若者「すいません」オレ「言いたいことはなんとなくわかるけどね。たかがドライバーとロングノーズくらい貸したって…くらいの感覚でいたんだろうし。実際２りんかんとかレンタルガレージで工具貸し出してる店もあるしね」若者「自分たちで途中までやった続きをお願いすることはできますか？」オレ「さっき８000円て言ったけどタンク外した状態でここまで押してくるって言うなら少し安くやるよ。」若者「じゃあ2人で押してきます」ちなみにお客さん相手に言うことじゃないから言わなかったけど、貸さなかった理由は値段ではなくオレの仕事安く見てる相手に貸したくないからなので、仮に100円の工具だろうが貸さない。要するに「キミらは8000円で仕事プロに頼むより自分たちでやる方が安いと考えた。そして歩いて10分のホームセンターで2000円程度の工具を買う手間と出費よりプロの道具を借りたほうが安いと思ったから借りに来た。工具に2000円出せない人間が18000円払える人間に道具貸せはオレの仕事舐めてないか？」なのだ。お金ない若者が店に頼む金無いから自分で何とかしようという意欲だけは買うけれど、ハッキリ言ってしまえば「素人のキミらが口頭で聞いたくらいでやれる程度の仕事で8000円も貰わねーよ」だったりする。4連のキャブ外してワイヤー付け替えて取り回しもキッチリ決めて…というレベルを自分でできる人は「わかってる人」なので間違ってもメカニックに「工具貸せ」とは言わない。まぁ相手まだ子供…ではないが未成年ぽいから、そんな青筋たてて怒りもしないけど。これは俺の話。もう一つ、ネットで見たのが「天ぷら屋で、衣をはがして食べていた女性客。店主に激怒りされ追い出され憤慨！損害賠償請求へ…」これはもうオレの時とは比較にならんレベルで店主に喧嘩売ってると思うんだけど、これに対して賛否あるそうだ。いや、オレ的には賛否も何も否がある時点で頭おかしいんだけどさ。この店主に否定的な人の主張は「金払ってる以上は食べ方は自由だ」という主張。わかってねぇ……わかってないよ。店主は食べ方に怒ってんじゃないよ。「天ぷら屋に来て天ぷらの衣をはがす」という行為が店の仕事を否定してることがわからんかな？海老天を衣はがしたら単なる蒸しエビだろ。天ぷらって衣が腕の見せ所の一つだろ？厚さとか食感とか。それを捨てるってことは仕事否定されてんだよ、怒るさそりゃ。寿司屋でシャリ残してネタだけ食ってたら叩き出されるぜ？店からすりゃ「ウチゃ飯に刺身乗っけて出してるわけじゃねーんだよ」と。その程度ならお前でも作れるだろと(笑)そもそもなんで寿司屋来たんだって話だ。「天ぷら屋で天ぷらを否定した食べ方をする」「寿司屋で寿司を否定した食べ方する」彼らが「何を売り物にして金取ってるか」を理解してない。飯粒に刺身乗っけただけで良けりゃ回転寿司でもスーパーの総菜寿司でも良いんだよ。天ぷら専門店の油は家庭の天ぷらと違って胡麻油だからな？老舗じゃ100％天ぷら用胡麻油なんて店もある。お前らが家庭で揚げてる天ぷらや総菜コーナーの天ぷらとは根本から違う。それ以前にオレ個人的な見解で言えば「そもそも食い物粗末にすんじゃねーよ馬鹿野郎」なんだけど。ダイエット中で糖質抑えたいから寿司屋でシャリ残すだぁ？米農家にコンバインで田んぼ引き回しの刑に処されちまえ馬鹿野郎。そもそもカロリー気にする奴が寿司屋とか天ぷら屋行く時点で頭おかしいけど。技術を売り物にしてる職人の技術を否定するなら「帰れ」と言われても仕方ないと思わんかな？たぶんそれを技術だと思ってないからだろうけど。「寿司なんか自分でも握れる」と思ってるやつはシャリ残しそうだ。「天ぷらなんか自分でも作れる」と思ってるやつは天ぷら屋の衣に価値なんか感じて無さそうだ。そういう本音が透けて見えた行為だから怒るんだよ。オレに8000円で作業頼むのケチった若者は、その作業に8000円の価値が無いと思ったから自分でやろうと思ったんだろう。いや、実際は金無かっただけかもしれんけど俺から見たら「値段提示したら帰った」はそういう解釈だ。自分で数千円の工具買うほどの意欲はないから「工具貸してくれ」という行動に出た。これも金が無いからだろうけど、それは俺が本人からお金ないことを聞いてるからで、何も聞いてなければ「道具さえあればお前の仕事くらい俺でもできる」と言われてるのと同じなんだ。たとえ貸したって彼にはできないよ。あの感じじゃ下手すりゃキャブ外す段階でギブアップだろう。ちょっとイラっともしたし、その前の時点でタダで何度もアドバイス貰いに来てる時点でモヤモヤしてたのもあるんだけど、正式に作業依頼を受けた以上、お客さんなので仕事はキッチリやりますけど。自分が半日かけて悪戦苦闘した挙句に挫折した作業をバイク屋が40分くらいで終わらせりゃ8000円払う価値を少しは理解してくれると信じたいけど。

  2023年09月30日

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• 思いがけない親父の一番弟子

  オレの親父ですけどね。自動車メーカーのエンジニア定年したあとは長年の趣味だったアンティークの時計屋さんをやってんですよ。腕時計のオーバーホールしたり電池交換したりしてんですね。んで、オレの弟は無店舗でネットでアンティークの時計を販売して商売をしてる。元はアパレルの代理店業というかオーナーをしてて都内デパートにも2～３店舗くらいテナントで出店したりしてたのが、コロナ渦で廃業して親父の仕事を手伝ったのが始まりで「これ、ネット使えば商売になるんじゃないか？」と考えて自分で始めたんですな。古い時計を買い集めて、親父に外注委託でメンテナンスを頼んで、完成した時計を写真撮ってネットで販売。最近は自宅の近くにアトリエを借りて日中はそこで撮影や出品、買取なんかをしてる。その流れで行けば、そのうち親父の後継者として技術も継承して後でも継ぐんだと思ったが、弟には「細かい作業が嫌い」という致命的な欠陥がある。弟「親父や兄貴みたいに機械いじりとか小さい頃から全くやらなかったしプラモも作ったこと無いから」と。こればかりはセンスというよりも性格だ。世の中には朝から晩まで読書に没頭できる人もいれば、文字読むと5分で寝ちゃう人もいる。オレなんかは結構一気読みしちゃうタイプだけど、弟は後者だ。同様にガキの頃から手先が器用で何でも自分で直したり図工が得意だとか自由研究で自作のピンボール台とか作っちゃう奴もいれば、ネジの回す方向すらわからない奴もいる。弟はセールスの才能はあるし、商品説明の文面とか書かせると上手い。元々がアパレルで服売ってたんだし。ただ、技術的な仕事に全く関心がない。だから親父に外注で修理を頼んでるわけだな。とはいえ最近は簡単な修理や電池交換は自分で覚えたらしいけど。そんな弟ですが、昨年末に子供が生まれました。嫁さんはなかなかの器というか、バリバリ仕事してて弟に結婚を迫ったのも弟が失業したタイミングで、それを言うと「子供出来るまではアタシ働けるし」と意にも介さなかったタマである。それが出産して4か月、まだ産休中なんだけど、最近は弟のアトリエに出入りして親父の店にも行ってるらしい。オレ「嫁が何しに親父んとこ行ってんだ？」弟「なんかアイツ、親父に弟子入りした」まぁ育児もあるから毎日行くわけにはいかないが、弟が自宅で子供の面倒見る日は親父の店に週に1度か2度通ってるとか。どうやら産休中に弟がブツクサ言いながら好きでもない時計の修理を覚えようと作業してるのを見て興味を持ったらしい。「なんか面白そう」という嫁に弟も驚き「興味あるなら手伝う？」と手伝わせたら意外にも適性があったらしく「なんなら親父に頼んで教えてもらえば？」という流れで、まぁ空いた日に親父の店の出入りしてるとかで、先日も初めてオーバーホールして動くようになった時計を見て歓喜してたようで、弟からそれ聞いた親父が「はやくねーか？まだ2か月だぞ？」と飲み込みの速さに驚いてたとか。どうもそういう細かい作業が好きみたいね。今じゃ時計用語もどんどん覚えて弟よりもセンスあるとか。「まさかそんな才能があるとは思わなかったよ」とは弟の弁。弟からすれば、これで嫁が時計屋の修理とかを習得したら夫婦で個人事業で開業届けだして嫁に分散して売らせれば2人とも売上1000万以下で抑えて免税対象のままいられるとか企んでるらしい。それがＯＫなのかは税理士に聞けとは言っておいたけど。弟の嫁からすれば産休中の今の職場もそんなに楽しいわけじゃないし、時計屋の技術を覚えて夫婦で共稼ぎするより弟手伝う方が得だと思えば退職も考えてるらしいけどね。ただ単純に今まで仕事を楽しいと感じた事がなかったらしいので、損得抜きで親父の後継者になるかもしれない。オレね、逆に今までの人生で「仕事楽しくない」と感じた仕事をしたことがないんだよな。いや、もちろん仕事してりゃ嫌な事なんか山ほどあるし「辞めたろか」と思うこともあるけど、基本的には何か目標とか目指すものがないと仕事面白くねーだろと考えるタイプなんで、やりたくない仕事を長く続けられる人が逆にスゲーなと思うよ。でも親父は親父で、いきなり若い嫁が弟子入りしてきたことで、まんざらでもなさそうだ。弟は完全に「仕事として必要だから」と覚えてたけど、弟の嫁は興味から自発的に覚えたがってるんで教え甲斐もあると。動かない時計が自分の手で動き始めるのが楽しいと言うことなんで天職だな。バイク屋に見習いで入った頃のオレも不動車を起こして始動したときはテンション上がったし。まぁ28年もやってる今となったら日常の出来事なんでそんな大袈裟な感動はないけれども、それでも仕事中は嫌々やってるわけじゃなく時間忘れるくらい没頭できてるんだから好きなんだよ。人間はどこに才能があるかはわかんないんだけど、どんな人でも何かしらの才能はあるはずなんだよ。どこに才能や適性があるかを見つけるのは大変なんだけど、ほぼ高確率で見つける方法としては「興味があるかどうか。好きかどうか」だろうな。興味ないことに才能が眠ってる可能性って多分ないんだろうし。

  2023年06月12日

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• 勤労意欲の国民性

  ウチの店によく来る常連さんでウーバーの配達員やってる人がいるんですよ。その人は昔は歌舞伎町でちょっと怪しい金貸し事業とかやってて、旅行で行ったタイで知り合った現地のタイ人女性と結婚して今は店の近所に引っ越してきてんですけどね。なんで都内から埼玉に引っ越して来たかってのは「嫁さんがこっちの大きな工場で社員してるから」と。オレ「タイ人で日本語検定取っててペラペラって奥さん結構エリートですか？」常連「今はね、生まれた村は水道も無く土の上にゴザ敷いて寝て雨水飲んで生活してたような家だよ」オレ「それが今じゃ日本で生活ですか。やっぱエリートですね」常連「タイ居た頃で月給11万バーツくらい稼いでたらしいから」オレ「それ高いんすか？」常連「普通の庶民なんか3～４万バーツくらいじゃない？」当時の日本で例えたら月給50万くらい稼いでた女性ってことになるらしいので相当なもんだ。常連「タイ人にしてはメチャクチャ働き者だからね、ウチの嫁。」タイには何度も行ってるらしく、嫁の親戚なんかとも馴染みだそうで「親戚50人とかいて、マトモに稼げてる男手が少なすぎんだよ。みんな俺とか嫁がいざとなれば助けてくれると思ってる」将来的にはタイに移住して何か商売をして左うちわで暮らすのがその人の夢だそうで…常連「社長もタイでバイク屋やればメチャクチャ儲かるよ」オレ「日本から出る意味があまりないんですよね。タイがバイク大国なのは知ってますけど」常連「タイでバイク屋やろうかなー。バイク屋って簡単にできます？」正直、聞き方にちょっと引っかかる部分はあった。オレ「簡単ですよ。ボルト締めて緩めて部品外したり付けたりするだけのカンタンなお仕事ですもん」常連「タイのボンクラな親戚の中で若いの連れて来て社長（オレの事）が教えればタイでバイク屋できるかな？」オレ「人雇う気はないですよ。わざわざ教える暇もないですが、見学で邪魔にならない所で見てる分には別に構いませんけど」常連「見てて覚えられるもん？」オレ「イチローの打撃をYouTubeで見るだけでマネできて150キロの球を打てるくらいの天才なら可能です」常連「嫁の親戚の若いのにさ、タイで以前ラーメン屋やらせたら結構繁盛してて、オレ追加で200万ほど出して2店舗目も出せって貸したら、アイツ借金まみれでサラ金に全額返済して、そうこうしてる間にコロナで店潰しやがってさ。俺の200万溶けただけだよ」オレ「その200万は返してもらえてんですか？」常連「利息すら返さない。そのうち返すって言うけど」オレ「申し訳ないですが、借りた金も返す気ない人間をオレのとこで教育しても半日でクビにすると思います」常連「あの親戚連中を食わせていくのに俺と嫁だけじゃ無理だから、せめてもう何人かマトモに稼げる商売やらせたいんだよね。タイでバイク屋やれば儲かるなと思ってさ。」オレ「まぁ他人様の親族の事なんで、あまり立ち入った事を言うのもアレなんですが…」常連「良いよ何でも言って」オレ「人間、返さなきゃいけない金とか自分で稼いだ金で事業やるとか投資するなら、本人の努力次第で成功する可能性もあるんですが『どこからともなく降って来た金』で事業や投資すると９９％負けますよ」常連「安易に金貸さない方がいいのかな、やっぱ」オレ「ニートが働かないのは働かなくても生きて行ける環境を親が用意してるからですが、それと同じで商売コケても金出してくれる人がいたら真面目に働かない人種はいますし」常連「稼ぎ方教える意味でもバイク屋の仕事覚えさせるかー。未経験が店出すならどれくらい期間必要です？」オレ「まぁ最低2~3年あれば本人の努力次第でそこそこ形にはなるんじゃないですか？」常連「そんなに？社長が3ヶ月くらいでスパルタで叩き込んでも無理？」オレ「脱サラしたラーメン屋じゃないんですから。まぁ3ヶ月分の俺の売り上げをギャラとして貰えた上で、1日4時間くらいしか寝ないでオレと付き合う覚悟と志があれば別ですが、サラ金で借金して借りた金も踏み倒す奴にそこまで根性あるとは思えませんし」というか3ヶ月でバイク屋できると思われてる時点で、多分この人がタイでバイク屋やっても失敗すんだよね。どうも話の節々でオレと組んでタイで事業やろうとか企んでる雰囲気あったんで、巧妙に迂回したけど。タイ人の嫁の親族をなんとか生活レベル上げてやりたいという想いだけは伝わって来たけど。ただ、結局は本人に「どんだけの覚悟があるか」じゃないかと。極貧で雨水で生活してた村で生まれて必死で勉強して日本語覚えて日本企業の工場で働いてて日本人の旦那と知り合って日本に移住して日本の会社で正社員として採用された嫁さんを見てれば「結局そういう事だな」は分かりそうですけど。その常連さんいわく「日本って富裕層と庶民の比率ってピラミッド型ですけど、タイって砂時計なんですよ。上と下が多くて中間層が少ない。んで一部の例外除いて下から上の層に移れる奴はいないんです」オレ「いや、奥さん下で生まれて今は上の層じゃないですか」常連「あれは例外だよ。日本で働くために日本語検定猛勉強して2級取るくらいストイックだから」いや、だからそういう事だと思うよ？と（笑）その常連さん的には「やる気ないヤツにせめて技術だけでも教えて商売やらせたい」なんですな。でもオレは「やる気ない奴が習得できる技術なんか無い。相応の犠牲と覚悟ありますか？」なんだ。日本が戦後焼け野原から経済大国になれたのは、日本人の国民性に拠るところが大きいんじゃないかな？忍耐強く、集団協調性が高く、勤労意欲が高い。もちろん今思えば無茶な労働環境とか今基準で言えばパワハラなんかも普通にあっただろうけど、そんな細かい事は強引なドリブルで突破するくらいの底抜けの勤労意欲があったんだよ。今の子ほど賢くはないが打たれ強さと体力だけはあった。まぁ、勤労意欲と言う意味じゃ今の日本も随分とぬるくなったけどね。「働き方改革？」知らねーよボケ。テメエの働き方もお上に指示されなきゃ決められねーの？お前は小学生か？会社が嫌なら辞めろよ。別に頼まれて働いてるわけじゃないんだろ？今ね、職場で上司が部下にミスを叱責するとパワハラなんだそうです。これが将来どうなるか？「ポンコツの若手を誰も教育せず放置」の状態になるんだよ。ガキの頃から競争良くないと全員一位とか順位つけませんとか自己肯定感だけ高めさせてコンプレックスも劣等感も無いままノーストレスで温室栽培して成人したら一切フォロー無しで競争社会にぶち込むんでしょ？むしろ今の子の方が可哀相だわ。何の免疫も無いまま社会に放り出されるんだから。会社でも今だと男も育児休暇取れるじゃない？それはそれで時代だから良いと思うよ？ただ、たまにネットでも見るけど「上司に育児休暇申請して育休明けたら他の部署に飛ばされた。パワハラだ」みたいな声を聞くと「それはそうじゃない？」としかオレは思わんかな。育児休暇を取る権利は、別に君の出世や業績を保証する制度じゃない。「職場にとって有益で優秀な人材」が相応のポストに就いて出世してくの当然じゃん？皆が動いてる中で休むなら、その分置いて行かれるの当たり前じゃない？休んでるオマエの出世レールも誰かがトロッコで押してやらなきゃダメ？甘えんなボケ。業績や会社での出世競争とかを犠牲にしてでも我が子の育児が大事だから2択で片方捨てたんでしょ？これプロ野球とかで例えたらわかりやすい？昔の選手って「多少のケガは隠して」試合に出てたのさ。ホントに無理な時はコーチが気付いて交代させる。基本的に自分から出れませんとは絶対に言わない。以前、日ハムの杉谷が死球を受けて倒れた時に駆け寄った監督の栗山。栗山「杉谷、痛いか？」杉谷「痛いっす」栗山「痛いなら抹消（2軍行き）するぞ？」杉谷「いけます！」そりゃそうだよ。レギュラー掴んでもいない選手にとって、せっかく起用された試合で欠場するって事は他の奴にポジション奪われるって事さ。投手でも、我らが阪神には一昔前にJFKと呼ばれたリリーフ3人がいて、久保田なんか60試合以上投げてた。数年前まで中日に在籍してた浅尾なんかも70試合くらい投げてて、周囲は「浅尾潰す気か」と批判する声もあった。でも当の浅尾は「自分の居場所があって華咲かせる場所を与えられる方が良い」と逆に感謝してたくらいだ。まぁ結局は選手生命は長くなかったけど、爪痕は残したからな。肩を大事にして試合に出れないで自由契約にされるくらいなら壊れる覚悟で投げさせろってのがプロの投手だろう。昔ヤクルトの副島がフェンス際のフライをフェンス怖がって捕れなかった時に古田が「レギュラーも取れてない奴がフェンス怖がるとか10年早いんじゃボケ」と一喝したけど、今の会社でこんな上司いたらパワハラだよ。でも、プロの世界はそうなんだよ「お前試合出れなきゃそのうちクビなんだぞ？」と。守備固めで出て来た志田が最後のフライを野手二人で追ってる時に引いて譲った時も古田は「オマエ守備固めで出て来てフライ譲るとか何しに出て来てんだ！」とキレられてたけど、普通なら「良いところを見せたい」と自分から出ていくところなんで当然ではある。まぁ勤労意欲の話からいつの間にか野球の話になってたけど、要するに『志』が無い人間は成功から遠ざかるだけだし、逆境を跳ね返すパワーって「目標」とか「志」が無いとストレスにしかならんとオレなんかは思ってるタイプです。なので、こんなブラックな思考の奴は絶対に人を雇ってはいけない（笑）ましてや親族にお金たかる外国人とかとてもじゃないけど面倒見る自信はない。他人の金で日本来て他人に言われて学びに来る人間とか見込みないだろうと。俺の価値観が今の時代にそぐわない自覚はしてるのだ。でも自分の勤労観を世間にあわせて変える気も無いし自分が正しいとも思ってない。ましてや外国人にそれを理解してもらえるとも思ってないので。とはいえ、タイとか台湾とか仕事抜きにして一度くらい観光してみたい国ではあるんですけどね。なんせワタクシ、生まれて一度も飛行機に乗った事が無いので、自分の夢の一つが「空を飛ぶこと」だったりするので。でもパスポートは持ってるんですよ。何でか知らないけど数年前に「そうだパスポート作ろう」と思い立って作ったんです。あー、思い出した。確か前の会社でマレーシアに店出すから行かないかみたいな話が出かかった頃かな？普通に断ったけど。44年地に足つけて生きて来たけど、一度くらい離陸を経験してみたいですな。

  2022年05月30日

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• 後進の育成に必要なものをブラック志向のメカニックが語る記事

  独立後も前の勤務先から外注委託と言う形で仕事をときどき頼まれるので、顔なじみの管理職とも話す機会があったり、たまに愚痴も聞かされたりする。元は中にいた人間だし馴染みの相手なのもあるので、独立した今となってはオレも忌憚ない事をズケズケ言ってたりします。「整備士足りないんだよ。どこかに良い人いたら紹介して」オレ「整備士増やしたいんすか？」「うん。専門学校とかの新卒みんな大手メーカー系ディーラーとかに取られるし」オレ「増やすのは簡単でしょう」「そうなん？」オレ「その大手より良い条件を提示すりゃ黙ってたって新卒の応募殺到しますよ」「そりゃそうだけどさ」オレ「もしくは、待遇以外にモチベーション高まる何かを提示するかですかね」オレ別に難しい事は言ってない。ただ正解を出してるだけ。就職氷河期をど真ん中で経験した世代のオレとしては、人手不足なんて逆に良い時代じゃないかと思うわけだけど。まぁ、オレのいる自動車業界で言うなら、メカニックなんて長いこと冷遇されてセールスとか営業職に振り回されてきた稼業なんで、ぶっちゃけモチベーションのみで続けてる人間しかいなかった。だから離職率が高い。曲がりなりにも国家資格所有者でこんな離職率高い稼業珍しい。職場内での人権も平等じゃなく、基本的に整備士より営業職の方が上に見られる。下手すると、ある程度経験積んだメカニックも良い年齢になると配置転換とかでセールスに回したりされる。もちろん適性もあるんだろうし、オレは一度も打診された事はねーけど（笑）偏見込みで言わせてもらうなら、車屋、バイク屋で根幹職ってのは営業じゃなく整備職だ。店舗で顧客にクレーム発生させるのほとんどはセールスだ。店の信用とか評価を担保してるのメカニックだからね？その証拠に、オレが前居た店じゃ月に3件4件はクレーム案件出してた。大炎上クラスのクレームでも年に何度か出てた。オレ、去年の2月から独立して店始めて1年2ヶ月経過するけどクレーム０だぞ？本来はもっとメカニックは評価されなきゃおかしい。前の会社の管理職の愚痴に「新規出店しようにも整備士不足だから整備は外注に依存してる」なんてのもあった。店出すのに必要な人材なら相応の待遇で新卒集めて教育に金かけて、辞めていかないように繋ぎ止める努力をすりゃいいじゃん。技術者を一人育てるのに費やす時間と費用を少し舐めてたツケじゃないの？とも思うし。「人を雇う気はない？もう少しウチの外注受けてくれると助かる」みたいな事も言われるけど、それに対しては「オレはオレの店の客優先だから今以上は無理」と突っぱねた。自社で育成しなさい。まぁ、とはいえ長く世話になった恩もあるし恩義も０じゃないし、顔を立ててあげたい人もいるから仕事は請けてるけど。「人を雇う」に関しては確かに仕事はクソ忙しいけど今のところは考えてない。まぁ週に２～３日パートで事務仕事とか細かい雑用やってくれる人でもいるなら欲しかったりするけど（笑）オレが人を雇わないのは自分の中の勤労観が明らかに現代の労働観念から外れてる自覚があるから。ぶっちゃけ端的に言えば今の若い子の理想って「なるべく楽して稼ぎたい」でしょ？オレの同業の知り合いにね、10年くらい大手中古バイク屋で経験積んだ後で「自分の理想とするショップを開きたいから」という理由で、ちょっと有名な旧車のカスタムビルダーというか千葉のカスタムファクトリーに修業行った後でショップ開いた奴いるのよ。元居た店でも工場長やってそこそこ給料貰ってて嫁さんもいたのに「タダ働きでいいから働かせてくれ。ノウハウを学びたい」とそのカスタムビルダーの所に頼み込んで休みなしで通って2年くらいかな？フレーム加工とか溶接とかレース用パーツの製作ノウハウとか修業してた。さすがにそこの社長もタダで使うわけにはいかないと、多少のバイト代は貰ってたようだけど、まぁコンビニでフルタイムやった方がマシみたいな給料で30過ぎて再修業してた。嫁も働いてたから生活は何とかなってたようだけど。まぁ大手じゃ、あまり特殊な整備とか重整備はやらないからね。スキルアップのために修業が必要だと考えたんだろうけど。オレは「その意気や良し」と思ったよ。そのショップは採用の年齢条件が30歳未満だったので、30過ぎて雇ってくれとは頼めない。それに学ばせてもらう身なんで給料は要らない、と。オレが人を雇うとしたら、まず覚悟と志の有無が条件になる。「とりあえず仕事覚えたいなら他でバイトでもしながら生活費稼ぎつつ空いた時間に手伝いに来なよ。ある程度仕事覚えて稼げるようになったら給料出すけど、それでもいい？稼ぎ出したら完全歩合にするよ」みたいな。もう従業員と言うより弟子だな。それこそ落語家の前座みたいなもんだ。それが嫌なら学費貯めて整備士の専門学校行けばいい。オレは授業料取らないで仕事教えるけど給料は稼げるようになるまで出さないよ？だから、どっちか好きな方選びなさいと。…こんなことを今の世間で公言したら「ブラック職場だ！」「やりがい搾取だ！」とか叩かれるじゃん？「ブラックだからオレ一人でやってんだよ！」「オレに搾取されたくらいで枯れるやりがいなら捨てちまえよ」ですよ。タダで仕事教えてもらっっといて搾取とは何事だバカヤロウ、みたいな（笑）ただ、オレも自分で店を経営して痛感したけど、よくオレが18の頃にオレの師匠にあたる社長はオレに給料出して拾ってくれたな、とは思う。いや、今じゃ考えられないくらい安月給だったけど、それでも金くれるだけ有難いみたいな。まぁ冒頭で「人欲しけりゃ待遇よくすりゃ応募殺到しますよ」と助言してる俺の本心がコレなんですが、だからオレは人雇わないのです。別に俺が頼んで働いてもらうわけじゃないから。ただ、オレがホントに忙しくなって「誰か助けてくれ」となった場合は、それ相応の報酬は用意するのが筋だ。オレが最初に入った店で安月給だったのは「オレがバイク屋で働きたいと言ったから」であって「じゃあウチで拾ってやる」という経緯だからオレも満足してただけ。でも「ウチで働きませんか？」のスタンスなら頼んでる側がそれ相応の待遇を用意するべきなんだよ。仕事って原点はそこだと思うし。大きな会社で「新人を育成して将来的には会社に貢献して利益還元してほしい」というスケールで考えるなら、投資として相応の待遇を用意しなきゃダメだし、仕事にもモチベーション保てるような状況を作らないと辞めてくし、そういうところからじゃない？ましてや技術職の職人なんか、最初は絶対に給料分なんか稼げない素人なんだから育てるのに時間かかるよ。人間ね、仕事に必要な要素も働いてる目的も人それぞれ違うからね。所帯が大きくなるとそのへん統一なんかできないから、モチベーション枯れてる社員も出てくるし、やる気なくさせる上司とかも出てくるし1人で好きに仕事してる俺と大きな会社じゃ測る物差しが違うから仕方ないんだけど。ただ、人は目標とか志があると疲れを感じないしストレスも消えるからね。上司が部下の育成に必要な要素って、極論それを与えられるかだけじゃないかと思うけど。まぁ待遇良くして人集めろとは言ったけど、ボンクラに月給100万とか出したら満足して成長の努力をしない気もするので、結局は「正しく評価して相応の待遇を用意してやる」でいいんじゃない？だから俺は「最初は給料出さないけど稼げるようになったら完全歩合にしてやる」なんだけど。えぇ、ブラックですよ？でも、それで腰が引ける程度の人材ならその程度だろうから他当たりなさい、で。最初から公言してるだけ優しいと思うけど。仕事舐めてる奴雇うほどボランティアじゃないよアタシゃ

  2022年04月29日

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• 優秀な営業は技術屋を理解できる人。逆も然り

  前に居た会社の話ですけどね。もう何年前かなー？６～７年前かな？当時も記事にした気がしたんだけど、前居た会社で「整備士志望の女性」の採用面談に同席させられたことがあります。どれだっけな？と過去記事探してみたら出て来た。これかな？​オレは男女は平等じゃないほうが良いと思うけどね​その時は「いったんセールスで雇用して整備士の現場も見ながら慣れてきたらメカニックに配置換えしても遅くないんじゃない？」という案で採用した。そしてそれから二年後の後日談がこれかな？​最近の職場の出来事から人生を考える​セールス2年やって成績もよく、セールスとしては一人前になった頃に「あの時野村さんと約束しました」と上長に整備職への転身を直訴。約束したのは俺じゃなく採用担当のマネージャーだが、この案を提案したのが俺なので全く関係ないわけではない。セールスとしては充分な戦力を今更メカニックにすることに会社は難色示してたけど「言われた通り営業でキッチリ結果出した」という事実を担保に「約束だ」と言われたら誰も文句言えないだろうと、その時はオレも整備士やらせようと進言した。昨年俺は会社辞めて開業したんだけど、先週かな？前の会社から外注委託で整備請けてるので車両を持ってきたメカの子と話をしてたら…「Mさん（その女性メカニック）が辞めるみたいです」オレ「へー、あの子何してたの？」「A店で整備士として予約の点検担当やってたらしいですけど並行してフロアで営業もやってたとか。んで去年かな？結婚して旦那さんの地元の方に引っ越すとか」オレ「二刀流の大谷翔平みたいなっとるやん。というか、せっかく職人としてモノになったのに勿体ないな」「でも旦那さんバイク屋さんやるみたいです。なんか2級取る時の振興会の講習で知り合ったバイク屋さんだとか」聞けば社内ではなかなか評判良かったようだ。営業経験積んでから職人になり、職人サイドから営業ができて営業サイドから職人を見れる。ある程度の所帯規模の車屋とかバイク屋になると、えてして営業とメカニックの対立や意見衝突は不可避と言えるレベルで起こる。建設業なんかで営業管理と現場の職人がケンカするのと似た構図だ。この衝突は職人側のオレの主観で今までの経験で言うなら「見てる対象の違い」から起こるのだ。メカニックという人種は「車体の状態。クオリティ」と「顧客」しか見てない。「しか見てない」は言い過ぎだが、基本的に視点がほとんど「会社の外」を向いてるのだ。お客さんがどう思うか？自分の整備した車両のクオリティ、顧客の満足度、他所に見られて恥ずかしくない仕事してるか？とかが優先で、社内予算だとか月内の納車目標とか費用対効果とかって項目はおろそかにしがち。一方の営業は顧客を見てるのは商談時と納車までだ。そして、売上目標と自身の成約台数と社内目標に視野が集中する。それはそれを求められてる職種だから。互いに反対を見てるので意見が合うはずがないのだけど、そこは大人なので互いの相互理解をコミュニケーションで深めれば解消する問題もあるのだ。ただ、メカはどこまで行っても営業の事はわからない。営業もメカなんて人種は融通利かない頑固で面倒くさい連中だと思ってる。だいたいは若い営業なんてのは、出来もしない約束してメカから「テメエの一存で整備士の仕事を安売りすんじゃねぇ」と怒られるのが誰もが通る道みたいな所もある。でもメカも人が良いからキレながらも頼まれた仕事はなんだかんだ納期間に合わせて予算内で収めたりするんだけどさ。オレはその女性が整備士志望した時に「女に出来ない仕事もあるから、出来ない事はやらせない」と否定的だった部分もあった。ただ、どうも話を聞いてると「営業経験した女性メカだったからこそ」できたこともあったというか、要するに彼女が居たことで営業とメカの間の関係性が抜群によかったんだとか。まぁ、さすがに相手が女性セールスだとメカニック側も強く言えないところもあるし、その子もメカニック側の実情や苦労や理不尽も経験してるので、そもそも仕事の頼み方が上手い。よく営業側の無茶振りに対してメカは「そんなに言うならテメエがやれよ。テメエが客と約束したんだろ？」と詰め寄って営業側が黙るみたいなシチュエーションもあるんだが、それを彼女に言うと普段点検や納車前整備メインの仕事しかしてない子なので怯むどころか喜んで「じゃあアタシやります！」くらい言いかねない。なんだかんだ一人前の人材だったらしいし、採用に一枚噛んだ身としては当時のオレの予想を超える人材に化けたのでオレ自身いい勉強になったかもしれない。「女性は苦労する」と思ってたオレに対して「女性だからこそできたこと」を見せてくれたし。ずっと技術屋で生きて来て去年独立して開業したオレだけど、今でも営業スキルが自分にあるとは思ってない。営業を理解してる自覚も無い。なんなら営業というより経営者のはしくれだけど、経営スキルが自分にあるとは全く思ってない。なんせ公庫の融資受けに行くときの事業計画書の作成すら書き方わからず苦戦したくらいだ。長くこの業界にいると腕は良いのに潰れた店も知ってるし、腕は大したことなくても繫盛してる店も知ってるけど、それぞれが潰れた理由、儲かってる理由はオレにはわからない。経営知識のある人が見れば分析できるのかもしれないけど。少し前に以前いた会社でオレも顔なじみの経営幹部の人が会社辞めて自分も店やるとオレの店に遊びに来て話した事がある。俺とは違い、スタッフ3人くらい入れて幹線道路沿いの大店で在庫も100台くらい置けるような店舗を探してるとか言ってた。開業資金は自己資金で1000万くらい用意したとか。オレの店が砦や一夜城だとしたら、向こうは姫路城くらいはありそうだ。オレの仕事の話になって色々話したら、その幹部から「単価安くねぇか？」と言われた。その人に言わせれば、店の家賃、借入金の返済、在庫期間や一広告宣伝費、光熱費などを計算して俺が一か月で捌ける台数とかでレバレート出したら、経営として見た場合はもっと取るべきだと。ちなみにこの人は前の会社の経営陣では珍しく「技術職の理解ができてる管理者」である。オレが独立するから会社辞めると挨拶行った時も「お前の腕は疑わないけど店の経営が上手くいくかは二の問題」と助言された事も思い出す。オレ「あんま細かい計算してないんすよね。1日いくら稼げば生活していけるかな？程度しか。ぶっちゃけ赤字じゃなきゃ金増えんだろみたいな」「投資回収何年で設定してんだ？」オレ「設定？特にしてないっすよ。公庫からの借り入れは金貯めたら一括で返すかもですが。」「商工会とか入って別口で融資とか受けて前歴を作った方が良いぞ。いざというとき役立つ」オレ「別に借りるほど金困ってないですし…Z2とか仕入れるなら金要りますけど」「販売延ばさないとお前が一か月で動ける時間は限界あるんだから上限が決まっちゃうぞ」そこで細かい数字の説明をされ、客単価を上げた方が良いという助言も貰う。言ってる内容は難しいが言いたいことはわかる。融資は借金じゃなく投資であって、100万借りても、その金が200万になれば借金では無いという理屈もわかる。この人が語ってるのは「経営者としての思考」だろう。オレの根幹にあるのは「自分の腕でゼニ稼いで食えてりゃ上出来」という職人の目線だろう。この人は自分の店を大きくしていきたいのだ。オレは大きくしたところでオレのキャパを超えたら仕事回らなくなるじゃないか、というレベル。プライムガレージ二号店とか全く興味がない。自分の見えない所で自分の金が増えたり減ったりとか気味悪いじゃないか、と。こんなこと言ってる奴に経営者の才覚なんか無いのだ。職人が自分の作業場をこしらえて全部一人で整備して1人で売って誰にも干渉されずメシ食って行ければ満足だというレベルの野望でしかない。…ていうか多分そんなに言われるほど安くも無いと思う。そりゃ前に居た会社よりは安いけど、それは店の規模が違うし従業員の数も違うし店の広さも家賃も違うから、それら経費が価格に乗っかるだけでしょ？自分を安売りしてる気は全くない。実際、少し前に他の店より最終的に「ちょっと高くついたな」と思う請求書を出したこともある。色々と手間かかったしね。でも、車両引き渡してお客さんが帰った数時間後に店にメール来て「走りが見違えて感動しました。ありがとうございます」とわざわざお礼のメールが来て、なんかGoogleマップのクチコミ評価までつけてくれた。お金を貰ってオレは「ありがとうございました」と送り出す。他よりちょっと高くなった金払った側も「ありがとうございました」とメールで礼を返す。職人として満点じゃないか？と。そういう意味で、その元幹部の人は「お前はもっと高く自分を売るのが経営だ」と言いたいんだろう。職人を理解してる営業、経営者の視点だ。ただ、オレは…というか、オレじゃなくても技術職に携わる全ての人間は「信用、信頼」も「お金」と同価値で見てるのだ。自分を高く売る為には時間がいる。実際にお客さんの目で仕事を評価してもらい信頼を作る必要がある。いくら腕が良くても仕事頼まれない技術屋は食えない。このメールくれたお客さんは次同じ故障しても同じ金額を喜んで払ってくれる。安くたって「仕事任されて仕事見てもらえれば勝ち」みたいな感覚が職人にはある。「自分を安売りしたくない」というプライド。そのプライドを維持する為の実績や努力。一方で「金額二の次で良いからまずは俺に仕事させてくれ、そこで信頼を得る自信はある」という、採算度外視の願望。いくら球速くてもマウンドに立てないピッチャーに価値はない事も職人は知ってる。この相反する矛盾を矛盾だと思わずに至極当然と持ち合わせてるのが職人なんです。こればかりは一般の営業という人種には理解が難しい。「だったらテメエがやれ」と営業にキレるメカでも「わかりました、すいません」と営業が自分でやろうとすると「いいよ！オレやるから。テメエにできるわけねーだろ」となる。なんだよ、自分で言ったじゃんかよ、みたいな。まぁ、営業とか管理職が職人を理解するのは難しいんです。職人だって営業の苦労なんか理解しきれないんだし。俺だって下手すりゃ40超えるまで営業の事なんか理解できてなかったしね。いい歳になると「理解してほしけりゃこっちからも理解する動きをした方が早いな」は気付いたけど。「理解できない」と「話を聞かない」「見ない」は大違いだ。自分を理解する気が無い人から「いいからこれやってくれ」とトップダウンで仕事振られるのって一般の会社だと言われる側のモチベーション下がるだけなので管理職もあまりやらないんだけど、なぜか自動車バイク業界って、この図式が普通にまかり通るんだよね。この元幹部の人をオレが買ってるのは「整備の事は整備士の言う事を前提で考える」をやり続けてきた営業職上がりだから。営業が職人に言う事聞いて欲しいなら一番速いのは「恩を売る事」だよ。例えば納期が迫ってる車両が間に合わない。ここで「何日までに終わらせてほしい」と頼むと、逆に整備士に借りを作ることになる。人間、借りがある人間にはものを頼みにくい。ただ、そこで「じゃあいつまでに終わりますか？」を聞き、それをお客さんに営業から電話して納期を延ばしてもらった。自分の為に頭下げてくれた営業なら職人は信用するよ。相互理解。多分これって他の業界でも通用すると思うし、なんなら人間関係全てこれで通用するんじゃないかな。夫婦関係とか正にこれじゃねーかな？オレ独り身だから知らんけど、相互理解の欠如で失敗した経験は結構あるのだ。

  2022年01月19日

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• 仕事は本気でやってるとちゃんと見返りがある話

  オープンが近づくにつれ、楽しみなのはあるが同時に楽観視して浮かれてるだけで済む話でもない。会社に守られながら他人の要求で働くよりは、リスク承知で自分の好きなように仕事したいという覚悟の上での決断だから、仕事は自分の力で取って来なければいけない。そんな中、以前にオレがまだ会社にいた頃に都内の店で同僚だった人でSさんという人がいて、今は会社辞めてビルの管理人かなんかやってる人なんだけど、その人から電話が来た。実はその日、オレはバイクの仕入れに千葉まで行った帰りに前の会社で世話になった副本部長のいる拠点に挨拶に顔を出した。近くまで来たのに素通りするのも不義理だし、世話になったり世話したりした人なんで。「バイク屋やるんでしょ？今度遊び行くよ」みたいな世間話をしたくらいで大した話はしてないで帰って来た。その日の夜にSさんから電話が来て「Tさん覚えてる？」と。Tさんてのは俺が都内の店にいた時の店長で俺やSさんの上司だった人なんだけど、今はマネージャーになってて、オレが会社辞める時は埼玉エリアの店を管轄してた人。最終学歴中卒で若い頃は金貸しやったり不動産屋やったり色々な職歴を経て今の会社に入ってきて、一日にピース4箱くらい吸う最上級ヘビースモーカーの店長だった人で、タバコ切れるとスペックが一気に落ちるがニコチンが補充されてる間は恐ろしく仕事ができて頭の回転も速かった人。営業職としてはメカニックのオレの仕事を一番評価してくれた人でもある。Sさんは会社辞めた後もTさんとは飲み友達で頻繁に飲んでたらしく、その日も一緒に飲んでる中の会話でTさんから「昼間副本部長からノムさんが店やるって聞いたんだけどノムさんと連絡取りたい」と言われたとかでTさんの番号教えるから電話してほしいと。Tさんと最後に話したのは俺が栃木にいた頃なんで、もう７～８年前だ。一体何の用事だろうと電話。Tさんいわく「埼玉のウチの店の仕事を外注で受ける気ある？」と。今は埼玉の管轄を外れたんじゃないかと聞いたら「そうそう、本来ならオレ関係ないんだけどさ」と事の顛末を話してくれた。なんでも埼玉の店で整備士が抜けたらしく整備士が一人になってしまった。近隣の店だって人的余裕はない。そんなわけで埼玉の店の店長が数ヶ月前まで上司で今は東北にいるTさんの所に「東北の店の整備士を貸してくれ」と泣きついてきた。「近隣の同業者で外注でも受けてくれるショップいくらでもあるだろ」と最初は突き放したらしいのだけどバイク屋なんてピンからキリまでいるので、ハズレ引く可能性もあるし人脈もない、と。それに会社の規定で認証工場取得してるショップじゃないと取引できないし。どこも人手不足である。そりゃ俺がいた茨城の店も4人分の仕事2人でやってたくらいだからな。「人が出せないならどこか腕は確かで信用できる店を外注先として紹介してくれ」という流れの中でＴさん思い当たる人間が一人いるぞと。そういえば副本部長から野村が会社辞めて独立するという話を聞いたばかりだと。元社員でスキルや仕事ぶりは知ってる。資格も認証工場も問題ない。唯一の懸念は会社を辞めた理由次第じゃウチの仕事は受けないとか言い出しそうなタイプだと。そんなわけで俺に「ウチの仕事受ける気はある？」という話になった。埼玉の店は3年目くらいの整備士が一人で右往左往してパンク状態らしく、販売したバイクの納車整備も滞り、それはまだいいけど故障修理車も溜まっててどうにもならんと。まだ若手で故障の診断も時間がかかったり時間取られて全く仕事が進まない状態だと。俺としても悪い話じゃない。悪い話じゃないどころか、まだオープン前で仕事も無い状態でいきなり大口の仕事依頼の契約だから食いつきたいくらいのもんだ。会社辞めた理由というかキッカケは人事評価のオレに対する会社の評価の低さで「いらねーっていうなら辞めます」なんだけど、そんなのは火種で、大きな理由は一人でやりたいってだけだ。前にも書いたけど会社に不満はあっても世話になった感謝はしてるのだ。オレは当面仕事が入るし会社は助かるなら商売としては良い話だ。今まで雇用契約で給料もらって与えられた仕事をしてたのが、今後は提携契約で請求書送って仕事するのに代わったくらいのもんか。T「じゃあ店長には電話しとくよ。熊みたいなヤクザ風の男が行くけど通報するなって」なんか引っ掛かるが聞き流そう。とりあえず翌日、その埼玉の店の店長に会いに行く事にした。その埼玉の店の整備の子は俺も彼が入社直後に面識があるし、営業の女性はオレの栃木時代の同僚でもある。店に着くや否や、その営業の女性に見つかる。「今どこの店にいるんです？」オレ「あぁ、オレ辞めてから一人で店始めるんで今日は仕事受けに来たんです。」ピットに行くと整備の子がいた。「あ、ノムさんお久しぶりです。」俺「お久しぶりですねＦさん」「…なんで敬語なんすか？」俺「オレもう先輩じゃないし今日は仕事の話で依頼者に会いに来た業者ですし。店長さんいます？」「仕事受けてくれる店ってノムさんのことすか？」俺「なんか文句あるのか」「言葉元に戻ってるじゃないすか」その後、店長さんと面談。オレはその店長を知らなかったけど、店長さんはオレの事を知ってた。条件や依頼の流れなんかを確認して合意。あとは会社に申請上げて稟議通したり反社チェックとか諸手続きはあるらしいけど。その時の会話で聞いたのは、会社辞めた元社員で独立した人間は何人かいるけど、コネや縁があっても取引するかどうかは上層部判断だし、判断基準はやっぱりドライに損得計算して成果が期待できる相手じゃないと、そんな簡単な話じゃないらしい。ただ、オレの場合は在籍時の業績も良いし、新人整備士の講師役やらされてた人間なんで上層に申請出しても蹴られることはまずないだろうと。在籍当時はあまり気が進まずブツクサ言いながらも講師役も受けた以上は真面目にやったし、給料貰う以上は納得できなくても仕事は手抜きしないポリシーで文句言いながらも当時はやってたけど、思わぬ形で過去の自分に助けられて仕事の話がまとまったなーと。ま、この仕事だけで食えるほど甘くはないんで自分でも店を軌道に乗せる努力は同時にしなきゃいけないんだけど、とりあえず大体の収益の計算が立つ仕事がオープン前に見つかったのは良かった。しかし、本来は繋がりの無い所からオレまで話が繋がったのも、色々な幸運が重なった部分はあるな。そもそもSさんとTさんが飲み友達じゃないとSさんからオレに繋がってない。その日に副本部長にオレがあいさつで顔見せに行ってなかったら、副本部長からTさんの会話の中で俺の話が出たかもわからない。出たとしても、昔の部下じゃ無ければ「誰ですかそれ」で終わっただろうし、部下だった当時のオレの仕事が成果乏しかったら「アイツで大丈夫かな？」で終わったかもしれない。弟にそんな話をしたら「やっぱ自分で積極的に動くと良いことあるね」と感心してたけど、いや…オレはただ仕入れたバイクを取りに行ったついでに顔出しただけである。そう言ったら「挨拶回りは大事だよ。大体は辞めた会社にわざわざ行かないもん。兄貴はそういう所で素通りは不義理だとかスジ論を気にするタイプだから」と。まぁ、幸先良いしこの調子で貰った仕事だけじゃなく自分の力で開拓した仕事も増やせるよう頑張ろう。思えば正月2日からほぼ毎日休みなしで店作りや契約面談や買い物に走り回ってるせいか、さすがに丸一か月休みなしで動いてると寝起きで疲れが抜けてないので、オープン2日前くらいまでに全部終わらせて2日くらい体休めてから仕事始めよう。

  2021年02月03日

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  仕事には向き不向きがあるよね

  なんか弟が新居に遊びに来ましてね。俺が新しくのを独立するのを今更ながら「兄貴は社長とか経営者とか組織のトップじゃなくてナンバー2属性だと思ってたよ」みたいな事を言ってた。俺「社長でもねーし組織って俺一人しかいねーよ」弟「いや、種族として司令官より参謀とか副長とか片腕的な方が向いてる気がするんだ」俺「どっちも嫌だわ。なんなら先鋒隊の隊長か退却中の殿軍なら喜んでやるよ」弟「ただの死にたがりじゃないか（笑）」俺「成功すりゃ一番手柄で仮に失敗しても責められにくいし生き残る事だけ考えてりゃいいから気楽だろう。」人間てね、向き不向きあると思うんですよ。オレは職業に貴賎は無いと思うんですが、それとは別に「俺には絶対できない」と思う仕事はあるかな。以下、オレが今までバイトとかで実際経験したり、見てきた仕事で俺には絶対無理な仕事。〇食品スーパーとか飲食店の従業員高校生の頃に食品スーパーで2ヶ月くらいバイトしたことがある。オレはバイトって結構長く続く方なんですが、そんなオレの職歴の中でも最短で辞めた。そのバイトは営業が終わるとバイトが総菜売り場とパン屋と菓子屋とかをワゴン引いて回って廃棄食材を回収してゴミ袋に詰めるという仕事があった。まだ食える総菜のカツ丼とかチーズケーキとかをポイポイとゴミとして放り込んでパンパンにして結んで、それを何個も集めて店舗裏のゴミ捨て場に投げ込むという仕事。食べ盛りの高校生が20時過ぎにそんなことをやるので「どうせ捨てるなら俺が食う」と貨物用のエレベーターの中でこっそり避難させてたケーキとかを口に放り込んでたんだが、それがバレて主任に怒られた時に「捨てるの勿体ないからみんなで少しでも食べた方がマシじゃないか？」みたいな弁解をするもまともに聞き入れてくれるわけもなく、なんか毎日そんな食い物捨てる仕事してたらメンタルが悶々としてきて耐えられなくなって辞めた。飲食関係だとオレは蕎麦屋でもバイトしてたことあるんだけど、そこは夫婦でやってた店だから食品ロスが出ないように作ってて、完売したメニューは客に「今日もう終わっちゃったんです」で謝ってた。夜は酒も出す店だったのでマスターが一品料理も即興で作って短冊にサラサラと御品書きかいて貼ってたのは、余り食材をアレンジして載せてたんだけど、大手のスーパーだと品切れ出すくらいなら多めに作って捨てろってスタイルなんかな？ちょっと俺には飲食業は無理だなと、そのとき痛感した。〇ホストまず無理以前に面接でルックス的な条件で弾かれそうな気もするけど（笑）そもそも仮にオレがジャニーズ並みの外見を備えてたとしてもホストとして致命的な欠点がある。オレは酒が飲めない。友人が数年やってたが、昼夜逆転なうえに毎日酒飲み過ぎて肝臓がボロボロになると言ってた。女性客を相手にツケの回収で催促電話をすることもあるらしく、俺なら女性相手に借金取りやるくらいなら建て替えてしまいそうなので、オレには無理だな。〇事務職オレの体は動いてない時は時間の進み方が通常時の２０％くらいになる特性があるらしく、机に座ってる1時間がとてつもなく長い。前の会社でたまにくだらない提出物とか作るのにパソコン業務で机に向かう時もあったけど、大体20分くらい座ってモニター見てると眠くなってくる。ピットで車両相手に作業してる時は時間が足りなくて「もう夜じゃねーか！」とかなるのに、事務所で座って作業したりミーティングしてる時は時間がえらく長く感じる。デスクワークはどうやら俺には向いてないようだ。〇弁護士心配しなくても高卒じゃなれないのですが、仮にオレがなれたとしても多分やらない。理由としては、多分プロになり切れないから。胸糞悪くなるような犯罪者に裁判で有利な弁護を依頼された時、オレ多分ですが普通に断りそうな気がする。プロの弁護士も仕事を請けられない事情はあると思うけど、プロなら断る理由はクライアントに対する好き嫌いで選んじゃダメだと思うのだ。オレは嫌いな客のバイクでも金貰えるなら整備はするしバイクも売るけれど、仮に弁護士だとして「こいつ嫌い」という相手の罪を軽減する為の弁護を受ける自信がない。「お前が悪いんだから素直に謝って服役したら？」とか言っちゃいそうである。人としての説教はそれでいいんだろうけど、プロの弁護士としてはダメだろう（笑）私情じゃなく法律で判断できる職人なんだから。店舗の内装をやる中で、大工の友人と二人で教わりながらやってたら「なかなか筋が良いから3ヶ月もすれば慣れるだろうしバイク屋飽きたら大工やれば？」と言われた。なんでも今の時代は大工も人手不足らしく、そいつの会社も社長の父親とその友人の他には７０超えた爺さんが2人の4人体制で仕事回してるとか。そこに一人、若い子が入って、その友人曰く「現場で知り合ったんだけど何を間違えたのか俺に憧れて舎弟みたいになってた奴で冗談でウチに来いと言ったらホントに会社辞めて大工になると言い出した子」らしい。んで、1年くらい色々教えて仕事も覚えたから、そろそろ給料上げてやろうかと親父と相談してたら突然「辞めようと思ってます」と言い出して、理由を聞いたら「母親からもっとマトモな仕事しろと言われた」だそうで、その友人も「大工がマトモな仕事じゃねーとお前は思うのか？お前の家作ったのもどこかの大工だぞ」と説得して引き留めたとか（笑）ただ、大工に対する世間の扱いの低さは現場でも痛感することがあるそうで、その友人はもう慣れたらしいけど。以前にレクサスのディーラーのショールームを作る現場にいたことがあるらしいんだけど、仮営業しながらの工事だそうで「現場に乗り入れる車はキレイにしろ。身なりも汚いと退場」と通達を受けたそうだ。レクサスの店舗の内装は全てオリジナルらしく、店内の絨毯にもレクサスのスピンドル柄が入ってるとかで友「あれ1㎡で25万だぞ」俺「は？1㎡って１ｍ四方だぞ？」友「応接用のソファーが１脚で80万だ。それが対面で２脚に机で300万くらいか？それが何セットか置かれてんだぞ」俺「応接セットと絨毯でオレの店が何個か作れるな」友「あの外の柱のパネルが30万くらいかな？それが1面に2枚でそれが4面あって、そんな柱が何本もある。一事が万事それで、あからさまに汚い手で触るな的な事も言われるしな。俺が触らなきゃ誰が貼るんだよと」俺「俺が店の床に貼ったタイルが４５㎡で5万くらいか。壁紙で2万くらいかな」友「この店の内装材料費じゃレクサスの応接ソファの脚１本くらいだな」俺「オレの店の接客テーブルは中古だしな…」友「でも大工の日当は渋るんだぜ？そのくせ100%の完成を要求するから天井なんか何度貼り直したかわかんねーよ、材料費高いからたまらん。まぁ赤字にはなってないけど次頼まれたらウチの親父断りそうだわ、あまり客の目に触れる所歩くなとか、いっそ休業してくれと」俺「仕事頼んでる側の態度としては問題あるが、まぁレクサスだからな。客層ラグジュアリー満載だから要求高いのも仕方ないかもな」でも、俺の店の内装もレクサスとまではいかないが、なかなかいい雰囲気になったんですよ。大工と整備士の2人で手作り下にしては上出来だ。床を黒くしたせいで足跡が目立つのは色のチョイスをミスったかも。ビフォーアフター壁紙は高級感が無駄にある（笑）ネットでテキトーに買ったクロスだけど。内装はほぼ終わったんで大工道具を随時片付けながら店内の設備を運び入れるかな。認証工場の現地調査も無事にパスして一安心。振興会に入らず自力で認証取ったんですが、予想より簡単だったな。この業界長くいて、なんとなく「認証は振興会経由で仲介してもらって取らないと面倒多い」みたいなイメージだったんですが、必要工具や機器のチェックとスペースの計測だけで15分くらいで終わったな。金もほとんどかからないし。個人的にバイク屋が会費払って入会金も払ってまで整備振興会に入るメリットはないと思ってるので、無駄な出費を抑えられて一安心ですよ。そろそろオープン日決めないとな。

  2021年01月26日

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• 日本人の仕事とお金に対する感覚

  オレが住んでる茨城県のどっかの市長だったかが、退職金22円で退職したんだそうです。なんでも公約で退職金０を公約にしてたけど、システム上どうしても０円にはできないから制度上で可能な最低金額の２２円にしたとかなんとか。これに対して好意的な評価をしてる人が多かったようにオレには見えましたが、オレ個人的には「うーん、どうなのかな？それ」と正直思ってます。代議士が公約して当選した以上、公約を守ろうとするのは義務でしょう。ただ、その公約自体が俺は「この人にとって勤労とは何なのか？」と聞いてみたい思いはある。この市長、最終月の月給は1円だった。その月給から計算した退職金が22円なんだそうだけど、オレの感覚で言うなら、この市長は最後の月は1円分の仕事しかする必要ないわけだよ。オレがもし市民なら「むしろ月給100万やるから100万分働いてくれないと市民は困る」と言うけども。もしこんな前例が善行だと世間に認識されて浸透してしまうと、おそらく今後優秀な人は政治家を目指さなくなる。よく世間で何かと言うとすぐ「政治家の給料下げろ」「官僚は貰い過ぎだ」との声がよく出るけども、仮にもし政治家の給料が年収400万くらいだとしたらどうなるかくらいは予測できるだろうか？優秀な人材は誰も政治家なんぞ目指さないし官僚なんぞになる気もなく、己を評価してくれる企業に相応の待遇で入ってそのまま出世するだけ。まぁ政治家はバカでも人気さえあって選挙で勝てばなれるけども、官僚がバカだと日本みたいな国は致命傷を負うのだ。バカで薄給の官僚なんか増えたら賄賂や汚職が横行するだけだ。給料だけじゃ食っていけないんだから。オレの持論だけど、少なくとも国政に携わる国会議員には金持ちであってほしいわけ。貧乏な国会議員なんか買収されて国が腐るだけでしょ？例えば、麻生財閥の総裁の麻生太郎を金で買収できる奴なんかいるか？「正当な仕事にはふさわしい報酬を」は俺は人が通貨制度を生み出してから変わらない原則だと思ってる。こと日本人は、どうしても清貧思考というか金を稼ぐという事に後ろめたさを感じる民族性があるような気はしてる。あえて断言するけど「お金を稼ぐこと」は「良い事」なのだ。少なくとも今の日本の資本主義、自由経済の中では、お金を稼ぐことは「社会貢献」なのだ。たとえば、蕎麦屋が一軒建つとする。その蕎麦屋が儲けるためには蕎麦を売るわけだ。蕎麦以外にも酒も出せば天ぷらなんかも出すよね？つまりこの一軒の蕎麦屋が建つことで、蕎麦農家、野菜農家、酒屋、おしぼり業者とか醤油問屋とか色々な人も同時に儲かるわけだ。その人達が全員、税金を払うわけだ。それこそオレがバイク屋を開業したら、部品商とかタイヤ屋とかオイルメーカーとかレンタルウエス業者とか保険屋とかクレジット会社とか色々な取引業者にも、オレが儲けを出すことで利益を共有できるわけだ。逆にオレが店潰したらそれらの業者も収益が減る。収益が減れば納める税金も減る。社会にとって良いことではないのさ。だからみんな頑張って稼がなきゃいけない。稼ぐためにはどうするか？ラーメン屋なら美味いラーメン作って大勢のお客さんを呼ぶ。開業医なら腕が良ければ患者が押し寄せるわね？販売員ならお客が買いたくなるようなセールストークをしなきゃいけないし、そのためには商品を知って無きゃいけないから勉強もする必要がある。「稼ぐために勉強する」「稼ぐための修業」「稼ぐためのアイデア」と、みんな相応に努力した上で正当な報酬を得るのが健全な社会のはずなのさ。でも日本はデフレ長かったからね。価格競争が過激化して「安い事が良いことだ」という認識が広まって、昔は「良いものは高い」だったのが、いつの間にか「安くていいもの」を求め始めて、結局経済が縮小して潰れる店がバンバン出て来て…みたいな連鎖が長かった。俺はバイク屋なのでバイク業界に限って言いますが、昔よく言われた「掘り出し物」なんて車両は現在の日本では皆無に近いです。ここでいう「掘り出し物」とは「世間ではもっと高値がついてるけど安く売ってるもの」の方です。「世界で5000台限定のCB１１００Rフルノーマルが納屋から出てきました」みたいなそっちではない。そんなモン出てきたら軽くン百万だわ。インターネットが普及して世間で相場観が形成されてきたので、そもそも車両の仕入れ買取価格が高い。売る方も大体の相場を知ってるつもりでいるからね。「つもり」というのは「オレのバイクヤフオクで30万で売ってるから29万で買い取ってよ」みたいな人が該当するわけだけど。世間で30万で流通してるバイクを29万で買い取り仕入れしてるバイク屋はまず潰れる。そもそもそれならバイク屋なんぞに売らず自分でヤフオクに出せばいい話だ。だから世間のバイク屋は「サビだらけ埃だらけで動かないバイクを15万で買い取ってから磨いて洗車してエンジンかかるように整備して30万で売る」をやってるわけです。当然時間もかかるし部品代もかかる。そこまで手間かけて売ろうとしても、世間じゃ安くないと売れない。なので「安く買って高く売る」という商売の基本がそもそも現在では通用せず「高く買って安く売らざるを得ない」という流れがデフレ期には加速した。でもそこで「利益1万しかなくても100台売れば100万じゃないか」と考え始めた業者が出始める。100台売る為には一台にそんな時間かけてられないし部品交換する予算もないから横流し状態になる。それが今のヤフオクで流通してるバイクの実態でしょう。バイク屋の場合、車体本体に利益が薄くても登録代行料とか納車整備代とか二次粗利を出せる猶予はある。ただ、それを買うのは「ヤフオクで未整備で30万で買うより、キチっと整備されて保証期間も多少ついて40万の方が得だよな」と判断できるお客さんにしか売れない。「正当な仕事に金を出せる客」です。ただ、バイク屋にとって独壇場ともいえる稼ぎ口がある。それが整備費用だ。車体のメンテナンスや車検、故障修理なんかは実は結構な収益手段になる。ただ「工賃」「技術料」というものは、それこそ一般のお客さんからは価値が見えないだけに理解されにくい費用の筆頭になってくる。また面倒なのは、同じ呼称の作業内容でも店によって金額も整備内容も違う所だ。例えば同じ4気筒のキャブレターのオーバーホールでもAの店は「3万」と提示してBの店が「5万」と提示したとしたら、オレは「どっちもあり得るんじゃない？」と思う。「オーバーホール」と言いながら作業的には分解清掃だけでもそう認識してる店もある。再利用不可のパッキン類とかゴム部品以外は替えないで清掃して組むだけ。お客さん的には安く済んで助かる。一方で4気筒分全バラにしてパッキンだけじゃなくジェット類もニードルもフロート周りも全部新品組みなおして同調も調整するのがオーバーホールだという認識の店なら部品代も込みで5万の請求しても不思議じゃない。どっちが手抜きでどっちがボッタくりみたいな話じゃなく「仕事の内容」が違う。すしざんまいの寿司と久兵衛の寿司で同じ中トロでも値段が違う事には納得する客も、何故かバイク屋の工賃の差は理解できないという人も結構いる。「安い事が良い事」ではないのだ。また「高いから良いもの」とも限らない。金額がモノの価値を決めてるんじゃなく、モノの価値に正当な評価と金額がつくのが本来の姿なのだ。たくさん稼いでる人にはそれなりの信用とか価値を周囲が認めてるから稼げるわけで、そこを値切ろうとしたり、安い金額で評価するとモノの価値が下がるだけなのだ。政治家にタダ働きで奉仕しろと言ったら贈収賄が増える、食っていけないから。バイク屋に利益1万で車体売れと言われたら現状販売になるだけだ。ラーメン屋で「一杯200円で出せよ！」と言ったら店を叩きだされるか、熱湯に生麺ぶち込んで醤油混ぜただけで「はいおまち、５～６分待っとけば食えるよ多分」と出されるよ（笑）仕事に対して対価を払うという事には仕事した側にも責任を負う必要があるけど、安い仕事には値段相応の仕事しかできないし、タダ働きなら文句言われる筋合いすらない。昔、ミシュラン星持ちの寿司屋のすきやばし次郎の親方の「味がわかるお客さんが来てくれると嬉しい」みたいなコメントにアホなリポーターが「もっと安くする気はありますか？」と聞いた動画を見たけど、「無いよ。安くしたらネタ落とさなきゃいけなくなる」と一蹴してるの見て「あえて腕と経験と言わずネタというあたりが配慮だな」とは思ったけど。寿司って自分で一度握ってみないと寿司屋の凄さがわかんないからな。俺は以前、結構いい値の魚を自分で捌いて試しに握ってみたことあるけど、ネタは悪くなかったはずが成形するのに30秒くらい延々握ってて完全に人肌だったからね。しかも箸で摘まんだら崩れて結局刺身を酢飯で食ってたみたいな（笑）金額の安さばかり気にしてるとモノの価値を見れない貧しい人間になっちゃうぞ。高い寿司屋が全部潰れたら世の中には二流の寿司屋しか残らなくなるし、それは日本の食文化の衰退なのだよ。でも高い寿司屋が今も生き残ってるどころか予約で埋まってるのは、世の中それだけモノの価値と仕事に対する正当な評価ができる客がまだ多くいて、そういう客が支えてんだよね。お金を稼ぐことは後ろめたい事じゃなく善行なんですよ。退職金が4年で2000万なのはおかしいと22円にした市長は、オレに言わせるなら「4年の任期で2000万を市民が払っても納得できる仕事をします」を公約にした方が本来あるべき姿な気はするんだけどね。「頑張ったけど1000万くらいの成果しか自分は残せなかったと思うから1000万で良いです」を「任期が終わった後に自己評価して」というなら俺はまだ理解もできるけどさ。就任前の公約で「退職金いりません」ていうのは、オレの感覚から聞くと「退職金貰うほど働く気はないけど受け取る気ないから許してね」とも聞こえるんだよね。だって例えば会社で給料20万ですって新人が「でも僕、10万円分くらいしか働く気ないから10万で良いです」って言い出したら「20万円分働く気が無いなら辞めちまえよ」と俺なら言いそうだもん。「今お前に払う給料が赤字でも10年後にお前がエース級に稼いでくれるなら会社にとっては投資みたいなもんだ、そうなれるように頑張れ」とは思うけど。オレ前にも書いたかな。カルロスゴーンの役員報酬が高いと世間が騒いでた時「そうかな？日産潰れるくらいなら10億程度であれだけ業績回復するなら安い報酬じゃね？」とは思ったけど。まぁ、彼の場合は報酬以外の違法行為とかそっちはまた別問題だと思うけど。「ゴーンの違法行為は許すべきじゃないがゴーンの報酬はオレから見ればむしろ安いくらいじゃね」と。そういえば開業の店舗探しの方は、ちょっと面白い不動産屋の担当に当たったのでここ数日は進展ないです。面白いとか他人事みたいに言ってますが、オレは心が広いからニヤニヤ笑って眺めてるけど、普通はクレーム案件だからな（笑）メールで概算の初期費用聞いても返答ないし内装についても返答ないし内見の予約は都合良い日4日後ですと答えたはずが何故か2週間も先だし「お前オレの質問答えないで聞きたい事しか聞いてこないけどオレのメール読んでるか？」みたいな。まぁ、不動産屋のスタッフ紹介欄に一人だけ「画像準備中」で写真なかったから新人なんでしょう。おじさん笑って許しますよ。当日内見の時に全部聞いて返答なければ「キミちょっとさ…」となりそうですけど。むしろ向こうの指定した2週間待ってたら「他の人に決まってしまいましたごめんなさい」みたいなメールが来るんじゃないかとすら予感してますけど（笑）流石に温厚な俺もそうなったらさすがに「ちょっと責任者に代わってもらえるかな？」になりそうだけど。色々な不動産屋にメールしてますけど、メールの対応だけでも結構印象に差が出ますからね。なんかすげー一生懸命に探してくれた人とか「ガソリンなどは保管するんですか？」みたいな心配して逆に質問されて消防法の規定を教えてあげたら「参考になりました！ありがとうございます！」みたいな礼は来たけど「あれ？んで物件は？」みたい人とか（笑）なんだかんだあと1ヶ月以上は仕事あるから、どうしてもフットワーク鈍いのがもどかしいけども。

  2020年09月23日

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• 師匠が亡くなりましてね

  オレね、今の会社でも今までの職場でもそれほど尊敬する人とかいないんですよ。地元の友人なんかの中には同級生でもリスペクト出来る奴とかはいたりするんですけど。今現在、こんな仕事してますが、実はオレの場合は他の多くのメカニックのように整備士の専門学校とか行って資格を取ったわけではありません。高校を出て近所のバイク屋で見習いとして拾ってもらって実務積みながら試験受けて資格取ってんです。で…1990年代、就職氷河期のど真ん中底辺の時代に高校卒業を控えて特に就職先も決まらないという、冷静に考えるとシャレになってない状況にも関わらず、担任から「どんな仕事したいんだ？」「バイクに関わる仕事」「そんな求人は来てないな」「さいですか、じゃあなんとかします」「専門学校で資格取る方が良いんじゃないか？」「医師免許とかと違って実務でも取れるし」みたいな投げやりな会話で特に何も考えず楽観しながら、原チャリでバイト行く途中で見つけたバイク屋に気になるバイクが飾ってあったの見てフラッと立ち寄りましてね。店の中にいた社長が応対に出て来た。学ラン着てたからかな？「あんちゃん高校生か？」「えぇ、中免取ったんでバイク買う金貯める為にバイトしてます」「何年生だ？」「来春には卒業です」「じゃあ受験真っ最中か。バイトしてる暇あんのか？」「オレ就職希望なんですけどロクな求人ないんですよね」「何やりたいんだ？」「バイク屋で働きたいんですけどね」「みたとこ体は丈夫そうだな。健康か？」「視力と学力以外はそこらの高校生より健康体です」「…12万でどうだ？」「？？このバイクですか？」「ちげーよ。値札に248000て書いてあるだろ。それじゃなくウチで見習いで雇ってやるから12万でいいか？って話。福利厚生は無いけど、まぁ失業保険くらいはある」「マジですか？是非」みたいな流れで就職先が内定。おそらく当時のうちの生徒で履歴書も書かずに店先の面談だけで就職を内定取った生徒は俺だけであろう。それまでも自分のバイクを本とか見たり親父に教わりながら整備の真似事をしてたりはしたが、基本は素人の高校生をこんなノリで採用してしまう社長もなかなかいないと思うけど。オレの人生の中で「師匠」と思ってるのは実はこの人だけ。とはいえ、採用されて1年ちょっとで店は潰れたので、世話になったのは1年くらい。しかも教師のように手取り足取り教えてくれるわけでもなかった。…というか、技術や知識的な事を教えてくれたのはホントに最初の頃だけで、どちらかというと仕事以外のマインド的な所とか、大人としての在り方みたいな部分で影響を受けた所が大きいのかもしれない。この社長、とにかく粋な人でした。若い頃はレースに没頭してたらしく、まだ無名な頃の平忠彦と一緒に写ってる写真とか店にあったり、俺が入った時も年に何度か草レースには出てて店の奥にレース用のFZ750が置いてあったり、当時もう４０超えてたにしては元気なオジサンだった。口は悪いけど怒られた事はほとんどなくて、でもダメ出しの説教と称して仕事の後に家に寄れと言われるんだけど、それは安アパートで金欠でマトモなメシ食ってないオレに自宅で嫁の作る飯を食わせる為の口実だったり「昼飯買ってこい。釣りは要らねぇ」と千円札渡されて「何が良いですか？」と聞くと「んー、サンドイッチとコーヒーでいいや。あ、ブラックな」みたいな。それだけで千円は多すぎるだろうと気を利かせて社長が普段吸ってるセブンスターを一箱買って帰ったら鼻で笑いながら「可愛げのねぇ18歳だなお前は」みたいに言われて「あぁ、小遣いだから取っとけってことだったのか」と。色々な事を教わりました。主に仕事と関係ない所で（笑）師匠は酒が好きで、しかも安い酒とか飲まないし大勢で飲むより一人とか誰かとサシで飲むのが好きで、でも話し相手がいないから下戸で未成年のオレを連れて、ちょっといい店とかに飲みに連れてくんですよ。多分一人の飲み歩きが好きで色々店を見つけたんだろね？回らないお寿司屋とか、女将が一人でやってる小さな居酒屋とか、クラブみたいな所とか。絶対に大衆居酒屋みたいな所には行こうとしなくて、理由は「安酒飲んで即席の出来合い料理で大騒ぎしてる連中と同じ空間でオレの至高の時間を汚されたくねぇ」みたいなことを言ってました。酒は静かに飲みたいタイプの人なんだな。んで、店で意気投合した人の会計を払ってたり、料理屋で出て来た刺身の脇の飾り切りしてあるキュウリとか、ねじり梅に切られた人参とか見て「これ大将の仕事？」「いや、それはウチの厨房の若いのにやらせてます」「へぇ、こういう技を見ると嬉しくなるね。」とかゴキゲンで会計の時に「これで厨房の子達になんかうまいもんでも」とかチップで一万円札出して店の人困らせたりとか。こんな景気良い振る舞いしてるが店がそれほど儲かってるわけでも社長が金持ちなわけでもない。なんせ一年後に店潰れてるしね。社長のレースにピットクルー代わりに同行した帰りに蕎麦屋で一緒に蕎麦を食べてた時に、隣の席にオジサンと若い女性が座ってて、店の人が鴨ざる蕎麦を持って来たら「ざるじゃねぇ！鴨南蛮を頼んだんだよ！何聞いてんだ」とオジサンが店の人にキレてて、店員も平謝りしながら「すぐ作り直します」と持って帰ろうとしたのを隣で見てた社長が「あ、ちょっと」と。店員「はい？」社長「それ間違えた鴨ざるどうするの？」店員「えーと、廃棄になるかと」社長「もったいねーな。じゃあオレが買うわ。伝票につけといて」店員「え？よろしいんですか？」社長「せっかく作ったのに捨てちゃ作った方も悲しいだろ。こっちで食うよ」店主「（厨房から出て来て）いえいえ、ではお代は結構です。ありがとうございます」オレ「社長、天ざるでせいろ二枚食ったのにまだ食うんですか？」社長「誰が俺が食うっていったよ、お前まだ行けるだろ？若いんだし」いくら当時のオレがガタイ良くて若くても、ザル2枚にかき揚げ丼のセットまで食った後に鴨ざるもう一枚食えってのは無茶振りだろ。まぁ食ったけど。それが生まれて初めて食べた鴨ざる蕎麦でして、第一印象が「鴨うまっ！」だった。そして現在、オレの好物の一つが鴨ざる＆鴨南蛮蕎麦だったりする。しかもお代は要らないと言われたのに「仕事にたいして対価を払うのは当然だ。おたくも職人なら受け取るのは義務だよ」と鴨ざるの代金もキチンと払ったからね、あの人。帰りにトラックの中でなんであんなこと言ったのかと聞いたら「店の人間に横柄な態度でキレてる客にカチンと来たから恥かかせてやろうと思ってな」とか。社長の性格だとその場でオッサンに怒鳴りつけて説教始めてもおかしくないので、そんな回りくどい事しなくてもと言ったら「それじゃ店も迷惑だしあのオッサンも懲りないだろ。喧嘩は相手に殴らせないで勝つのが賢いんだよ」と。良い意味で男の見栄の正しい張り方とか、メンツとかにこだわる人だったので、「自分が些細な事でキレたら隣の客が尻拭いでその品を食べて店に礼まで言われて代金も払って帰った」は大恥かかされた形だって事だろう。酒の席にオレを連れて行くのは、オレが飲めないので運転手として便利だってのがあって、そしてその安心感が「自力で帰れなくてもコイツがなんとかする」となり、酔い潰れた社長を車に乗せて家まで送った事も何度かある。まぁ潰れたと言っても身動き取れないほどではなく、単に自力で歩いて帰るのは危ないからって程度だから担いで帰るわけじゃないけど。当時のオレが見習い給料で金欠なのは社長は当然知ってるんだけど、オレが襟元のよれたTシャツとか穴の開いた仕事靴とかを着てるのを見ると「貧乏でも外見までみすぼらしくするんじゃねぇ。高いもの着ろとは言わねぇ。せめて小綺麗にしとけ」と怒られた。でも靴買う金なんかないの知ってるから、買ってくれるんだよ。それも自分でそう言っといて買い与えるのは小恥ずかしいから奥さんが憐れんで買ってあげた体を装って奥さんに買わせたりさ。メシ食わせに家に呼ぶのも、普通に「メシ食わせてやるからウチ来い」とか言うと、オレの性格だと遠慮してくるのと金欠で情けをかけられるのがプライドに障って「いや、平気です」とかやせ我慢するタイプなの見越してるから、「お前の反省会だからウチ来い」みたいな言い方するんだよね。この言い方なら俺に遠慮させることも無いし断るわけにもいかないだろうと。たかが18の小僧の自尊心すら傷つけないように気を遣えるくらい情けの深い人なんだな。今のオレのメカニックとしての基本的な考え方とか、価値観とかマインド的なものは当時の師匠の影響を引き継いでる。「自分の仕事を安売りすんじゃねぇぞ」をベテランのメカに言うならまだしも、見習いの18の小僧にも言う。つまり「プライド語れるくらいのレベルまで自分を高めろ」と。友人のバイクをタダで整備してたオレに「仕事に責任を持ちたいならタダ働きはするな。プロなら無責任な仕事は許されん」とか。社長のメカとしての腕は当時は俺も未熟だからわからなかったけど、今にして思い返せばすごく高い水準だったし専門的なジャンルの技術も知識も持ってた人だった。最近の若いメカニックだと基本はパーツ交換屋みたいな子とか、部品もアッセンでしか設定が無いとか、あまりマニアックな作業は減ってるのもあるけど、あの人は思いつくことは何でも自分でやれる人だった。グリスを数種類ブレンドして「ステムベアリングにはこのグリスが最適だ」とか、まぁレースやってる人だとたまに狂ったこだわり持つ人は多いけど。よくわかんない特殊工具を溶接機で自作したり、治具を自作したり、サイズが微妙に気に入らんからとスナップオンのレンチをリューターとグラインダーで削り始めて「お、ちょうどいいや」とか（笑）腕は良かったけど、商売は下手だったな。というか金勘定が苦手と言うか、金銭感覚が緩いというか金に無頓着だった。なんせ店畳むときに未回収の売掛金が300万くらいあったからね。レース仲間とかからの紹介客とか「今度払いに来る」とか言いつつ年に何度も店に来ないし、ローン審査通らなかった客に「じゃあウチで建て替えるから俺に返しなよ」みたいな売り方してたし。一応ね、踏み倒されたわけじゃなく完済してないから車両は店に置いてあるんだけど、仕入れに店は金払ってるけど客から回収してないみたいな。まぁ店畳むときにそのへんも整理し始めたから全部回収したんだと思いたいけど、当時のオレは下っ端だからそのへんどうなったかはよくわからない。ただ、社長が一度だけオレに頭下げたのがその時で、「お前が一人前になるまで育てる気だったけど店閉めたらそうもいかん。その代わり次の就職先はオレの知り合いの店紹介する当てがあるから心配するな」と謝られた。オレはオレでむしろ拾ってもらったと思ってるし、この世界に導き入れてくれた恩人だと思ってたので、なんで謝ってるのかも当時はわからなかったから普通にお礼言ったけど。餞別としてスナップオンの工具を少し分けてもらったり、「退職金代わりだ」と店の奥の倉庫に眠ってたヤマハのポッケをもらったり。育成を途中で投げ出すわけにもいかないから何かあったら電話しろと言われて「この業界に知り合いは社長くらいしかいないから今後も何かあれば電話します」と言ったら「もう社長じゃねぇ」となり、そこから呼び名が師匠になりましてね。なんでもかんでも教える師匠では無かったです。でもオレの事は常に見てないようで見てました。んでオレが聞いたことは何でも教えてくれたし、頼んだことはやってくれました。これは俺が今、後輩とかに対するスタンスと全く同じです。聞いてこなきゃ放っておくけど、自分で悩んで考えても答えが出ないで聞きに来た奴には何でも教える。師匠はその後、昔のレース仲間に誘われてその人の店で働き始めたそうで、その後もオレとは連絡はありました。オレが今の会社に入った時に一度久しぶりに会いに行きまして「今もバイク乗ってんですか？」と聞いたら「あれだよ」と駐車場を指さして、見たらドカティのパニガーレ。オレ「…ジジイが乗るバイクじゃないでしょ、あれ」師匠「乗ったら欲しくなったんだよ」昔から粋なオヤジだったけど、ジジイになったら更に妙な方に加速したなーと苦笑いしてたんですけどね。仕事にたいするスタンスとか考え方とか、大人の男としての振る舞いとか心の余裕を常に持てとか、人に見られて恥ずかしい仕事はするなとか、身なりは小奇麗にしとけとか、自分の為に仕事してくれた店の人間に失礼な態度取るなとか、腕を安売りするなとか、とにかくまだガキだったオレに「成熟した男の在り方」みたいなものの一つの形を教えてくれた師匠ではあります。その師匠が、先日亡くなったそうです。奥さんからメールきましてね。葬儀には行けませんでしたけど、先週の休みに線香だけでも上げにと家に行きました。そこで奥さんとも久しぶりに話をしましてね。もともと子供のいない夫婦だったし、一人で店をやってたので古いレース仲間以外にはそれほど交友関係も広くなかったようです。まぁ一人飲みが好きだったし、そんな気はしてたけど。奥さんと昔話してて、そこで初めてオレが見習いで入った時のことを聞きました。そもそも人を雇うのはオレが初めてだったそうで、それまでは「自分の仕事に他人が入り込むのが気になるタイプ」だってのが人を雇わなかった理由じゃないかな、と奥さんは言ってました。それがなんでオレはすぐに拾ってもらえたんですかね？と聞いたら「今日、店に変なヤツが来た。就職も決まって無いのにバイク買うためにバイトしてるとか順序がおかしいだろ。面白そうだからウチ来いって冗談で言ったら即答でOKだとさ。どんな店かもわからないのに何も考えてないんだな」と言ってたそうだ。それが面白半分で入れてみたら仕事は真面目にやるし勉強熱心だし気は利くし、意外といると便利な奴だったから拾いもんだと。まぁ環境や待遇的には今の子達なら「ブラックだ！」とか言って3日で辞めそうな気もしますが、当時はそんな時代じゃなかったしね。あの時もしあの人に拾われてなかったらオレどうなってたんだろう？と思うと、おそらくですがこの仕事してなかったか、してても今とはおそらく仕事に対する考え方は全然違ったかもしれない。メカとしてだけじゃなく、人間としてもモノの考え方で影響受けた部分は大いにあるし。よく「最近の若い奴は」なんて言葉を聞きますが、個人的には「若い奴に背中を見せて教えられる大人」が少なくなったんじゃないの？なんてことも思います。ガキなんてカッコいいと思う対象がいれば誰が言わなくても真似したいと思うようになるし、若いうちに「こんな男になりたい」みたいな手本になる対象と出会えるかどうかは結構大きいのかな？と。最後に師匠と会った時、その店に若いメカの子が３～４人いたので「随分と弟子が増えましたね」と言ったら「弟子じゃねーやあいつらは、ただの部下だな。家呼ぶ気にもならねぇ」と笑ってたので、という事は俺は弟子として認めてたんだなと。まぁ厳密にいえば給料もらってたから弟子ではないのかもしれないけど、俺にとっては師匠であることに間違いはない。技術屋の義務の一つは後の世代に知識や技術を継承する事もあると言われるけれど、そんなものは今の時代はマニュアル化されてるからね。本当に継承するべきはマインド的な部分とか、センスと言うか発想みたいな部分とか、感性みたいな所だと思う。ただ、亡くなった今だからあえて言いたい。師匠の教えで一つだけ今でも納得できない事がある。まだ入りたての新人の頃に言われた「バイク屋のメカいいぞ！女にモテたいならもってこいだ」というあの言葉。この業界に入って長く続けて来て一人前になった今だからあえて言わせてもらいますが…師匠、それは嘘です。というか、それ単にアナタが嫁さんとの馴れ初めがバイクだったってだけでしょ？20数年メカやってて、メカニックが理由でモテた事なんて一度もねーよ。文句言われた事はあるけど。爪が汚いとかツナギ一緒に洗濯機に入れるなとかさ（笑）でもやっぱり「どんな人でしたか？」と聞かれたら「粋なオッサンだった」ですかね。

  2019年11月20日

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• 人間、本能的には楽をしたい生き物です

  俺もそんなに広い交友関係を持ってるわけじゃないので、周囲の人間と言ってもそんなに大勢はいないのですが、ウチの会社の某管理職に常に批判と他人の文句…というか悪口だな、と不満を吐き続けてる人がいます。たまに会うたびに会社への不満だったり、上位役職者への批判だったりを愚痴るわけで、聞いてるオレも「それ言ったら向こうはなんて言ったんです？」と聞くと「そんなの向こうには言わないよ」と答えられ、内心「言ってないんかい！」みたいな。おかしいと思うなら聞けばいいじゃん。説明を求めりゃいいじゃん。自分の考える対案を提示して意見を求めりゃいいんでない？少なくとも俺はそうしてますよ。その時の回答に納得してるかは別だし、向こうが俺をどう思ってるかは知らんけど。でね、最近になってわかったんですよ。その人、おそらく「単に楽したいだけ」なんです。自分より優れた同僚が昇格して上司になってたりとか自分より評価されてる同僚とかに対して、多分悔しいとか焦りとかあるんだと思うんです。本来なら悔しいと思うなら勝つために努力するなり相手を追い抜くために自分の成長にエネルギーを使うべきなんだ。多分これ、まだ子供の頃なら素直にできるんだと思うのよ。「あいつすげーな。俺も頑張ろう」みたいな。中学とか高校で部活とかでレギュラー争いした経験ある人間とかも、多分自然とそういう方向に思考が向く。でもね、「相手を追い抜くために自分が努力をする」ってことは「現時点で相手に負けてる自分を認める」って事なのさ。認めるもくそも無いのよ。現実そうなってんだから。で、それを認めたくないんでしょ？もっというなら努力して自分が勝てる自信もない。だから「相手を抜く為に自分を上げる」よりも「相手を引きずりおろす」という方向に思考がシフトする。ただ、単に相手がうらやましくて嫉妬して足引っ張るのはカッコ悪い。だから「相手が何か批判されるような人物」である必要がある。相手が悪い奴なら遠慮なく批判もできるし文句も言えるし、何言っても許されると考えてしまう。これSNSとかネット上でもすげーよく散見される感情のすり替え論法だ。相手が悪い奴で批判されて当然の人間であれば、それを攻撃してる自分は正しいんだ、と。同期の奴が上司に認められ出世していくのは、営業職として数字を出して結果を出して会社の要求にこたえたからでしょ？自分が同じ成果を出しても評価されてないなら直接言えばいいじゃん。「オレはコレだけの成果を出した。アイツよりも上だ」って。会社はそれに対しての答えをくれるよ。その答えに納得するかは別としてさ。でも言ってないってことは、言えないって事だよね。成果出してないから。数字で喧嘩しても勝てないから言わないわけじゃん？まぁ管理職に求められるスキルは数字だけじゃなくコミュニケーションスキルとか忍耐とか育成力とか色々あるけども、数字で勝てないなら他の要素でアピールして会社に認めさせりゃいいじゃん。そのアピールする努力もしてないわけでしょ？多分。してたら他人に対して嫉妬や文句は出ないよ。これネット上でもそうじゃん？よく見るよ。相手を貶める事で自分より下に下げようとする。ホントは相手に勝てるための努力をすればいいだけの話なんだ。有象無象の野党が与党の自民党にギャーギャー言うじゃん？オレから見たら自民党だって問題たくさんあるし弱点もあるし完全じゃないよ。勝とうと思えば努力次第で政権奪うこともできるよ。会社で出世するより簡単だろ？勝つ方法はハッキリしてんだから。選挙で勝てばいいだけじゃん？有権者に支持される政策を出して与党の問題に対して効果的な対案を出して世間に認めさせりゃいいだけじゃん？でも実際は、自分たちを高める努力なんかせずに、与党の粗を探してひたすら相手を下げようとする方向に全力でエネルギー使ってるわけじゃん？「安倍は独裁者だー」世の中に任期あって選挙でえらばれる独裁者なんかいねーよ。独裁だと思うなら選挙で落とせよ。お前らその独裁者の政党とやらに公正な選挙で完膚なきまでに負けてんのよ？政治家としての評価が独裁者以下だって有権者に言われてんだよ？それを悔しいともうなら、それを認めて努力しなさいよ。勉強しなさい。そして世間に認めさせて票を入れてもらえ。努力は時間かかるし面倒くさいからメディアと組んでイメージ操作した方が楽だし効果あるだろうみたいな本音をネット民に見透かされて自爆してんでしょ？嫉妬とかみっともないからね。他人を妬んで足引っ張ろうとする行為は自分が思ってるより周囲には簡単に見透かされる。相手が悪い奴だから自分が相手を批判するのは正しい事だ、何言ってもいいんだ、みたいな免罪符が無いと動けないみたいな本音も、周囲は言動から敏感に感じ取るよ。そもそも「悪いヤツ相手なら何言ってもいい」みたいな感情も危険だけどな。凶悪犯罪の容疑者とか「裁判なんかいらん、死刑だ！」みたいな論調もよく見るけどさ。刑が確定してない容疑者の段階で死刑とか、そんな法治国家ねーよ。中国か！（笑）言っとくけど、そういう短絡的な感情ってイジメの元凶だからね？覚えといた方がいいよ？凶悪犯罪者が死刑になるのは当然だよ。でも犯罪者であることが法的手順を踏んだうえで確定してないのに「やったに決まってる」「アイツはそういう奴だ」という思い込み感情だけで言ってるわけでしょ？人間ね、努力するの面倒くさいんですよ。自分が劣ってる部分を認めるのも嫌なんです。だから努力しなくていい理由を探すんです。「自分は不遇だ。恵まれてない。自分じゃなく周りが悪いんだ。世の中が悪いんだ」ニートとかに話聞くとみんな言うでしょ？「過去のトラウマが」「人間関係が」みたいな事。まぁ俺はカウンセラーじゃないから正しい事は言えないし、それは事実なんだろうしそういう病気かもしれんよね。でも、それはそれとして、その現状を打破するために努力してるというニートは見たことが無い。「自分は病気だから仕方ない」「自分が悪いわけじゃない」という理由で努力しない理由を見つけて諦めたんじゃないの？と。酷いのになるとその自分の状況を世の中とか政治のせいにするじゃん？目も当てられない。人間は自分より優れた人がいると嫉妬するんです。でも嫉妬がかっこ悪いってのは知ってるから、嫉妬じゃないと感情をすり替える。よく「増税するくらいなら金持ちから取れ」とか年収高い人達を攻撃の的にするじゃん？言っとくけど、年収2000万の人が年間どんだけ税金納めてるか知ってるか？所得税と住民税だけで600万くらい払うのよ？これ年収500万くらいの人だと50万くらいよ？年収500万の人が増税に対して「金持ちから取れよ！」と自分の年収より納税してる人達に文句言うのって、オレから見たら嫉妬だぜ？（笑）まぁこれを、俺が年収2000万ある身で言ったらメチャクチャ嫌な奴だけど、富裕層でも何でもない片田舎のメカニックですら「そりゃおかしいよ？」と思うって書けば大体の人は納得する程度の理屈じゃん？そんなの言われりゃ誰でもわかる事を分からないふりして批判するのは、嫉妬なのよ。「あいつは上司に気に入られて出世したんだ」と言うなら自分も気に入られるように行動すればいいじゃん。「そんな媚びてまで出世したくねぇ」って思うなら、それは理解できるよ。俺もどっちかと言うとそうだもん。「実績と実力を評価した」と言われりゃ喜ぶけど「お前良いヤツだから俺の手駒として出世させてやる」と言われたら断るよ。「俺を買いたきゃ諭吉でピラミッド作るくらい札束積めや」みたいな。まぁ言わないけど。というかホントにピラミッド積まれたら0，1秒で売るけど（笑）でも、それならそれで他に文句言ったらみっともないよね。まぁね、人間誰でも自分を高潔に高く保ちたいとは思うんだけど、手段を間違えるのはカッコ悪いよね。批判を「嫉妬」とか「愚痴」って受け取られたら、多分それは自分の努力が足りないんだよ。

  2018年12月19日

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• お客様は神様だと思うのは勝手だが、俺は神様相手でも金は取るぞ。

  バイク屋…だけじゃなく多分「物を修理したりとか作ったりとかしてる仕事してる人あるある」だと勝手に思ってる事例を列挙する記事です。●「商売の基本が理解できてない人」編新しいのに乗り換えるという理由で今乗ってるバイクを売りたいと言うお客さんが来店。営業が買取の査定をしてる時に車両をチェックしてくれと言われ、軽い転倒跡とかオイル滲みとかを伝え13万円と言う査定額で買い取る。空いた時間で買い取った車両を店に展示して売れる状態にするのにどれくらいかかるか加修費用を見積もってセールスに伝達。その後、洗車して磨いて錆磨きして店に278000円で売りに出し、ネットにも掲載。数日後、店に電話がかかって来た。「俺が13万で売ったバイクが倍以上の値段で売られてる。安く買い叩かれた、ぼったくりだ」……13万で買ったバイクを整備士に人件費払って小一時間かけて隅々まで洗車してサビも磨いてワックス掛けて、経年劣化でヒビ入ったタイヤも交換してバッテリー新品組んで曲がったステップとハンドル交換してエンジンのヘッドカバーからオイル滲んでるのも修理して、なんとかお客さんに見せられる程度になった車両を家賃払って借りてる店にスペース確保して展示して販売して、それ13万で売ってる奴がいたら俺は言うね。「バカじゃねーの？」とウチはボランティアじゃねぇ。商売でコレでメシ食ってんだよ。●「商売の基本が理解できてない人」その2店に買い取り希望の電話がかかって来た。乗らなくなったから売りたいけど車検切れてて乗っていけないから家まで買い取りに来てくれと。ウチのセールスが自宅まで伺い査定。「ヤフオクでこのバイク40万くらいで売られてた。だから40万くらいで買ってくれ」セールスが店長に相談し、車両状態を伝え買取価格を決め、27万くらいが限界だなと伝えたらセールス「客はヤフオクで40万で売ってるから40出せって言ってます」店長「じゃあヤフオクで売りに出せって言え」帰って来たセールスは客に散々文句言われたらしい。「４０で売ってるモノ２７で買い取ったら計算おかしいだろうと言われました」販売車両に納車整備までして登録かけて車検通検して保証期間までつけて売ってるウチと現状販売みたいなヤフオクを同列で語る人に何言っても理解しないから黙って帰ってくるのが賢い。この国は自由経済なんだから40で売れると思うなら40万でネット出品すりゃ良い話ではある。出品する側の立場になればわかるが、俺だったら本当に自分のバイクが40万で売れる車両なら、バイク屋に書類一式持ってバイク屋で売るけどね。わざわざ写真撮ってネット掲載してメールやり取りして場合によっては配送の手配までする手間が面倒だ。「もしかしたら５０出す奴がいるんじゃね？」と思ったらネットで儲けようとするかもしれないけど。モノの価値なんて買う人間と売る人間の同意で決まるので、仮に市場価値が40万の車両でも、売る側が50以下じゃ売らないと言い、買う側が「50万なら安い！買うぜ」と言うなら、取引は成立するし買えばいいだけの話。オークションなんてそんなもんだ。イチローのサイン入りバットにいくら出すかって聞いて、1億出すって奴もいれば「バットなんてせいぜい1万だろ」「イチローって誰？」みたいなやつもいる。ウチの主張は「ウチの店はオークション会場じゃねぇ」である。●「見積り料＝見るだけで金取るのか！」な人昔いた都内の店での話。うちで販売したバイクで箱根のターンパイクにツーリング行って転倒した客から車両を引き上げて欲しいと電話が入る。小平市から箱根まで軽トラで走り、結構な損傷のバイクを軽トラに積み込み店に帰り、後日客から「直すといくらくらいかかるかな？金額次第じゃ直さない選択肢もある」とのこと。直すか直さないかはお任せしますが、見積もり作業後に修理しないでお返しになるとしても見積もり料はかかると伝えると「修理しないで見るだけなのに金かかるの？」と不満の御様子。…まぁ、事故車の見積もり作業を実際に見れば理解してくれるとは思うんですけどね。立ちゴケだってなら話は別だけど滑走転倒してガードレールに衝突してんでしょ？あれ半日作業だよ？外装全部外してジャッキアップしてホイール前後外してダイヤルゲージ当てて歪みチェックしてシャフトの曲がりやフレームのシワとか全部チェックして、洗い出した部品の値段全部調べて工賃計算して見積書作成して……金額見て高いからやっぱ直さないってなったらタダでやんの？そのまま修理依頼しますってなら見積もり料金は相殺してるんですけど…というか体の具合悪くて医者に行って病気診断してもらって「それなら自分で治します」って治療受けないで帰ったって金かかるよね？そこまで時間かけなくても外観からザッと見「大体これくらいあれば足りるんじゃない？」程度の見積もりで良けりゃ金取らないでもいいけど、その代わり、いざ作業開始してそれより金額ハネ上がっても一切の文句は聞かないし責任も取らないけど、それでもいい？出した見積に責任取れって言うなら、その責任取るために時間かかるって。なんなんでしょう？日本人の性格的傾向として「金稼ぐ＝後ろめたい事」みたいな意識あるんですかね？それともデフレ期間が長すぎて常識までおかしくなりました？こういう文句言う人に言いたいんだけど、あなたも自分が時間使って1日働いたら会社に給料寄越せって言うでしょ？残業したら残業代払えって言うじゃん？服屋で販売員として働いて一日店にいて一人も売れなかったとして会社から「一日立ってただけだから今日の給料は払いません」って言われたら怒るでしょ？俺の時間返せってなるじゃん？店に来た客が「この服ヤフオクで5000円で売ってたから値下しろ」って値切ってきたら「じゃあヤフオクで購入なさったらどうでしょう？」って言うだろ？読み終わった本をブックオフとかに持ってって「この漫画500円で買ったけど一回読んだだけだし半額に負けてやる。250円で買い取れ」って言う？ほぼ10円とか20円だろ？日曜日に巡回する町内の廃品回収じゃあるまいし、商売でやってんだから、んなもん250円出してたらブックオフ潰れるわ（笑）いいですかー？経済活動を否定して全てにボランティアを要求したら巡り巡ってあなたの給料も出ませんよー？そのへんわかってますかー？オレね、割と真面目に思うけど、小学校あたりの授業で何でもいいから一度商売の授業した方が良いと思うよ？自分で何を売るか決める。それを作るための材料を買ってくる。自分で作る。それを露店で売る。儲けた利益で材料をまた買う。また作る…ってのを子供に経験させてみ？こんなバカな文句言うやついなくなるから。オレね、前に書いたっけな？ガキの頃から手先は器用でさ。中学生の頃って、みんなチャリンコで通学してる友達とか多かったんだけど、まぁあれだけ人数居ると、毎週のように誰かしらのチャリンコがパンクするのよ。んで、あれ自転車屋とかにパンク修理頼むと1000円とか1500円とか取られるじゃない？俺はガキの頃にチャリでよく悪路を走ってはパンクさせてて、オヤジに「勿体ないから自分で直せ。教えたる」とパンク修理を教わってたんで、中学の友達のパンクしたチャリンコとか直してたのよ。代金は学校前にある購買所兼雑貨屋みたいなとこに売ってる菓子パンとコーヒー牛乳で。もう月に何度もあるから学校のオレのロッカーにゴム糊とパッチとカッターとローラーを自宅のオヤジのガレージから持ってきて常備してたからね。んで、大体休み時間とかに寝てると同じ学年の女子とかがコーヒー牛乳と菓子パン持ってきて「またお願い」って依頼されて「じゃあ体育館裏の水道のとこにチャリ置いといて。部活終わったらでいい？」みたいな商談がまとまる。もう慣れたもんで水道のわきに私物の桶も置いてあったからね。さすがにチューブ裂けちゃってパッチじゃどうにもならない奴とかは「俺持ってないから自転車屋に頼みな」で返してたけど、不思議とそれでも菓子パンと牛乳返せとか言われた事ないけどな。むしろ「そうかーありがとな」の方が多かったよ。ある時なんか部活終わって教室帰ったら机の上に鍵とパンとコーヒー牛乳とラムネが3人分置いてあって体育館裏に3台置いてあった日もあったからな。最初は友達だけだったのが口コミで広がって、そのうち俺とあんま親しくない生徒が俺に頼む為に仲介人まで挟んでるとか、同じバレー部の先輩に頼まれてタダでやらされたりとか…まぁ菓子パンと牛乳とかラムネとかで直すんだから200円くらいか？あれ現金取ってたら相当な小遣いになった気がするけど。消耗品のゴム糊とかパッチは無くなると俺が自腹で買ってたけど、そのゴム糊とパッチの代金でパンと牛乳何個食えるんだって考えたら、原価率としては悪くなかったよ。でも、こういうのを授業で子供のうちにやっておくのが良いと思うよ？親父から習った技術でオレは中学時代はオヤツには困らない生活が送れたわけで、これをもっとスケール大きい話にしたのが経済ってもんでしょ。これ書いてて思ったけど、そういう客だけじゃなく、ウチの会社の上層にも言っておきたいと思ったよ。お前らワケわからん工賃無料サービスプランとかもっとよく考えろと。それお客さん呼び込むために金バラまいてるのと同じだからね？

  2018年11月28日

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• 仕事をする上で忘れちゃいけない要素

  メカニックってのは技術職ではあるけれど、技術屋に限らず製造業でも販売業でも、営業職でも、オレは絶対に認識してなきゃいけない概念ってのが３つあると思ってます。〇コスト〇時間〇品質この３つ。少なくとも、会社を経営しようとか店舗を管理、マネジメントしようとか、そういう立場に置かれてる人間なら絶対に正しく理解してなきゃダメだとオレは思ってます。この3つの要素。俺の結論から言うなら「3つ全てを満点取ることは不可能」だと思ってる。3つ全てが完璧な状態ってのは「金もかけない、時間もかけないで、最高品質の商品を生む」という状態だ。技術屋ならこれがいかに荒唐無稽な要求かは感覚で理解してるのだけど、これがよくわかってない人ってのはいる。２つを満たすことはね、努力次第でできるんですよ。例えば「最高品質を維持したまま時間も短縮しろ」という要求なら、金をかければいいんです。製造業であれば、効率的な機械を導入する、人員を増やす、素材には金を惜しまず最高の素材を使う。これだけ。「最高品質を維持したまま、なるべくコストはかけるな」という要求なら、とにかく時間を使う事だ。機械なんか導入せず人の手で手作業になる。人員は最低限だから労働時間は多く必要だ。「とにかく早く、金もかけるな」ならば、簡単だ。品質落とせばいい。安価な材料を使い、工程を省く、もしくは生産量を減らす、設備にも金をかけない。とってもインスタントは商品ができあがる。…という具合です。先日、ウチの会社の管理職の人に言われました。「販売車両の納期に時間がかかりすぎている。納車前整備の時間を短縮しろ。あと補修部品のコストが高すぎる」と。これをさっきの要素に当てはめると「時間」「コスト」を満たせと言う要求になる。必然的に品質は犠牲になるんで、その旨を伝えたら…「信用に関わるから、クオリティは維持しろ」との通達。それを受けて最優先事項が信用（品質）であると解釈したので、対案として「人員を増やしてくれ。もしくは残業時間が増えるので本社の労務や労基を黙らせるような手配をしてくれ（ようするに金か時間を譲歩しろ）」と提案した。それに対して「業務の効率化と各人員の連携で努力しろ」という回答を受ける。ようするに野球で例えるなら、打席に立ってベンチのサインを確認したら、監督から「ホームラン打て」というサインが出たような心境です。「それができりゃサインそれだけでいいじゃねーか馬鹿野郎」である(´_ゝ`)それは作戦とは言わない。単なる願望だ。ファンと同じ。現存するどんな会社も、この3つの要素をどこかでバランスとりながら、時に犠牲にしながらサービスを提供している。俺がこの話を人にするときに、一番わかりやすい例えとして「吉野家」を毎回例に出してる。「早くてうまくて安い」というキャッチコピーの吉野屋。さっきあげた３つの要素をすべて満たしている。でも、厳密に言うと吉野屋は3つの要素が完成した姿ではない。吉野屋が犠牲にした…というと語弊があるが「折り合いをつけてできる限りをした」要素は「品質」だ。吉野屋は早い。それこそオーダーしてから客がスマホ取り出してネットニュースでも読み始めたかな、くらいのタイミングで出てくる。そして安い。300円台で腹が膨れる牛丼だ。でも、吉野家の牛肉は国産ではなくアメリカに独自の牧場を作って仕入れている。つまり、吉野家がもっと美味い牛丼を提供しようとするなら国産牛を使えば美味くはなるのだ。でも、吉野家はそれだとコストが上がって結果的に値段が上がる。だから国産品質は諦めた。昔の吉野屋の牛丼には、それこそスキヤキのように豆腐や他の具材も入ってたんだそうだ。でもコスト削減のために肉とタマネギだけのシンプルなスタイルにした。吉野屋が今より牛丼の提供時間を短くして回転率を上げようとした場合（今でも十分最速レベルだが）寸胴の数を増やす。スタッフを増やす、もしくは工場で作ったものをレンチンする、俗にいうファミレススタイル。どれも金がかかるか、味が落ちるという弊害が出る。吉野屋が今よりもっと値段を安くしようとしたら？…多分、サイドメニューとか非効率だからやめるんじゃないかな。もしくは最終的には牛肉が中国産とか？吉野屋が凄いのは、妥協したはずのアメリカ産牛肉の部分で、あえて「アメリカ牛肉を美味く食わせる方法。合うタレ」という研究に時間と金をかけたこと。吉野屋がもし、今の値段で今のスピードで松坂牛や米沢牛を使った牛丼を提供したら、それは最強だ。でもそれは不可能だ。1杯1500円ですっていうなら可能だろう。もしくは赤字覚悟で1日10食限定とか？技術職ってのは、オレは多分ほとんどの技術職の人間が同じだと勝手に思ってはいるけど、本能的に「品質」を妥協するのに強い抵抗を感じる人種だ。逆に時間にはあまり意識はなく、没頭して気付いたら深夜だった、なんてこともある。細かい金勘定は苦手な人が多い。そして自分の技術の安売りを嫌う。なので、技術屋の人間が好きにやると「最高品質のモノを手間や時間を惜しまず省かずクオリティに見合った値段で提供する」というスタイルになる。安くはない、時間もかかる。でもモノは一級品。こういう仕事をしたいのが技術職とか職人と言われる人種だ。ただ、そういう店が大繁盛するか？と言われると、残念ながらそうではないケースもあるし、仮に上手くいっても間違っても全国展開するほどの顧客数は確保できない。数を増やせばその分だけ同じ技量の職人が育たなきゃいけないし、品質を維持するには時間と金がかかるしね。つまり大企業に育つことは無い。まぁ俺の業界で唯一の例外は本田宗一郎が創業したホンダくらいか？職人が世界企業作っちゃったケースとしては。吉野家がなんで成功したか？品質を諦めたはずなのに。それは最高の素材なんかよりオリジナルの商品と客のニーズを掴んだからだろう。客はン千円も出して最高の牛丼を食いたいわけじゃない。ワンコインで牛丼と豚汁までついて腹が膨れる店を求めてる人の方が多かった。だから松坂牛なんか使わないけど、アメリカ牛を美味く食わせるための方法を考えたんだろう。3つの要素を全て満たさなくても成功はできるんだ。どっちの方向に特化して向かうかはそれぞれだけど。高級志向で少ない顧客を相手に最高のサービスを提供するスタイルでもよし。より多くの客にサービスを提供するために価格を抑えて、その価格に応じた品質を維持するもよし。自分がどういう仕事をしたくて、どこをターゲットにして商売してるのか？その為に譲れない部分と妥協できる部分はどこか？そういう事を考えてれば、前述のうちの管理職みたいな「最高の牛丼をワンコイン以下の値段で作れ」みたいな指示は出ないはずなのだ。この「質」「金」「時間」の概念って、仕事だけじゃ無く、生きてく上で色々な場面で当てはまる事だと思うんだ。例えば主婦の家事とか？家の隅々まで綺麗に掃除して、食事も三食キッチリ作って家族全員分の洗濯と近所付き合いもしながら朝は弁当も作る。全部キッチリこなしたうえで、かかる時間を減らしたいと思うなら、究極は家政婦を雇う事だよね？金はかかるけど。食事の準備にかける時間がないなら、出前とか総菜買ってくるとかさ。金はかかるけど。もしくは掃除道具に金かけてハイパワーな掃除機を買うとか、便利アイテムを駆使して時短狙うとか。その逆に金を惜しむなら、時間かけて全部自分でやるしかない。料理だって買うより自炊した方が安上がりだ。もし金もかけたくないけど、家事する時間も無いとなれば、家が散らかったり食事がカップ麺でも仕方なくなる。オレ、横浜いた時も当時のマネージャーに似たようなこと言われたんですけどね。「人は増やせない。仕事は減らせない。でも残業時間が超過すると労基から勧告が来るから残業減らせ」って。オレは一休さんじゃねーんだから、そんな無茶な難題をトンチで解決なんてできねーよ、と。どっか一か所譲れよと。精神論で何でも解決出来たら、世の中に潰れる会社なんぞ出ないよ。

  2018年10月09日

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• 価格と顧客満足度とサービスの履き違え

  これね、数年前にも職場の営業の若い奴に同じことを言った気がしてブログの記事にもした記憶があるんですが、今年の4月に入った新卒のセールスとの会話。セールスの子も新人なので、バイクに対する知識や整備の事情なんかは素人に近い。事の発端は数日前。売れた中古車にお客さんが持ち込みで以前乗ってた車両からナビだとかUSBポートだとかヘルメットスピーカーだのを外して今度買う車両に移設してくれみたいな話があって、お客さんが自分でそれを取り外し郵送してくるという事で新人君と商談が決まった。そして、何を血迷ったのか新人君は車両を買ってくれたからと、オプションの取り付け工賃をサービスしますみたいな約束をしたらしい。「パーツ持ち込みで工賃タダ」というのを聞いて問い詰めるオレ。オレ「これどういう話でこうなったんだよ」新人君「いや、下取り車両からパーツ外すのも工賃もったいないから自分でやると」オレ「でも移設はオレに頼むんだよな？なんで工賃サービスしたんだ？」新人君「お客さん工賃ケチるくらいだから、取り付けサービスしたら喜ぶでしょうし。喜んでもらいたいじゃないですか」オレ「お前はボランティアでこの仕事やってんのか？だったら車両もタダで渡してやれよ。スゲー喜ぶぜ？」新人君「ボク、顧客満足度を追求した営業になりたいんです」オレ「言葉の意味もわかってないうちから一丁前の営業気取ってんじゃねぇ」新人「意味は分かってますけど…」オレ「オレが当ててやろうか？お前は客に工賃を請求するのにビビったんだよ、何故ならお前自身もメカにとって技術料が何なのかを理解してないから。」新人「すみません」オレ「怒ってもしゃーない。百聞は一見にしかず。明日時間空けてピット来い。教育かねてその作業やるから」新人「自分、整備なんかできませんけど」オレ「誰がお前にやらせるって言ったんだよ（笑）まぁ、工賃取ってないから素人にやらせて失敗しても客から文句言われる筋合いはねーけどな。とりあえず邪魔にならんところで見とけ。」まぁ…多少でも自動車やバイクの整備に心得ある人なら「素人の客が自分で色々と結線したナビだのETCだのグリップヒーターだのをを自分で外して送り付けてくる」という状況が嫌な予感しかしないのはわかると思いますが…案の定ですな。いやぁ、凄い塊が送られてきた。なんせ車体側のアクセサリ電源から取るであろう電源線を辿っていくとハンダで4本分岐の電源線に分かれ、それでオプション全ての電源取ってるという手製ハーネスが送られてくる。オレ「…これ10Aヒューズで全部動かしたら危険極まりねぇぞ。前の車両はこれで全部動いてたのかね」新人君「…そうなんすか？」オレ「バッテリーは１２Vだよな？んで許容電流が１０Aってことは使用できる電力は何Wだ？」新人「わかんねぇっす」オレ「中学の理科でやるだろうよ」結局そのまま移設する気になれなかったので、どうせナビもヒーターもETCも個別にヒューズついてるし全部バッテリー電源から取って、リレーかましてリレースイッチ電源をアクセサリで…みたいに作り直し引き直し。なんだかんだで説明入れながら３～４時間かかったかな。ちなみにこの作業「無料サービス」である。今の時代、メカの1時間工賃は軽く７～８千円。数時間かけて外装全部外して他人が組んだ結線全部バラシて作り直して新設して引き直して0円。もし「顧客満足度」とやらを追求する彼みたいな営業マンが世の中に溢れたら、おそらくこの地上から車やバイクの修理工場は消滅しますな。消滅したら満足どころか困るのはお客さんですが。技術でメシ食ってる身からこれだけは断言できるんですが「顧客満足度＝価格」では無い。「払った代価に対して満足できるサービスが提供されたか？」が真の顧客満足度ってもんだ。プロなら客から正当な対価を受け取ったうえで、払った客が文句のないクオリティで返して「自分も客もWin Win」になるのがプロだ。タダで仕事受けて客は喜んで自分が損してる…ってのは商売ではなく自己犠牲のボランティアだ。受け取った代価に対して見合ってないクオリティの低さで客に返したら当然ながら客は不満だ。これは「ぼったくり」とか言われる。受け取った代金に対して過剰なオーバークオリティでサービスを提供する。これは「良い人」ではあるが、プロとしての矜持があるならオレは正当な金額を要求する権利を簡単に捨てちゃ勿体ないと思う派。あと、これをやると他の同業者が潰れて業界としては決して良い話ではない。オレの理想は「高い価格設定でも仕事頼んだ客が満足して文句なく払うようなクオリティの仕事」を目指すべきだと思ってます。一番いい例がミシェランで星もらうような高級料亭とか寿司屋とかだよ。オバマも食ったという高級店の「すきばやし次郎」の寿司なんか一人前でコース頼んだら軽く３～４万は会計とられるそうな。これ何が凄いって、そんな金出してでも食いたいと思うような寿司を握る職人の技術と出される寿司のクオリティで予約が埋まってるってのが凄いのよ？3万出して回転ずしと同じクオリティの寿司出されたら潰れるよね？ぼったくりだよ。じゃあ、すきばやし次郎があのクオリティで（あのとか言ってもオレは食ったことねーけど）それまで3万で出してたコースを客に媚びて「顧客満足度の追求です」と３千円とかでだしたら？まぁ近隣の寿司屋は確実に全部潰れるよね？3万クオリティの寿司を３千円で出してる店があるんだから（笑）あと、これはオレに言わせると「技術の安売り」に見えてしまって、正直あまり褒められた行為ではないかな。プロなら自分の腕を安売りしちゃいかん。3千円で出してたらそのうち甘えが出る。その甘えは腕を腐らせるんだ。「稼ぐために腕を磨く」「高い金取っても満足させるだけのサービスを」ってのが目指すべき到達点であるべきさ。世に蔓延する中国製商品に欠けてるのはそれだよ。安いけど誰も満足してないでしょ？なんならサービス提供してる側、作り手側も「安いんだから文句言うな」みたいな意識が透けて見えるじゃん？オレね、独り身が長いから自炊とか料理もするんですよ。みなさん寿司って握ったことある？オレね、一度自宅で握り寿司を握ったことがあるのさ。シロートとはいえ、寿司屋で見てる限りじゃ板前がチャチャっと握ってスッと出してるから簡単そうに見えるんだよ。んで、スーパーで刺身用の魚が安く売られてたんで、ハマチとかマグロを握ってみたんだけど、まぁー難しい。片手で酢飯をまとめるだけでも一苦労。まぁ誰からも教わってないから仕方ないとはいえ、一貫握るのに30秒くらいかかってて、もう酢飯もネタも完全に人肌（笑）挙句に箸で持ったらシャリ崩れてネタ落ちるみたいな。いくら手は清潔にしてるとはいえ、他人の手であれだけ手際悪くギュウギュウ握られたら、ちょっと食う気失せるよね。技術って素人にはなかなかわかりにくいもんなんです。オレは「技術やサービスの安売り」ってのは怖いなぁ、と思ってます。日本はバブル弾けてからデフレ長くて物価は価格競争でどんどん安くなったじゃん？価格安いから売り上げ落ちて従業員の給料も減ってリストラが増えて、消費者の消費が萎んだから、更に買わせるために値下げして…ってデフレスパイラルが長引いた。吉野家の牛丼の値段が世相を表してるよね。20年くらい前は牛丼は400円だった。それが一番安いときで280円くらいだっけ？まで下がった。そこから値上げして今にいたる。サービスを安売りした結果、人件費が圧迫するから人を減らし、その結果があれよ、すき屋のワンオペでしょ？オレに言わせると技術やサービスを安易に安売りするのはタコが自分の足を食ってるようなもんです。業界の為にも、自分の為にも、しいてはお客さんの為にもならん。わかりやすい例かどうかはわからんけど、オレはプロ野球選手時代の落合の考え方には賛同できたりします。落合自身は十分に稼いでるし自分の年俸に対して特にこだわりはなかった。2億が3億になったところで税金諸々考えたら今の生活にそれほど大きな変化もないし金が欲しいわけじゃない。でも彼は自分の成績に対しては常に正当な金額を要求した。その理由は簡単で「チームで一番打ってるオレが年俸を安く抑えてしまうと、『落合ですらあの金額なんだから』と若い連中の評価も上がりにくくなるから」と。FAで移籍先を探す時も「一番多い金額提示した球団に行きます。それだけです。プロですから」とコメント。今の野球選手があんだけ高年俸になったのは、落合の功績です。オレがガキの頃なんか1億円プレーヤーなんていなかった。落合が最初です。あの王貞治も長嶋も野村克也も江夏も衣笠も掛布も1億なんてもらってない。落合が自分の技術、成績に対して正当な金額を要求するというプロの姿を見せたから今の野球界の年俸があるんです。顧客満足度は価格に比例はしません。プロ野球が観客を呼ぶためにチケットを安売りしたらどうなる？球団の収益は減る、当然ながら選手の年俸は上がらない。客を呼べるような人気選手がいれば、もしくは強いチームで客が呼べれば、チケット安売りなんぞしなくても客は来るんです。でも、あれが草野球みたいなレベルだったら誰もチケットなんぞ買ってまで見に来ないでしょ？オレは落語をよく聞きに行きます。談春や志の輔クラスになると独演会のチケットなんか先行予約抽選でも入れないとなかなか取れない。地方の独演会とかなら取れたりしますけど。ぶっちゃけ、オレは志の輔の独演会なら1万でもチケット買いますよ。でも、一方で空席の多い噺家も当然いる。むしろ完売なんて珍しいというか、それぞれ自分の集客力に見合うホールを借りるんですが、それでも空席はある。志の輔とか談春なんか1000人オーバーのホールを販売数分でソールドアウトにするんですよ？オレ別にエグザイルのライブチケット取ろうって言ってんじゃないのよ？（笑）じゃあ例えばこれでプロの落語家でもない単なる落語好きのオレが独演会やりますって言ったら何人来るんだ？このブログ何人観てるか知らんけど、ここで告知して会場は……まぁ、どっかのソバ屋の座敷でも借りたとして。根多も…どうだろうね。今すぐ即興でできるの何かあるか？時そば、猫の皿、狸賽とかなら喋るだけならできるかな。つか前座話でトリの根多がねぇな。いや、喋るだけなら紺屋高尾でもらくだでも粗忽長屋でもつっかえながら喋れるけど、シロートの文七なんぞ聴かされたくないでしょ？チケット代……まぁ座敷借りる場所代くらいは回収しないとならんけど、まぁ聞くついでに客は盛り蕎麦一枚食うって条件で店の店主に話付けるとして、まぁ500円くらいですか？そりゃそうでしょ。これでプロのホール落語みたいに3000円とか4000円寄越せなんて言ったら誰も来ないでしょ？でも、世の中には赤坂ACTホール1300席のチケットを4000円で２～３分の間に完売する噺家がいるのだよ。これは技術の差だよ。芸の差。プロと素人の差。俺がソバ屋の座敷で500円とって前座話をしたって野次や座布団が飛んでくる可能性の方が高いけど、プロは緞帳降りる中で満場の拍手で顧客満足度MAXで終われる。もし志の輔とか談春とかが「500円でチケット売るぜ」とかやりだしたら、まぁ場所代考えたら大きなホールは使えないじゃん？赤字になるし。そうなると結果として彼らの落語を生で聞ける人が減る。それが続くと彼らのファンも減るだろうし、減らないまでも少なくとも増えはしないよね。そんなことしてたら落語自体が廃れていく。安易なサービスや値下は誰の為にもならないのさ。プロなら、値段じゃなくて技術で客を満足させるべきだ。値下げで客が満足して値段が高いと不満だとしたら、なんで国産の牛肉は今も売られてるんだ？アメリカ産やオージーが市場を独占してなきゃおかしいでしょ？まぁブランドイメージとか品質とか信用とかも含めて、客が満足するかどうかが大事なんだよ。安易な値下とか顧客への媚びは逆効果だったり、場合によっちゃ自分たちのブランドイメージや印象すら崩す。たとえばさ…それこそ自動車だったら、仮にもしフェラーリが日本向けに660㏄の軽自動車とか販売したら買うか？それもう跳ね馬でもなんでもないじゃん？あのエンブレムはポニーか？と。メカニックやってるとね…まぁよくいるんですよ。工賃に対して高いとか言い出すお客さん。不思議な事に病院で手術して治療費に対して高いと騒ぐ人とか、家電壊れて修理業者呼んだ時に値段を値切ろうとする人は少ないと思うんだけど、車とかバイクの修理費用に関しては何故か不満なんだよね、そういう人。安くあげるのは簡単です。自分でやればいい。そうすりゃタダですし、実際そうやって自分の車やバイクを自分で整備してるサンデーメカニックみたいな人もたくさんいるし。なんだって自分でやればタダなんですよ。でも自分じゃ技術、知識がなくてできないから金払って頼むわけです。この前ね、これ以前からなんですがウチの水道の水の止まりが悪くて、きちんと閉めないと水がチョロチョロ出てる時あるんですね。いよいよ気になったので、ホームセンター行って蛇口用のパッキンを買ってきて交換して直したんです。パッキン数百円。時間にして10分もかからない。でもこれ、水道トラブル業者のクラシアンに頼んだら5000円でしょ？トイレのトラブルは8000円でしたっけ？そんなCMありましたね。オレは業者頼むの高いと感じたし自分でできるから自分で部品買って換えました。だから「5000円は高いな」と感じますが、できない人もいるわけ。むしろ、できない人が多いからあの仕事が成立するわけさ。でもオレは仕事が仕事だからドライバーもウォーターポンププライヤーもレンチも持ってるけど、一般の人が自分でやるなら道具買うところからだから、そうなると5000円は出張費用とか含めたら良心的な価格設定かもね。職人使うとなると金がかかるんですよ。ぜひとも世間の人達にはその辺理解してほしいなと思う次第であります。

  2018年05月22日

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• 日本人の勤労の美徳が崩れつつあると思っております。

  なんか現代の中学生の「将来なりたい職業」のランキングの上位にユーチューバーがランクインだそうです。まぁ億単位稼いでる人もいますしね。一見すると夢があるように見えてしまうんでしょう。では、稼いでる人が全体の動画投稿者の何％くらいいるのかって話になると現実見せられると思いますけど。そしてアクセス数を稼ぐために過激な動画や倫理的に問題ある動画をアップする傾向も有り、アメリカじゃ頭の悪いカップルの女が胸に辞書かなんかを入れて防弾した気でいる彼氏に向けて５０口径のデザートイーグルをぶっ放して射殺する事件が起きたとか。「ハードカバーの辞書なら貫通しないと思った」「もっと視聴者が欲しいと話してた」だそうだ。５０口径ってアナタ…マグナム弾っすよね？12.7㎜ってことでしょ？ゼロ戦が積んでた機関砲と同じ径の銃が辞書一冊貫通できないわけないと普通気付かないかね？何より怖いのは銃器の知識も無い未成年の男女がデザートイーグルなんて所持してるってことだな。まぁ日本でもちょいちょいいましたよね？動画配信の為にアホな事して捕まる奴とか。あれかな？「動画上げるだけでラクして稼げそう」とか思うんですかね？中学生くらいになればもう少し現実的な考え方もできそうな気はしますが。でもわかる気もしますよ？だって今の世間を見て、マジメに働こうとか思えないのも無理ないよ。世の中にはクレーマーが大繁殖してるし、やれブラック企業だやりがい搾取だの騒いでるし、昔は子供のヒーローだった警察官や消防士も今の世間じゃ、やれ税金泥棒だの昼飯食ってるだけで文句言われたりデモ隊に殴られても我慢して何も言えないとかさ。自衛官なんかあれだけ必死で働いても違憲だの殺人組織だの言われんだぜ？昭和のお父ちゃんは家族を一人で支える家の守護神として地位も威厳も家族の為に命張る覚悟すらあったが、今じゃそんなもん吹き飛んでATM扱いよ？まぁこれは、女性だけじゃなく主に男の方が悪いんだけどね。マジメに働いてる大人、まぁ身近なのは親父だろうな。それを「カッコイイ」と思えないというのが、現代の子供の不幸ですらあるとオレは思うけど。小売業やサービス業やればクレーマーに悩まされ、公務員になりゃ税金泥棒の公僕呼ばわり、徒弟性の強い職人稼業じゃ長い下積みバカらしいとホリエモンが言ってたと敬遠され、しょーがねーから手っ取り早く楽して稼げそうな動画配信者かアイドルでも目指そうってことかな。そういえば普段オレの戯言を流してるだけのこのブログ。いつもは大体どうだろう？1日で300とかなのかな？アクセス。クリック数でそれだから中読んでる人なんかその半分以下だろうけど。でもね、数年前の自衛隊の記事とか、何かの拍子でン十万とかアクセス来ちゃった事がありました。んで、オレ知らないうちにYouTubeに記事そのまんまアップされてて3万とか閲覧されてるの見て「別にリンクフリーだし好きに使って構わないけど金儲けに使うなら一言許可くらい取ってほしいなー」とか思いました。あ、なんかあんま表題と関係ない話になってるんで本筋に戻します。まぁ普段の記事内容的に特に若い層にウケるような内容も書いてないので、ここ読む人で未就労の未成年とかがどれくらいいるかは知りませんが、もしオレが未成年に対して勤労について語れと言われたら、ユーチューバーを目指すという中学生達に向かってどんなことを言うかな？とりあえず最初は世間でよく言う「世の中に楽な仕事なんてない」という定番の教えについて、もっと噛み砕いて教えますかね。子供がこれ聞いて納得できないのは、単に就労を体験した事が無いからなので見た目でしか判断ができないからです。じゃあ逆に聞くと「世の中に楽に稼げる仕事があったらどうなる？」と考えると、この説が正しい証明になる。楽に稼げる仕事なんかあったら、世の中にこんな多様な職業は無いのだ。YouTubeに動画上げるだけで稼げるなら、確かにラクだ。じゃあ稼げてる奴が全体の中でどれだけいるのか？って話だね。なので、仮にオレに中学生の倅でも娘でもいたとして、将来動画配信で食っていきたいと言い出したら親父としてどう言うか？「食っていきたいなら本気でやれ。バイトしながら片手間で副業程度でやるくらいなら本業全力でやって稼げ。ユーチューバーで食っていくというなら、朝から晩まで動画の勉強しろ、視聴者のニーズやマーケティングも欠かすな。他の仕事してる余裕なんかねーぞ。仕事だというならプロ意識持って本気でやれ」ですかね。もし自分の倅が「仕事辞めたい。辞めようと思う」と言い出したら…昔なら「とりあえず石の上にも3年だ」とか「忍耐が足らん。我慢しろ」となるんでしょうが、オレは自分が働き始めてから「それは多分違うな」と思い始めました。オレね、１８で社会に出てから整備士しかやってないんです。もちろん、転職の合間に次の仕事場に行くまでの間に短期のバイトしたりはしてましたし、無職のまま日雇いバイトだけでバイクで全国旅してた時期もあるっちゃあるんですが、基本的にはメカニックとして20年以上生きてます。当たり前ですが、仕事で嫌な事もあればツライ事もありましたよ。でも「やめてーなー」と思った事ってないんですね。そりゃ突発的に「いっそ辞めちまおうか」と思った事はあれど、大体は一晩寝れば忘れてました。その程度です。本気で「辞めたい」と思ってしまったら、多分その時点でもうソイツはその世界では使い物になりません。そりゃそうだ。そう思い始めた時点で本気になんてなれない。向いてないよ、そんなやつ。ホントに好きなら「つらい、嫌だ」という感情と「辞めたい」という感情はハッキリと次元が違う所にあるのです。辞めようと思い始めたって事は、本気じゃなかったってことです。仕事ってね、特に男の場合は人生の半分以上は費やす活動なんですよ。そんなの本気でやれなきゃ人生損すると思わない？好きになれなきゃ、プライド持てなきゃ損でしょう。人間ね、本気になれりゃ他人に何言われようが気にならんのですよ。「言いたい奴には言わせとけ」で済む。芸人とか正にそうでしょ？漫才師でも落語家でもお笑い芸人でも、売れなかろうが周囲が何と言おうが続ける奴は本人は本気ですよ。何言われたって気にしちゃいない。今じゃ売れっ子の有吉が仕事全く無くて極貧生活してて、なんなら世間からも「そういや猿岩石とか昔いたよね」みたいな落ち目芸人扱いされても、本人は芸人辞める気全くなかったわけじゃん？本気じゃなきゃとっくに辞めてますよ。まぁ、これは本気にさえなれれば別に仕事じゃなくてもいいんですけどね。例えば結婚して家族を養う立場になったとしたら、家族を守る、子供を守ることが人生における本気度の最上位に来るでしょう。その為なら好きじゃ無かろうが嫌な仕事だろうが、本気で家族を守る気があればどんな仕事でもできるでしょう。オレは独身だから今のところ、仕事以外にそこまでガチンコで取り組むべき目標が無いから仕事になってますけど。辞めたいと思った仕事なら無理して続ける事は無いさね、サッサと辞めちまえと。そう思った時点でその仕事向いてないよ。落語家なんかそんな話ばかりよ？立川談春なんか談志から何度辞めちまえと言われ一時は見放されても辞める気全く無くて今がある。志らくの弟子のらく兵なんか破門されたって一年後にどういうわけか戻って来て前座からやり直してるしだな、人生本気で生きてりゃ他人が何言おうが平気の平左ってやつだ。そう思えない奴は廃業してったし辞めてったでしょう。そっちの方が多い。そしてその中で成功した奴はいないよ。当たり前だ、辞めてるし。本気で努力すれば報われるってのはウソだ。若者に言うには酷すぎる現実だけど、悪いがオレは外ヅラ優しい大人ではないし、そこまでテキトーなごまかしで騙せると思うほど未成年や子供をバカにしちゃいない。ただ、成功した奴で本気じゃなかった奴なんかいない。努力しなかった奴もいない。「持って生まれた才能の差はある」というじゃん？そんなもの無いと思いたい気持ちはあるが、残念ながら生まれ持った才能はあるよ。アスリートの身体能力とかは特にね。「どんなに努力しても日本人じゃ100ｍを10秒以下じゃ走れない」というのは陸上の世界じゃ皆が漠然と感じる「才能の壁」だろう。でも、もし仮に将来、日本人で10秒を切る選手が出てきたとしたら、そいつは絶対に「日本人でも10秒切れる」と本気で考えて努力してきたはず。そう考えてない奴は絶対にその壁は超えられないはずなんだ。超える奴は本気で超えられると考えてた奴だけだ。そこに対して本気になれない奴は挑むのやめた方が良い。時間の無駄だ。別に将来ユーチューバーを目指そうがアイドル目指そうが好きにすればいいけど、やるなら本気でやるべきだ。でも、日本の将来を担う中学生が本気で人生かけてやりたい仕事の上位が動画配信だとしたら、オレはちょっと寂しい気はするけど。

  2017年07月16日

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• 技術屋じゃない人から見た技術屋

  定期的にね、都内の本社に行って若い整備士の研修の講師的な事をやらされてるんですが、本社に行くと結構な重役とか偉い人に出会うわけです。オレもこの会社長いので、管理職でもないのに本部長とか数人の事業部長とかマネージャーとか顔見知りは多くて、よく絡まれ……もとい、話しかけられます。ウチの会社の七不思議として、技術部門のトップが技術屋出身者ではないという現状がある。総じてメカニックという職に対する理解認識と評価が低いという土壌があるというか、営業職が花形であるみたいな社内意識があるからだけど。そんなオレの顔見知りの本部長から、この前の研修の時に「ノムさんちょっと昼飯付き合えよ。聞きたい事もある」と呼び出された。本部長「今さ、横浜（通称：男塾）で整備だけじゃなく塗装もやってるじゃん？」オレ「やってますね。」数年前に横浜の拠点でそれまでの整備業務だけじゃなく塗装も行うと１千万くらいかけて設備を揃えて担当者を２名選出して１ヶ月ほど板金塗装屋に研修行かせて塗装業務を始めた事がある。ただ、これは社内で扱う車両の加修の為の部署。本部長「あれをな、対外的に新しい商売としてやれないかな」オレ「客から金取って塗装屋始めるってことですか？」本部長「まだ企画段階だけどな。参考までに現役メカの意見もな」オレ「無理でしょう。客からカネ取れるレベルじゃないですよ。いいとこ補修とか元よりマシになった程度のつもりで始めた部署ですし」本部長「でも１ヶ月研修もして、もう２年くらいやってるぞ？あの２人も腕上がったころだ」オレ「あの、本部長。一般職のオレが出過ぎた事言うのは百も承知であえてハッキリいますけどね」本部長「うん」オレ「もしかして自動車整備士なら板金とか塗装も簡単にできるとか考えてたりしません？」本部長「修理工場とかで板金塗装も受けてるとこたくさんあるだろ」オレ「いいですか？本部長。塗装と板金なんて、それ一本でメシ食える技術なわけですよ。たかが１ヶ月研修したくらいで一人前になれるわけじゃなし、ましてや２年の経験は客から受けた注文じゃなく、ウチの車両をウチの好きに塗ってただけですよ？失敗許されてる状況の２年なんて経験の内に入らんです。」本部長「あの２人の腕はお前から見てカネ取れるレベルじゃないってことか」オレ「腕は上がってますよ。仮に俺のバイクのタンクをあいつらに塗らせても別に不満はないレベルですよ。ただ塗装工じゃなく整備士が塗ったモンで、そこで３万請求されたら『この程度で３万払うならもっと安くて速くて腕のいい塗装屋おるわ』と怒りますわ」本部長「んー」オレ「例えば本部長ね、道場六三郎がこしらえた懐石料理に３万出せと言われたら出すけど、しょせん素人の趣味でやってる梅宮辰夫がこしらえた懐石に３万出しますか？」本部長「あー、要するに玄人はだしってレベルか。」オレ「技術屋が技術でカネ取るのは要求的に相当厳しいレベル要求されるもんです。今塗装やってる２人を一人前の塗装工に育てるまで会社が多少の赤字や客からのクレームを面倒見る覚悟があるって言うなら別ですが」本部長「そうかー。いや、塗装が波に乗れば今度はメッキ塗装パーツの開発とかも将来的に考えてたんだけどな」オレ「本部長！普通の塗装とメッキ塗装は全く別物です！」本部長「え？そうなん？」オレ「本気でメッキ塗装工場用意する気なら億単位の設備投資必要ですよ。それと技術者も」本部長「副社長の発案なんだけどな。どこまで本気か知らないけど」オレ「あれですよ…修理板金塗装って一般じゃ一括りにされがちですけどね、俺だって整備はもちろん溶接もアルミ以外ならそこそこレベルはできるし、塗装も調色さえしてくれりゃそこそこレベルでできますよ」本部長「できんじゃねーか」オレ「いや！だから、アルミ溶接できない溶接工や調色できない塗装工がカネ取ろうってのはプロ舐めてんのかって話なんですよ。眼医者行って風邪気味なので薬くれと聞いてるのと同じです。同じ医師でも専門分野ってもんがあるでしょう」いやいや、結局その場で相当熱弁してしまったが、どこまで本部長に伝わったかは怪しい。やはり世間一般から見ると似たような業種に見えてしまうジャンルってのはあるんだろう。クルマやバイクの修理できるなら板金塗装に溶接くらい誰でも整備士ならできるもんだと思われてそうではある。それはラーメン屋が蕎麦屋もやるとか、それこそ医者ならどんな手術もできるんだろう？とか、大工さんなら基礎から外壁から内装まで全部やるんだろう的な認識に近いのかもしれない。その分野で従事してる人間なら、それぞれが独立した分野で専門職の職人がいることは知ってるけれど、外から見れば違いは判らんのかもしれない。そういえば、最近テレビつけてたらキムタクが出てる医療ドラマが始まったとかで、なんとなく見てたら色々とツッコミ所が多かった。何でもそのドラマ、アメリカで修行して帰国した心臓外科医のキムタクが脳腫瘍の元恋人の治療を担当するみたいな話だったような気がする。さすがにこれは素人のオレでもツッコミ入れる。「なんで心臓外科医が脳外科の患者を診てんだよ」と（笑）それこそ風邪の患者が眼医者行くのと同レベルだ。ましてや脳外科も心臓外科も、完全に専門医オンリーのスペシャリスト分野だろうに。これをオレ自身に例えて表現するとこうなる。「整備士として長年経験を積んできたオレが元恋人のバイクのアルミフレーム溶接から全塗装までやる」みたいな。まぁ、この業界だとレース活動してるショップとかじゃ全てできちゃうショップもあるっちゃあるけどね。そこだって一人で全てできちゃうスーパーエンジニアみたいなのは稀で、社内で分業だろう。オレがもしその依頼を受けたら「金取れるレベルじゃないけど、タダで頼んだ仕事にしてはそこそこのクオリティのものができました」程度のオチになる。まぁ冒頭の新人研修の仕事を聞かされた時にも会社には言った事ですが、「技術屋一人育てるのは金と時間と忍耐が必要ですよ」と。かれこれ２０年やってるオレですら、まだ自身を「極めた、マイスターだ」なんて思えないどころか「まだまだ学べることはある。」としか思えない世界でもある。ただ、そんなのは外から見たらわからんのだ。わからんのは仕方ない。本業じゃないんだから。ただ、自分がわかって無い事を理解してないまま語られると、話の方向性はどんどんズレてくる。料理素人が食べログで料理批判してるのと大差ないようなもんで。

  2017年02月10日

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• 職人の修業期間は無駄か否か？

  今年の新卒の後輩との会話ですが、そいつと同期入社の新卒でオレが以前にいた横浜の拠点に配属になったメカの子が、入社してから３カ月目ですか、毎日洗車と仕上げ磨きばかりやってて工具を触ってないという業務に愚痴を言ってたそうです。…まぁ、あそこに入庫してくる車両は基本的には店舗で手が回らないとか手が出せないような車両とでもいうか、病院で言うなら超重症の難病患者ばかり集まるような拠点なんで、入って一年目の子に任せられる仕事自体が少ないという事情はある。ただ、その当人は洗車業務や雑務を「下積み」という認識でいるようで、ようは早い話が掻い摘んでその愚痴の内容を要約すれば「長い修業期間とか下積みなんて無駄じゃね？学校２年行ってるんだから任せてもらえればそこそこできる」ということなんだろう。ウチの後輩はその同期会みたいな飲み会で、その類の愚痴を聞かされてたようだけど、その会に参加してたメカの新卒たちの中からは「仕事任せてくれないのは、いざやらせてみたら自分と変わらないくらい一人前にこなせて商売敵になるのを認めることになるからじゃないか」というような声もあったそうな。うん。まぁハタチそこそこで社会に出た若者が社会を数か月経験して陥りそうな感想ではある。そういえば随分前にホリエモンも「寿司職人に長い修業は無駄。今は教室や学校行けば１～２年で技術は習得できる」とか言ってたな。まぁ最近の若者は昔に比べて賢いので、何でも合理的に最大効率で処理するスキルは昭和世代より確実に高いとは思う。そのせいか、こと技術屋業界における下積みを嫌う傾向があるんだとか。そういえばオレの中学の同級生で割烹料亭の板前やってるヤツがいるけれど、成人式の後の飲み会で「今度店行くよ。」と言ったら「店来てもオレが作ってる料理なんか出ないよ。飯炊きと刺身皿のツマくらいかな」とか言ってたな。少なくともその当時で既に修業期間は２年くらい経過してたはずだが、作らせてもらえるのは職場のスタッフの賄いメシだけだそうだ。２０年経過した今じゃ都内でそれこそ立板って言うのかね、店のナンバー２として文字通り板の前に立つ板前としての地位を獲得して造りを引いたり時として親方不在時の代理として板場を仕切ったりすることもあるそうだけど。俺も一応は職人のはしくれとして、その愚痴った新卒君の言いたい事も理解はできる。でもまぁ、オレの場合は世間一般的なメカニックと違い、専門学校なんぞ行かないで、それこそ見習いから実務経験だけで３級の受験資格を取り試験を受けて更に実務を重ねて２級を取得し……なんて感じで今に至ってる。まぁ国家整備士資格は二輪と四輪の両方持ってるけれど、今となっては別に四輪の方の資格は取る必要なかったかもしれんので無駄と言えば無駄ではある。最大効率とは余程比べるべくもないくらい地道なキャリアや回り道をしながら、それこそ無駄な時間に思えるような下積みもありながら２０年くらいやってるわけですが、例えば今の俺の持ってる知識や技術、ノウハウと言うのは最大効率で無駄のない育成カリキュラムを組んで効率的に習得すればもっと短期間で得られたのか？と聞かれたら即答でノーです。オレのキャリアの中で傍から見たら一番無駄に思われかねない時期としてカワサキディーラー時代にレースメカやってた期間があります。本気でレースの世界で食っていくつもりも無く、単なる興味と趣味で誘われて参加してたんですが、レース車両は全てにおいて構造も考え方も公道市販車とは別。ハッキリ言って街中でバイク屋の業務やる上では特に必要ない事ばかり。もし仮に一刻も早く一人前になって独立したいと思ってるメカの子がいたら、そんな寄り道してる場合じゃないんですな。レースなんて外から見たら華やかでカッコいい世界に見えますが、中にいる人間にしたら無茶振りと理不尽の塊ですよ。結果が全てですから、物事の考え方の優先順位が「まず結果ありき前提で組み立てられる」という。あの矛盾と理不尽と計り知れない程の勝利への執念というか熱さみたいなものからオレが学んだことは多い。メカとしてというより人間としてね。ホリエモンじゃないですが、じゃあ例えば彼が言うように料理人養成教室や学校で２年の間、様々な技術を学んだ子が世間に出て板前になり刺身の造りを引いたとします。一方で、もうかれこれ５年くらい料亭で下積みしてるけど、今まで店で刺身なんぞ引いたことも無い。最近やっと焼き物任せてもらえるようになりました、みたいな修業中の子。その子に刺身の造りをこさえてもらったとします。どっちに客が金を払うかな？と聞かれたらどうなんでしょうね？５年も皿洗いや雑務の下働きメインで過ごした時間が本当に無駄なら、勝負は前者の勝ちでしょう。なんせ手取り足取り教えてもらって何度も教室で練習してるつもりで本人はいますし。その５年をただ無駄に過ごしてただけならそれは無駄です。外から見ると一見本当に無駄に見えるんですね。だからホリエモンもそんなことを言ったんでしょう。オレも友人に板前がいなきゃ内情はわからんままで、「まぁ集中的に２年間技術習得に時間を使ってれば、そこそこの腕は育つだろう」なんて思ってたかもしれません。これは前述の板前の友人の場合ですが、厨房で一番下っ端の見習いは下働きや雑用が仕事ですが、そんな仕事より神経使う仕事が「職場の同僚のメシを作る」という作業だそうで。まだ客に出す方がよっぽど気楽だそうで、そりゃそうだ。客と違って食わせる相手は全員プロの舌持ってんだから。賄いメシの出来で自分の修業の成果を毎日測られ、その都度ダメ出しや指摘を受け改善を繰り返す生活を２年とか３年はやってるわけですよ。厨房の残り食材とかを上手く使ったりするらしいので献立作りから始めなきゃいけない。休憩時間なんかないに等しい。合理性と効率を考えるなら、スタッフの昼食なんかレトルトカレーとかカップ麺が一番合理的でしょう？まぁセンスある奴なら学校で必要な知識や技術を習って出てきたばかりでも、持ち前のセンスで結構な出来のモノは作れると思うんですよ。現にウチに入ってくる専門出たばかりの新卒メカでもピンキリいるし、俺は去年から定期的に都内で社内研修の講師役みたいなのに駆り出されてたりするので「今時の子」というのを多く見てますが、天性のセンスみたいなもんを持った子も普通に見ます。なので一概に下積み長い方が良いはずだと言う気はないんですが、それはビジネスと言う一面い於いてのみです。以前の記事でも何度か書いてる気はしますが、オレがこのうちの会社の新人向け社内技術研修の講師役に消極的…というか、研修自体に消極的なのは「ここで短時間で何を教えたところで学べないもんが現場にゃゴロゴロ転がってるよ」という思いからです。上手く言えないんですが、例えばですよ。学校で問題を解答教わりながら解いてきた２年は最大効率で無駄のない行動だけど、その問題を自分一人で何年も試行錯誤しながら無駄に悩み続けた人間が得た知識や技量の差は歴然だと思うわけ。何故ならその数年の無駄に意味を持たせる事ができてるはずだから。この無駄が大事なんです。いや、正確にいうなら「無駄が意味を持ち始めるまで無駄を積み重ねる事」が大事なんです。整備士なんて仕事してますとね、無駄な事なんて多いんですよ。原因不明のトラブルでバイクが調子悪い。故障診断を初めて頭の中で整理しながら消去法で原因を潰していったら全部消えちゃった。あれ？みたいな。あれを見てみよう、いや違った。じゃあこっちか？これも違う。効率と合理性で言うならこんな悩んでる時間無駄ですよ。メーカーの正規ディーラーならそれこそメーカーのサービスに車両送ってしまって丸投げしちゃえばラクだ。原因が判明しちゃえば３０分で終わる作業でも、原因を探すのに２日かかりました。これを３０分で見つけられるメカは優秀ですよ。２日かけてしまったメカは、まだまだ未熟ですが、じゃあ悩み続けた２日間は無駄なのか？俺からハッキリ言えば「無駄」です。ただ「今の時点では」ね。この無駄を何個か積み重ねるんです。そうすると似たような症状の車両が次に来た時に脳内に残ってる過去の無駄の欠片をいくつか集めてヒントが出てきたりする。学校じゃこの感覚は教えてくれません。というか教えようがありません。だって単体では無駄なものでしかないから。この積み重ねた無駄の断片や、それらが集まって生まれた結論がデータとして残り、データが集まればそこに確率が計算できる。「今まで見てきた中だと、ここが怪しい」みたいな。それらを積み重ねていくと３０分で故障診断が完了するメカが生まれるわけです。学校を出たばかりの人間には何のヒントも無い所から答えは出せない。公式教わってないのに数式解くようなもんです。でも、そもそも数学における公式って誰が最初に作ったんでしょうね？それは何度も無駄を積み重ねていくうちに一定の法則に気付いた人が、その頭の中にある理論や法則を形にしたんでしょう？どんなジャンルにも「理論」と「実践」というのがある。この理論の部分だけを教えるのが学校です。少なくともオレと今年入ってきた新卒メカ君の整備士として最低限習得してるであろう知識に大差はないです。ただ実践値は桁違いです。見習い時代から数えてどうだろう？ちゃんと数えた事ないけれど、ざっと数えても整備してきた車両の台数で言えば２万台くらいは触ってるわけですが、その２万台に費やしてきた無駄を集めたらノウハウや理論なんて何個作れるかって話だろう。冒頭の新卒君がなんて言ってたって？「商売敵になると認めることになって困る」とな？心配すんな、実践値０の同業者なんぞ眼中にねーよ(´＿ゝ‘)ｙ-～～キミが学校で得た理論に実践値で裏付けと証明が完了したころに相手してやろうじゃないか。何年先になるかは知らんけど。とはいえ…入社してから洗車だけしかやらせないのが必ずしも育成にとって正解だとは俺は思わんけどね。そこから得られる無駄を積み重ねることに意味は作れるけど、それこそ実践値じゃないが「無理でもなんでもまずはやらせてみなきゃ覚えねーよ」という思いはオレは自分の経験談として言えるので。ま、問題は「試しにコイツにやらせてみようかな」と思わせるだけのアピールができてるかどうかですが。ビジネス的な面では無駄は極力省くべきですが、人間として数値に現れないものを得るには無駄に意味を持たせられるかどうかが大事なんだと思いますけどね。そもそも下積みを無駄だと否定したら人生なんか９割くらい無駄な下積みだぜ？

  2016年07月06日

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• 顧客満足度とサービスの履き違え

  ウチの店に入社2年目になるセールスの子がいます。まぁバイクを人に売るにはまだバイクに対する商品知識が足りない所はあるものの、そこそこちゃんと販売実績もあったり仕事には慣れてきたようではある。ただ、この子には大きな問題がある。とオレは思ってる。とにかくお客さんに対して折れてしまう。すぐサービスしてしまう。車両を売れば、当然ながら納車整備費用なんかも発生するのだが、彼は商談を詰める段階で煮詰まるとすぐに「自宅までの配送をサービスします」「工賃サービスで取り付けます」みたいな手段を使う。お客さんから値引き交渉をされると、かなりの確率で応じてしまい、粗利が大して取れないなんてこともある。それに対してオレが苦言を呈した時に帰ってきた彼なりの考え方。「お客さんは喜んでます」「顧客満足度を追求したいんです」「でも、この方法で販売数は伸びてるし会社に対しても貢献できてると思います」との事だった。何か大きな勘違いをしてる気がしたので、とりあえず一言だけ教えといた。「置いてるモノを売るだけなら3流、客が喜んで買った所で2流。一流は客も満足させて自分たちの商売も成り立たせてこそプロだ」と。彼は顧客満足度とサービスを履き違えてるのだな。技術屋のオレの主観で言わせてもらうなら「タダでやる仕事はタダみたいな責任しか負えない」と思ってる。もちろん工賃サービスでやる状況も有るといえば有る。ただ、それは結果として最後の所では利益になってるという落とし所が見えてるがゆえに妥協だ。分かりやすい例えで言うとさ…知り合いの大工にちょっとタダで頼んで部屋の改装をしてもらったとするよ？終わった後に、ちょっとした不具合が見つかったとして、そこでその友人に「悪いけどもう一度来てやり直して」と頼める？普通は言いにくいよね？よほど厚かましい人なら言えるかもだけど。ただ、そこでもし正規に料金を払って仕事として依頼したのであれば、遠慮なく言えるのだ。金を払って契約したってことは、完成を約束したうえで対価を授受してるわけで、当初の完成と違うなら、修正を依頼するのは当然の権利だ。俺の仕事で言うならさ。例えば友人が「動かないバイクあるんだけど、あまり金かけたくないから暇なときに診てくれるかな？」と言われた場合と、同じような状況で「とりあえず10万くらいまでなら出せるから、ちょっと見積もり出してほしい」と頼まれた場合。少なくともオレの対応はハッキリ分かれます。前者なら、ホントに休日の暇な時に顔出して、症状を確認して、その場で手軽にできるチェックをして原因を見つけるくらいまでならタダでも友人の誼でやらんこともない。あとは、金かからない範囲で、いわば「やっつけ仕事」的なプランで「とりあえずエンジンかかったけど…」くらいまでなら車両状態次第では可能かもしれない。それ以上の責任は取れないし、その状態の車両を乗って何か不具合が出てもオレは責任は取れない。後者なら、これは「仕事の依頼」だ。予算10万という枠が決まってる中で、その車両が稼働状態になるために何と何が必要で、どのくらいの費用がかかるのか？仮にそれが15万だとしたら、削れそうな部分はどこか？要するに「松・竹・梅」プラン的に何通りか提示することもできる。どうやりくりしても10万じゃ足りないってことになれば、最低限必要な金額と、その根拠を説明して商談かけるよ。その2年目のセールスの子は、オレの説明に一応納得した素振りはみせたけど、おそらく釈然としてないような気がしたので、その日の夜にメシ食いに誘って更に聞きました。俺「一つ聞くけどさ。仮に俺が全ての仕事を客の要求のままに値引きしたり、サービスでやったとしたら、お前から見てオレは優秀なプロのメカニックかね？」「聞ける無理は聞いてあげたいじゃないですか？融通効かせたいし」俺「それはプロじゃない。善意のボランティアっていうんだよ」「でも一般の人から見たら工賃ってどうしても高く思われるんですよね…」俺「高いと思うなら自分でやればタダだぜ？できないから頼むんだし、できない人がいるから代わりにやる俺みたいな稼業が成立するんだぜ？」「んー、多分そのへんのモノの価値の話を上手くできればいいんですが…」それを聞いてオレも少し考えた。コイツに教えるべきは何か？しばらく考えて俺からでた言葉は「モノの価値なんて状況次第で変わるし、あってないようなもんだ」と。以下、サルでもわかるようにそのセールスに語った例え話。メシ食ってたのがちょうどファミレスで、目の前にナイフとフォークがあったのを見て思いついたんだけどね。俺「お前もし、ここに諭吉が100枚あったとする。」「はい」俺「このナイフとフォークあるよな？お前100万円とナイフ、どっちか片方貰うとしたらどっちだ？」「…何かのトンチですか？普通は100万ですよね」俺「だな。オレもそっち選ぶよ。そりゃナイフより100万の方が価値が高いからだな」「100万のナイフって聞かないですしね」俺「でも場合によったら100万で買うやつが出るかもしれねぇぜ？」「？？」俺「お前さ、もし絶海の孤島の無人島に島流しにされるとしてだ。100万円とナイフどっちもってく？」「あー、なんとなくわかってきました」俺「無人島でココナッツを見つけて中のジュースを飲みたくても素手じゃ割れないな。」「ノムさんなら手刀で割れそうな気が」俺「あれを素手で割れるとしたらアラレちゃんくらいだ。」「地球も割る女の子でしたっけ」俺「でな、もしそこに100万持ってる奴がいても、多分生き残るのは、そこらで2000円程度で売ってるナイフを持ってる奴なわけ」「なんなら100均のカッターでも無いよりマシかもですね」俺「俺ね、もしその状況なら、その100万持ってる奴にナイフを一回10万でレンタルする商売を成立させる自信あるわ」まぁ、よく考えれば不思議でも何でもないのだけど、普段は数千円で売られてるナイフが、場合によっては10万にも100万にもなりえる状況はある。それはなぜか？ってと、その状況でナイフにそれだけの価値があると感じる人がいるからだ。普通に世間で生きていく中じゃ、1000円とか2000円程度の価値しかないナイフだけど、無人島においては、ヤシの実を破る事も出来るし、魚を捌くこともできるし、なんなら危険な獣から身を守る武器にもなる。需要に対して有効なモノであれば価値は上がるのだ。それと同じで、オレの仕事においても、バイクを持ってもいなければ興味もない人にとっては、オレの価値なんて０なのだ。一生世話になる事もない。それは俺にとってシャネルNo.5の香水よりも、オロナイン軟膏の方が価値が高く需要があるのと同じ。ただ、バイクを乗ってる人にとってはオレの存在は金払う価値があるのだ。どのくらいの価値があるのか考えるのは依頼する客の方が決める話ではある。まぁ、気の毒な例えになるけれど、仮に俺の後輩バカたぐち。コイツに仕事を依頼した工賃が2万円とする。まぁ同じ職場で働いてるから、こんなことはないのだけれど、例えばそこでオレが同じ依頼内容の作業を3万円で請けたとする。お客さんどっちが満足するだろうか？とにかく安く上がって満足だというお客さんもいるだろう。ただ、オレは自分で言うのもアレだけど、他の奴より1万高い料金でも俺に仕事を依頼して満足して喜んでくれる客はたくさんいると思ってる。頼んだ客も満足して喜ぶ。請けたこっちも利益が出て喜ぶ。このwin win の関係こそが、少なくとも技術を売り物にしてる稼業全般においての理想形だと思うわけ。お客さんの満足度は金額だけじゃない。金額だけで測るならスーパーで国産の牛肉なんか売れねーよ。全部アメリカ産かオージーに流れる。なんなら中国産の天下だよ。まぁホントに牛の肉かどうかって時点で少し怪しいけど。じゃあ中国産の肉を食った人と国産食った人の満足度はどっちが高いんだ？って話さ。更に言うなら、国産の肉が中国産と同じくらいの値段で安売りされてたら？素直に喜んで買うかな？少なくともオレは何か裏があると疑うけど。提供するサービスに対して適正な金額を要求することは悪い事じゃない。それが適正かどうかは客が判断すればいい。請ける側は、貰った対価に対して恥ずかしくない仕事を見せて納得させるのが義務みたいなもんだ。仮に他より割高な金額を設定したとして、客が「ありがとう、次も頼むよ」と言ってくれたら、そいつは一流だよ。客が他より高いソイツの提供するサービスを認めたって事だろう。これが顧客満足度でしょう？金額の多寡と値引きだけで顧客の満足が得られてると勘違いしてる時点で、そのセールスの子はまだ甘いのだ。設定した金額を安く売るのは高校生のバイトでもできる。プロのセールスなら設定した金額に見合う価値がある事を語り、その根拠と必要性を客の需要や要求を読み取りながら納得させるべきだ。仕事の内容で納得させるのはこっちでやるからと。とりあえず食うもん食った後にドリンクバーとフライドポテトで2時間ほど粘って説いたオレの「win win原理」は理解してもらえたようではある。…半年後には忘れてる可能性もあるけどな…

  2016年02月24日

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• 仕事に対する意識あれこれ

  最近ちょっと自分の中での「仕事」に対する意識が変化しつつあるのを感じる出来事がいくつか。考えるきっかけは幾つかあって、その変化をどう表現しようかと整理しようとすると複雑なので個別に箇条書きしながら記事を書きながら整理していく事にした。○ブラック企業関連で騒ぐ人これ少し前から言われてるじゃん？「ブラック企業なんとかしろ」とかネットじゃ色々見ますよ。これに対するオレの考えは首尾一貫というか、昔から変わってなくて「嫌なら辞めればいいだろう。職業選択の自由はある国だ」という一言以上でも以下でもない。ただ、そもそもこれは日本人の根底に「終身雇用」「会社は社員を養うべき」という悪い意味での寄生意識があるからじゃないかとオレは思ってる。自分の置かれた環境が不遇だと思うなら誰かをあてにしないで自分の力で環境を変えればいいだろう。ブラック企業叩きをする声を聞いてて何か違和感を感じる部分があって、それは何か？と考えてながら彼らの声を総合してまとめると、オレはこう解釈した。「給料や福利厚生は厚くしろ。でも仕事はなるべくしたくない」そういうのを世間一般で「扶養家族」と呼ぶ。会社に不満があるなら辞めればいい。そうして不当な環境で労働者を雇う企業は人材が流出してそのうち経営に支障が出る。そしたら企業も待遇を見直すだろう。そもそも会社に対して過剰に色々と求めすぎなんじゃないか？オレなんか今の会社猛８年目になるが、会社に対する忠誠心なんか０に等しいぞ？でも与えられた仕事、課せられた任務に関しては１００％確実に満たした状態でやる。その対価で給料を貰う。仕事が納期に間に合わなきゃ休日だろうが出勤して終わらせるし、客がどうしても今日欲しいと言えば就業時間外の残業だろうが茨城から山梨まで配送で納車に行った事もある。もちろん休日出勤手当てや残業手当は貰うし、これを出さない企業なんか論外だ。これはウチの職場でも人ぞれぞれ考え方は違って、絶対に休日は出勤しない人もいるし残業は嫌がる人もいる。オレの理想は「誰よりも多くの仕事を終わらせた上で誰よりも早く定時で帰る。その為の業務効率を考える」だ。そしてオレが仕事に対して最も重要視してるのが「約束は守る」だ。納期を間に合わせるっていうのはオレと客の間で売買契約書を交わした際に発生した【約束】だ。オレは業種問わず男の仕事ってのは全てこの「約束」だと思ってる。これはオレが思ってるだけで、他の人はまた違う物を重視してる人もいるだろう。顧客満足度のCSが最重要だという人もいれば、利益が最も最優先だという人もいる。俺の場合は「仕事請けたヤツと依頼したヤツの間で交わした約束」が最優先だというだけ。これはオレと客の間でもそうだけど、同時に会社とオレとの間の雇用契約でもオレは同じ考え方をしてる。会社が「これだけ給料出す。だから一ヶ月にコレだけの仕事をしてくれ」と示されたら、その基準を満たす為に動くし、届きそうも無ければ届くように動く。もしオレが給料以上の利益を会社にもたらし続けてるのにオレの評価が上がらなきゃオレは会社に言う。その為の面談はウチの会社は半年に一度ちゃんと機会を設けてる。逆に給料に見合うだけの成果が届かなかった場合は下がる。その理由もちゃんと説明される。ブラック企業に云々言ってる人はなんで辞めないのか？自分が仕事に対して何を重視してて何に不満を持ってて会社から与えられる物と自分が生み出してるモノの比較の中で何が崩れてるのか？多分このあたりの認識ができてないんだと思うよ。○仕事に向き合う姿勢３年ぶりくらいに今はもう退職した古い職場の先輩と会う機会があった。車を買い替えるにあたって保険内容を変更する際に、オレはずっとその先輩の友達の車屋で保険を紹介されてたので電話して、その時にその先輩の近況を聞いたりして、久しぶりだし会ってメシでも食うかって話になった。その先輩は良くも悪くも昭和の企業戦士みたいな人だった。オレが都内の部署にいた時に一時期、店長職をしてたけど、ほとんど休日出勤の連続で夜も遅くまで一人で仕事してて、元から持病もちだったのもあり、無理がたたって膵炎を患って入院する有様。それでも退院後は復職したりして頑張ってたのだが、ある時から今まで張り詰めてた気が一気に緩んだのか突然退職をした。仕事は出来た人だ。責任感が強すぎて時にサービス残業も平気でやりながら数字を出す。ストイックなまでに仕事に打ち込んでた。俺が言うくらいだからどのくらい打ち込んでたかは想像できると思うけど（笑）彼の名言、というか迷言が「オレは生活の為に仕事してるんじゃなく、仕事の為に生活してるよ」だ。この辺はオレも「男にとって仕事は人生の大半を占める要素だし、中途半端にやるな」という持論ではあるのだが、そんなオレでも一応は「自分の人生を楽しく過ごすために仕事をする」という考え方なので、その俺のさらに上を行ってる。まぁ互いに独身なので身軽だってのもあるだろうけど。その彼が今はビルの管理人をしてると聞いた。ウチの会社にいた頃より給料は格段に安くなってるが、久しぶりに会った彼はとても健康体で充実してるように見えた。ウチの会社にいた頃は朝から夜中まで働き、休みも無いまま働いて膵炎も悪化して体はボロボロだった。晩飯も食べずにビール飲んで寝るみたいな生活で朝飯も食わないで出社するような感じだったし。その彼が今は週に一度プールに通い、体重も少し痩せてスッカリ健康体になった。休みの日はバイクで奥多摩あたりを午前中走ってたり、独り身を謳歌してる感じである。彼は金や遣り甲斐や責任感や社会的地位や収入を失った代わりに、自分の健康とゆとりのある生活と自由を得た。死相が漂ってた頃とは打って変わって表情も緩やかになり、オレは正直「良かったな」と安心した。人それぞれ「仕事」に対して求めてる物は違うし、同時に仕事から得られる物も違うんだと最近のオレは考え始めた。その先輩はウチの会社を辞めて本当に良かったと俺は素直に思う。それがオレを含めた全ての従業員に当てはまるとは思わないが、少なくともオレは彼にとっては最善だったと、久しぶりに会った時に思った。彼はオレと違って会社に対して忠実で忠誠もあった。…が、彼が会社に求めていたもの、仕事に求めていたものと、会社が彼に与えていた物、求めていたものの乖離があったんだろう。オレは前述の通り会社に忠誠心はなく、ギブ＆テイク基本で、そこに疑問を抱いたり、今よりオレを高く買う会社が出てくれば迷い無く離れるし、でも契約してる以上は最大限の貢献はするというスタンスなので、それがよくわかる。きっとこれでオレに守るべき嫁さんや子供がいたら、きっと違う考え方になる可能性もあるんだろうけど、少なくとも今のオレはハッキリ言ってしまえば、好きな時にバイクに乗れる時間があればいい、そのバイクに携わる仕事をできてメシが食えてればいい、たまに一人旅をする余裕があればいい。酒は飲まないのでいらないが、煙草一本つけて思案に耽る時間があればいい。それがあれば、他の余力は自分の人生を楽しく彩る為に仕事に使ってしまうことができる。ただ、俺の周りの同僚とかの話を聞いてると、たぶんそんなオレの考えは少数派だ。少数派であることを悪いとは思っちゃいないけど、それとは別に多数派の人達の言う事を理解するくらいの柔軟性はあった方が疲れない。結局何が言いたいかは整理された気はしないけど、ようするに俺は仕事に「楽しみ」「自分がそこに見出す意味」「得られる物」という要素がどれか必要で、そのどれも無いという人はサッサと転職するべきじゃないかと思う。

  2015年04月02日

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• 勤労の美徳について考える

  職場の後輩。前述のたぐちとの会話。たぐち「日本人は働きすぎですよね」俺：「横浜居た時よりは楽な方じゃね？」たぐち：「ウチの会社で一番働いてた横浜軍団は文句言わないのに、ずっと楽な本社の連中がしょっちゅう勤務時間に文句言ってるのはなんなんですかね」俺：「人間は楽を覚えるとそれが当然になって更に楽な方に憧れるもんだ」たぐちの「日本人は～」というくだりを聞いて、ちょっと思うところがあって、彼には宗教観と労働に対する国ごとの価値観の話をした。少し前に記事でドイツ人の働き方について書いた時にも漠然と思ってた事なのだけど、日本人が働き者だってのは俺は宗教観に基づいてるような気がするのだよ。まぁ、かなり偏った偏見かもしれないけれど。俺は無神論者といえるほど極端ではないけれど、無宗教で基本的には唯一神とか絶対神とか創造の神という存在は信じてない。でも「山の神様とか川の神様みたいな存在は観念としては居て欲しい」というくらいのもんだ。旧約聖書ってのがありますね。キリスト教とユダヤ教の経典になってる聖書です。俺は内容を詳しくは知らないけど、アダムとイブってのが出てきます。創造の神エホバが天地を創り出した後に最初の人間としてアダムとイブを作った…みたいな話だったと記憶してる。エデンの楽園で働く事も無く暮らしてたアダムが神から禁じられた”知恵の実”を食べてはいけないと言う神との約束を破った事で課せられた罰が『労働』つまりキリスト教の教えの中では、労働ってのは罰であると。今の世の人間が働かなきゃパンを手に入れられない状態になったのは、最初の人間であるアダムが神との約束を破ったからだということだな。労働は罰なので自分はなるべくやらない方法を考える。だから奴隷制度なんかが生まれたし、家畜を使役する技術なんかが生まれたんだろう。そう考えると、欧米の人々が労働時間を減らす為に効率を重視し、プライベートの時間を重視する理由がなんとなくわかる気がした。宗教ってのは文化だからな。民族として潜在的に労働が罪であるという教えが根付いてるのかもしれない。だとしたら勤労の美徳って概念は理解されにくいのだろう。ちなみにイスラム教では、俺もそこまで詳しくは無いけれど、やはり同じような概念はあるようで、元々が遊牧民族の宗教であるイスラム教に勤労の美徳はないようだ。イスラム世界では強いものは牧畜と遊牧をし、弱者は農耕をするみたいな概念がある。そりゃそうだ。努力や勤労に励んでも馬や羊は増えないし、たくさん草を食べて太ってくれるわけでもない。でも農耕は努力と勤労がそのまま実りの量と収入に繋がる。弱者ほど努力と勤労をしなければいけない。つまり罰ではないけれど「勤労＝弱者に課すもの」だろう。では…一方の日本はどうか？まぁ現代の日本は無宗教の人が大半ではあるけれど、日本文化に根付く宗教観ってのは日本神道と後期は仏教だろう。ウチのバカたぐちは神社と寺院の違いが分かってないようだが、日本神道ってのは日本文化の中に今も深い影響を与えてる土着宗教みたいなもんだろう。土着宗教というかシャーマニズム程度のものなので細かい決まりやタブー的な物もキリスト教やイスラム教ほどうるさくない。祖霊崇拝、自然調和くらいのもんだ。まぁ創造神とか絶対神とかではなく、なんなら八百万の神って言うくらいだから物事全てに神様が宿るって意味では、オレはどちらかというと、無意識のうちに神道的な宗教観を持ってるのかもしれないけれど。唯一神はいないけれど、その神道で一番偉い神様はアマテラス様こと「天照大神」という女の神様ですな。この神様、ちょっと他の宗教の神様とは変わってまして、神様なのに何故か仕事をしてるんですね。きっとプロフィール欄には『職業：仕立て屋』とか記載されると思うんですが、日本書紀によれば、天照大神は機織りをしております。まぁアマテラス様だけじゃなく、なんなら男の神様達は田畑の耕作をしてるし、有名なお稲荷様は稲の束を荷物として担ぐ事からその名がついたとか。もうホワイトカラーの概念なんかないですよ、神様みんなブルーカラー！天皇陛下が毎年、稲刈りをするのも皇后陛下が蚕を飼育してるのも、天皇が神道の神官という位置付けだからなんだそうな。で…神様は神様って言うくらいですから当然悪い事はしない。善行しかしないはずで、その神様が働いてるって事は、神道においては『労働＝善』となるんだろう。後に仏教なんてのも入ってきます。ただ、仏教自体、そもそも宗教と言う割には布教の概念がないし、内容的には信仰と言うよりは哲学だろう。その仏教の中では他の宗教には無い『修行』という単語が出てきます。「信じるものは救われる」ではなく「輪廻と解脱」というのが前提で「人生は苦労の連続で輪廻転生して終わりは無い。そこから抜け出すには修行により解脱を目指せ」みたいな教えだ。生前に善行をして功徳を積んで来世で良い境遇に生まれ変われという事だろう。信仰と言うよりは自己研鑽とか自己啓発の考え方がベースであって、人生が己の修行によって乗り越える苦労を前提にしてるので、楽する事から見えるものは何も無いという解釈もできる。まぁ農耕しなきゃ生きていけなかった農耕民族の太古の日本人にとっては、汗流して働く勤労や努力を忌み嫌う感覚は無かったんで、神道の神様は働いてるんだって事になったんだろうし、仏教が広まったのも、その教えが浸透しやすい土壌があったんだろうな。日本人が働き者だってのは、おそらくは俺の偏見に基づいて言うなら、この宗教観が理由じゃなかろうかと思うわけ。まぁ、俺が仕事が好きなのは、そんな宗教観ではなく、単純に人生の大半を費やす活動を義務や使役でやらされるよりは、ポジティブに創造性を持ってやった方が楽しかろうと思うだけなんですけどね。多分ね、一生何かしら働いてるとは思うんですよ。別にこの業界じゃなくても年食って引退したり別の業種に移ったとしても、仮にそれがどっかの学校の清掃員の爺さんになったとしたら掃除に生産性と創造性を見出してるジジイになってる気はするし、荷車に工具積んで何でも直す便利屋として行商してるかもしれないし、近所の小僧達に原チャリ売ってるバイク屋のジジイになってるかもしれんし、どうなってるかは知らんけどさ。前にも書いたけど、ウチの母方の爺さんの死に様が俺の中では理想なんだよね。あの爺さんは農民として最期は自分の畑でサトイモの茎を掴んだまま倒れてそのまま死んでった。生涯現役で死ぬまで生産性を失わずに最後は仕事場で大往生した爺さんの葬式で近所の農民仲間の爺さん達が「見事だなぁ…誰にも迷惑かけんと畑で往生したんだから本望だべよ」みたいな会話をしてたのをガキの頃のオレは聞いて「何のんきなこと言ってんだよ」と当時は思った記憶があるけれど。「生涯現役」ってタイトルを獲得して死ねたら男としては本望だろうな。

  2014年09月02日

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• ドイツ人の働き方

  最近ちょっと色々と考える事がありまして、将来的な道筋を思案するにあたって色々と思う所はあるのだが、とりあえず第一歩としてそう遠くない将来に海外旅行に行こうかなと画策しております。思えば一度も国外に出たことが無いどころか飛行機にすら乗ったことが無い。沖縄もフェリーで行ってたしね。そういえば旅客機はおろか、セスナやヘリの類ですらオレは生まれてから一度も離陸と言うものを体験したことが無い。…いや、厳密に言えば高校のスキー旅行かなんかで不慮の事故により斜面からダイブして離陸した事はあるが、それを除けば地面から離れたのなんて観覧車くらいのもんだ。そういえばね、以前オレがいたショップの客でドイツで働いてた客がいたんですが、その人から聞いた話。日本人が考えるドイツ人のイメージは生真面目で勤勉で勤労意欲が高いという、どちらかというと日本人と似通うイメージを持ってると思うんだ。でも、その人に言わせると実態は少し違う。ドイツは総じて労働時間がとても短い。夕方にはみんな帰宅する。どんなに残業しても日が沈む6時ころまでには帰宅するそうな。というか欧米は基本的に契約社会なので、勤務地や給料や勤務時間は契約で決められてる。そしてもちろん、求められる成果も決められてて、結果が出なきゃクビの可能性もある。そして日本と違って完全な個人主義なので、他の人がどんなに忙しくても自分の仕事が終わってれば早く帰る。企業への忠誠心なんてのは求められてないので、夜遅くまで残業しても評価はされず、むしろ「効率の悪いやつ」という評価が下される。だから、みんな少しでも労働時間を短くする為に集中力を高めて業務効率を向上させて自分の仕事を終わらせて早く帰る。昼休みを30分しか取らなくてもいいから早く帰りたいのだ。ドイツ人は基本的に「休暇を取る為に働いてる」んだそうだ。仕事以外の時間に仕事をしたくないという意識は契約社会ならではかもしれない。ただ、逆に管理職は大変だそうな。部下を規定時間以上働かせる事はできないし、でも結果は求められる。ゆえに自分が必死に働かなきゃいけない。だからドイツの経営者や管理者は誰よりも早く出社して仕事をはじめ、誰よりも遅くまで仕事をする。その代償として高給を受け取るのを他の社員は特に妬みもしないし仕方ない、当然だという目で見てる。その客いわく「ドイツ人は1ヶ月の休暇を楽しむ為に11ヶ月働く」だそうな。そして多分コレが一番、日本人との感覚の違いだと思うけれど、もし仮に一生遊べる金を手にしたらどうするか？という質問を日本人とドイツ人にした場合、多くの日本人は「それでも一応仕事はする」と言う人が結構多いと思うけど、ドイツ人なら、ほぼ全ての人が「遊んで暮らす。」と答えるだろうと、その人は言っていた。おそらくドイツ人は日本人より労働時間は短くて勤労意欲も多分ない。ただ、一人当たりの生産効率とか勤労成果は日本よりずっと高く、逆に企業内での扶養家族化した社員の割合は日本よりずっと少ないだろう。ウチの会社の業績評価項目に、整備職の人間の場合『業務効率指数』みたいな項目がある。オレでここ数年の平均が大体１．９～２．２くらい。要するに一人で1.9人分から2.2人分の仕事量を消化してますよと言う数値。まぁ一般社会で言う所の人月計算とか人工計算みたいなもんか。多分コレ、オレがドイツで同じような仕事をすると、他の人の半分の労働時間で帰宅することが許されるんだろうか？まぁ、何が言いたいかって言うと、国によって文化や思考が違うので、日本と比べて働く国も有れば怠ける国もあるんだろうという話。そんな事を最近ふと考える機会があったのですよ。

  2014年07月13日

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• 『仕事』に対する世代ごとの認識の違いなんかね

  今年入った新卒が先月辞めたんですが、辞める前に職場でこんな会話があったわけ新卒：「なんか自分が会社の歯車みたいに思えてきました」店長：「ほー。」新卒：「なんか自己を主張する場が与えられてないと言うか…もっと存在意義のある仕事したいと言うか」店長：「ほー（オレの方をチラ見しつつ）」オレ「（…オレが言うんスか？）あー心配すんな。今のお前はまだ歯車としてすら機能してねーから(´_ゝ`)y-~~」新卒「…」オレ：「歯車としてキッチリ機能してりゃ給料貰う権利はあるけどな。新卒で1年2年まだ仕事もロクに覚えてない奴なんか、扶養家族で会社が食わせてやってるようなもんだ」新卒：「…」オレ：「それとな、ここ学校じゃねーから、権利は平等に与えられるもんじゃねーし。主張する場が欲しけりゃ出世して偉くなれよ。社会じゃ自分の居場所は自分で作れ」翌日その子は会社を無断で休み、そのまま退社していきまして、なんかオレがトドメ刺したような格好になってて、ババ引きたくない店長に代わりをやらされた感がありありである(´_ゝ`)新卒でもデキる奴は早々に社会の仕組みを覚えて要領よく仕事を覚えて職場でそれなりの居場所を作るくらいはできるもんだ。なまじっか学生生活時代の万人平等精神みたいなのを早々に切り捨てて適応できるヤツと、学生バイトの延長で就職した奴とじゃ1年後にエライ差が出てくる。社会は落ちこぼれを救済しませんよ。救済してくれるのはお金払って授業を受けてるお客様立場の学生時代までである。会社にとっては、給料を支払うだけの対価が無い人材なんかいらないのである。仕事を覚えてない新人に給料を支払うのは先行投資だ。5年後、10年後にその投資に見合うだけの人材に育ってくれれば会社としては財産だが。女性の平均給与が男性より低いのは退職時期の早さや、労働時間的な諸制限やら産休だ育児休暇だので、会社の負担分を考慮されてるからだ。年配で勤続年数が長い社員の給料が高いのは、それまでの会社への貢献や功績を考慮されてるからだろう。去年、おととしと入ってきた新卒の中にも出来る奴とできない奴はいるが、出来ない奴は自分の仕事が上手くいかないと必ず何通りかの言い訳をする。・他の部署に文句を言う・客のせいにする・会社に不満を言ってごまかすようするに他に文句を言うのは「自分の能力のせいじゃない」と言いたい心理だろう。もし会社のシステムや他の部署に問題があるなら、なんでデキる奴とできない奴が分かれるのか？全員似たように上手くいかない状態なら、そういう根本的な問題もありえるが、同期でも成績良い奴はいるのだな。多分どこの会社でも同じだと思うが、基本的に『他人のせいにする奴』ってのは絶対に出世しない。そらそうだ。管理職になったら部下のケツまで全部拭かなきゃいけないんで、その資質が無い奴なんか一生ヒラだろう。オレなんかはメカニックだから一人仕事が多いんで、１から１０まで全部一人でやるんだが、仕事の出来る管理職を見てると、やっぱり頭使ってるなと思う面と「意外とドライだな」という一面はある。ウチの職場なんか社内じゃダントツに異常値ともいえる成績をバカスカ叩きだしてるが、自分で言うのもなんだが、ウチの職場で明らかにズバ抜けてるのってメカのオレと店長だけだｗ営業の奴はどれみても特に優秀でもなく、むしろネガティブ満載な奴まで居る始末だが、それでも店舗としての成績は不動のトップ。ようするに、すぐ会社に文句言う奴とか他人のせいにする奴とか勤労意欲の薄い奴を、店長が自分に都合よく使ってるだけなんだなｗ前に店長とメシ食った時にオレが「ウチの連中を育成するってのも随分と無理難題だよね」と言ったら…店長：「小学生じゃあるまいし、今さら人に言われて育成される事もないだろ。気付く奴は気付くし気付かない奴は何年たってもオレに都合よく使われてるだろうし」オレ：「まぁ、なんだかんだ、そこそこ成績出てますしね、あいつら」店長：「そりゃ出るように仕事振ってるからね。そうしないとオレの給料も増えないし」オレ：「店長あれでしょ？信長の野望とかやっても織田とか武田選ばないで朝倉とかで統一プレイするタイプでしょ？ｗ」店長：「本願寺は意外と強かったよね…」今の職場で比較的急ペースで給料が上がってるのってオレと店長だけなんだが、やっぱり仕事ってのは「いかに要領よく上手く回すか」を頭使ってやらんと面白くもなんともない気がするんだよね。オレはメカが抜けた隣の店舗の仕事も全部引き受けてるんで、やっぱりそうい所は評価されつつ給料に反映するし、オレ自身も「居場所」をキッチリ確保してる感はある。ようするに「コイツやめたら困るな」と思われる奴になれるかどうかってのが会社の中では大事なんだが「まぁ代わりはいるしな」くらいで止まってるようだと先は知れてくるよね。メシ食いながらその新卒の歯車発言の話をしつつ、店長とオレの同意見な部分として出た真理だが…オレ：「世の中の企業でよ、全社員の中で歯車として機能してる奴なんか半分もいないんじゃねーかな？残りの奴はその歯車の生み出す余剰分で食わせてもらってんじゃないかと」店長：「ウチの店舗は巨大な歯車が二枚で他の歯が欠けた歯車とかロクに回らない歯車をムリクリ力技で回してっけどね」

  2010年09月14日

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