Part 8-1 ダブルスの決め手
このカテゴリーは現在絶版となっている「微にいり細にいりテニス」という書籍の内容を、同書の編者である株式会社NAISG様の了解のもと引用掲載するものであります。本書の概要はカテゴリーの先頭の記事(目次)をご覧下さい。1項目ずつぼちぼちと紹介してゆきますが、目次の上から順番にというつもりはありません。掲載順序は皆様のご要望を参考にしつつ私の独断にて決めさせていただきます。********** Part8-1(はじめ) **********1.ダブルスの決め手 1たす1を3にするためには、 パートナーとの呼吸と作戦がカギ。1)相手の弱点を見抜く 動きがぎこちないショットやインパクト音の悪いショットが 相手の苦手なところ。そこを狙う。2)1人を集中攻撃する 動きが遅い、コントロールが悪い、ボールに力がない、 安定していない人の方に、ボールを集める。3)ポジションを前にとる 高い所でボールが打てる。ボールに角度がつけられる。 先手先手で攻めることができる。4)攻めと守りのメリハリをつける 攻めるときにはミスを気にせずに振りきる。守るときには時間を稼ぐ。 決めとつなぎをはっきり意識する。5)高低の攻めを使う ロブと足元に沈めるボールとで相手を揺さぶる。 相手は目の位置が大きく変わるからミスをしやすい。6)強打する 相手の正面に強いボールを打つ。相手は体の正面だと返球しづらいし、 相手の動きも止めることができる。7)角度をつける 相手をコートの外に追い出すことができる。 センターがあくので簡単に決められる。8)速く動く 展開の早いボレー戦になったとき、 すばやく前につめれば相手のボールをたたける。<< パートナーの選び方 >>◇目的が同じ相手を選ぶ 試合に勝っているときはいいけれど、せってドロドロにもつれてきたときにパートナーがミスをした。「もうちょっとで手がとどいたのに何でボールを追いかけないんだろう」「どうしてこんな大切なポイントでダブルフォールトするんだろう」とパートナーに対して頭にきたことがあるはずだ。 これは目的意識が一致していないから。目的意識が一致していないと信頼関係が崩れてダブルスに必要なコンビネーションプレーはもちろんのこと、パートナーをカバーすることなどできなくなる。またパートナーがミスをするとイライラがつのって、勝とうとする気がなくなり、ただの消化試合になってしまう。 試合に勝つため、プレーを楽しむため、またデートのプランのひとつでもいい、必ず同じ目的を持っている人と組むようにすると、こんなことは避けられる。試合の勝ち負けにかかわらず互いに満足することができるはずだ。<< ゲームメーカーは前衛だ >>◇サインプレーをする ダブルスではネットにいるプレーヤーが大きな鍵を握っている。アメリカンフットボールのクォーターバックのようなものだ。相手の陣形や今までのデータを考えて作戦を決める司令塔のような存在だ。 テニスでは自分のパートナーにサービスのコースを指令する。サービスをサイドに狙え、またはセンターに狙えといった具合に、背中にまわした手でサインを出す。これでネットマンの動きが決まる。サイドを狙って相手をコート外に追いだす作戦をとるなら、前衛はストレートを警戒して少しサイドに寄る。 サーバーはそれに合わせて少しセンターに寄りながら前につめて次のプレーに備える。◇相手にプレッシャーをかける 前衛は相手のリターンやストロークに対してポーチに出たり、出るふりをして、相手を惑わすことも大切な役割だ。 ネットの前に立って、自分の前にきたボールを処理するだけではなく、いつも動いて相手にプレッシャーをかけなければいけない。相手がボールを打ち返すときに「次はどこに打とう」と考えさせることができれば、相手はそれだけリターンやストロークへの集中を欠く。 このときに何本かストレートに抜かれたとしても、気にしてはいけない。抜かれてもポーチに出る。逆にフェイントをかけてストレートに打ってくるボールを待ちかまえてボレーすることもできる。需要なのはいかに相手にプレッシャーを与えるかだ。<< BATOL ROYAL TALK >>迷プレーヤー●ダブルスで試合に勝てない人はストレートにボールを打ちたがる傾向がある。▲確かにきまるとハデだしかっこいい。しかしストレートの返球が、少しでも甘くなると相手のチャンスになる。■ストレートのボールはネットの一番高い所を通るし、ベースラインまでの距離も短いから入る確率が低くなる。●まず手堅くクロスに返すことを覚えるといい。クロスのボールはネットの一番低いところを通るし、コートの対角線を使うから、ベースラインまでの距離があって入りやすい。▲相手がクロスのボールをとりに動きだしたところへ、ストレートを打つと効果的だ。■「サービスエース命」というのもよく見る。やたら力んで、ファーストサーブで思いっきりラケットを振っている。●これで入ればいいが、たいていフォールトになる。そしてセカンドサーブは一転、羽根つきスタイルでポンと当てるだけだったりする。▲たとえ入ったとしても相手のチャンスボールになるだけ。この時点でサービス側が守りになってしまう。■そうならないためには、まずセカンドサーブの練習をするべきだ。ラケットを振りきってボールをなでるように打てば、回転がかかる。だからボールが入りやすくなる。それに体を大きく使えば不安な気持ちも薄れてくるものだ。●セカンドサーブが確実に入るようになったら、回転の量を減らしていく。回転が少ないボールはスピードが速くなるから、それをファーストサーブに使えば入る確率も上がる。▲前衛になったときに、後ろを気にしてキョロキョロする人が結構多い。■味方がどういうふうに打つか不安なのはわかるが、後ろを気にしていると、相手のボールがきたときに反応できなくなる。▲相手のボールが浮いてきたとしても、前につめるのが遅れてボレーが決まらなくなる。いいことはひとつもない。●そんな人はまず相手の動きを見る。相手は自分のパートナーの打ったボールに合わせて動いているから、相手の動きを見ていれば自分のパートナーがどこにボールを打ったかがわかる。▲相手の前衛が低い姿勢をとったらローボレーを打ってくる。ローボレーはボールが浮きやすい。低いボールを打った側の前衛が一歩前につめていれば、ボールが浮いてきたときに簡単に決めることができる。********** Part8-1(おわり) **********[ゆあるひのコメント]日本人はシングルスよりもダブルスをする機会が圧倒的に多いですよね。そんなわけもありこのコラムも「微にいり細にいりテニス」の中では最大級の字数を割いているのでしょう。どこかで聞いたことのあるようなチェックポイントの羅列ですが、たくさん書いてあるので、みなさんの忘れかけていたことや知らなかったことがあるかもしれませんね。