そこの君、何度も聞くようだが、ニューヨークと言えば何だ？

あに？よく聞こえないけど
このウルトラバカヤロー！

ニューヨークにもう用はねぇんだよ！


ちゅうわけで、さあ！いざ行かん。決戦の場へ。

欲望とネオンがキラキラと怪しい光を放つ街。
一夜にして億万長者を生み出すことの出来る街。

その名はラスベガス。
おいらは鼻息も荒く、ラスベガス行きの飛行機に乗り込んだ。
ウワサでは、空港に降りたらそこにはすでにスロットマシーンが
ズラ～リと並んでいると言うではないか。
う～ん、タマラン！

はたしてラスベガスまでどれくらいのフライト時間を要するのか。
スチュワーデスに聞いてみると、「４時間ちょっとです」との答え。

おや、意外に早いのね。地図で見るとけっこう距離ありますが。
まあ早いに越したことは無い。

頭の中は、あれよあれよとゆーまに巨額の富を築く自分の姿でいっぱいである。
勝利の女神がほんのちょっと微笑んでくれさえすればいい。
ああ、もしかして日本まではファーストクラスどころか、チャーター機？

そんな妄想に浸っていたら、あっとゆー間に到着。
さあ！ついに来たぜ！ラスベガス！
やるぜ！ウォーーーー！

そんなおいらの興奮をあざ笑うかのように、空港はやけに普通であった。
どこにもスロットマシンなんかないじゃん。
しかも通路が異様に長い。
おいらは手荷物受取所までのその長い長い通路を早足で歩いた。
早くホテルに入って、一刻も早くカジノに突入せねばならぬ。
ああ、気があせる。

やがてやっと出口のゲートが見えてきた。
やれやれ、と見上げると、そこにはこう書かれていた。

「Welcome to Minneapolis」

ん？ウェルカム　トゥ・・・あに？みね・・・ミネア・・・？ミネアポリス？？
ミネアポリスぅ？

・・・・・・・は？

・・・・・あれ？



わし、確かにラスベガス行きの飛行機に乗ったよね・・・・。

・・・・ん？




あ、もしかして直行便でなくて、ワンストップだったってこと？

　　　　　　　　　　「あ！」


降りちゃった！降りちゃったよ！ワシ。
あへあへあへあへ～！

おいらは必死で通路を逆走した。
ああ、飛行機が行ってしまう！
おいらを残してラスベガスに行ってしまうぅぅぅぅ！！！

もし飛行機がもう行ってしまってたら？
次の飛行機に乗れるのかな。
つーか、ミネアポリスってどこよ？




半べそで、ぜえぜえ言いながらゲートに戻ると、
皆、普通にラスベガス行きの飛行機の搭乗を待っていた。
しかも出発まで１時間以上もあった。

要するに、一旦ここで降りて、また乗って、んでラスベガスまで飛ぶってことなのだね。

いや、聞いてね～っつーの！

危うく呑気に空港から出て、タクシーに乗っっちゃうところだったよ。


それにしても・・・。

すっかり飛行機慣れしてるつもりでおったらこのありさま。
ああ情けない。

すでに勝利の女神にそっぽを向かれている気がしたおいらであった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つ　づ　く