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床下の甕~夜ごと小銭を数える男~

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November 23, 2007
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カテゴリ:近況

セービング・ザ・サン

 楽天ブックスの在庫では英国版と米国版のペーパーバックしかなかったので、とりあえずリンクだけ張っておく。

日本では日経新聞社から2004年にハードカバーで刊行。

ここ最近のドッグイヤー的な時代の流れからするともはや旧刊の類に分類されてしまうのかもしれないが、まだその傷が生々しいだけに日本人が書くと兎角ハゲタカが日本の大事なところをついばんでという議論になりがちな、長銀から新生銀行への流れを2年間の休業を経てフィナンシャルタイムズの東京支局長であったジリアン・テット氏が物した大著。

氏のバックグランドからしてどうしようもないキリスト教正統史観や、グローバリズムや米国的先進的金融工学賛美、そして日本人のメンタリティを氏自身はある程度理解している節はありながら結局サムライの一言で片付けてしまうやっつけ的な部分は散見されるが、まだ歴史と言うには生々しい事件を氏の出来る範囲内で史書的に可能な限り客観的にかつアウトランダーとしての立場を最大限活かしてジャーナリズムの原則に基づいた取材により還元的に取材した成果を良心に基づいて再構成した力作だと思った。

ある意味一番ショックだったのは自分にとって就職して社会人になったあとの出来事を書いたノンフィクションだったのに歴史書を読むような読後感を持って読んでしまったこと。

当時、結構仕事が忙しい時期だったこともあって後に労働厚生大臣としてホワイトカラー・エグゼンプションを提案したり「産む機械」発言をしたりで安倍内閣の寿命を縮めた柳沢伯夫氏が金融再生委員長や金融庁誕生前に金融担当大臣として日本を代表する開明派政治家としてアメリカでもてはやされていたことなどをwiki等で再認識した次第。

長銀問題にしてもジリアン・ティット氏の本書を著する最大の要因となった幻のあおぞら銀行初代頭取、本間氏怪死事件にしても歴史と言うには早すぎる話題であったにもかかわらず、既に少なくとも僕の記憶からは遠い出来事であり、かつ現在もまだ触れれば鮮血が吹き出るような生々しい傷跡であったことを再認識した。

ジリアン・テット氏自身が2年の休業というリスクを負ってまで物した著作であること、氏自身が時系列的に見て事件が起こる前から取材を開始できた立場にいたこと、そして恐らく当事者たる長銀最後の頭取、大野木氏を含め、当時の関係者の中でも開明的な日本人にとって外国人であり、フィナンシャルタイムズの東京支局長という立場にあった氏はある意味ジャーナリズムのなんたるかを基礎的な部分で了知していた氏の方が日本人ジャーナリストよりも余程信頼が置けたように想像出来ることもあってソースの部分では結構信頼が置けるのではないかと思った。

まあ、本著が出版されてから明らかになったイ・アイ・イーに関する訴訟の和解等で一部歴史の判断に委ねなければならない部分はあるにせよ、その辺りは歴史書ではなくジャーナリズムの一環として書かれた本著の守備範囲外であろう。

むしろ、我々日本人にとっては本著に描かれている問題はまだ歴史ではなく、政府保有の優先株処理は東洋経済の最新号で批判の対象となったばかりで、当書の主要な登場人物であるジョン・フラワー氏は最近このような事件の当事者として日本のメディアを騒がせていると言うことを深く認識する必要があると言うことだ。

僕個人としては恥ずかしながら本著を読むまで同時代を生きてきた日本人としてこれまで知らないことが多すぎたことをひたすら恥じる。もちろん本著に著されていることをそのまま鵜呑みにするつもりはないが、日本人が深く追い込まれ、後に自分の正義を証したいと願ったとき、その証言者として信頼するのは残念ながら日本社会にどっぷりつかった日本人ジャーナリストよりは客観的な証言者としてより信頼に足る欧米のジャーナリストではないだろうかと個人的に想像してしまう。

その意味で、本著は非常に近い過去に起こり、現在もなお進行している長銀=新生銀行問題を理解する上で最良で無いまでも必読な図書であると思った。

ここ最近、新生銀行の業績を引きずり下ろしたのは本書で語られているバブルに由来する不良債権問題ではなく、その後傘下におさめた消費者金融やカード会社がいわゆるグレーゾーン金利問題で表舞台に出てきたところと、日本政府が未だ同行の株主としての地位を放棄していない(そこにどんな意味があったかは定かではないが)ことに由来することを考えると、ここ数年間の日本の金融部門に於ける劇的な発展はしかしながらまだ十分な成果を発揮していないと結論づけられてもしょうがないと結論づけられても文句の付けようながないと思ってしまう。

僕個人の立場とすれば、銀行については生活者の立場としてツールとしての銀行を評価するに留まることが最善と思っていたが、2004年発行でありながら現時点で楽天ブックスでも入手困難なことは当著が正当な評価を得ていない証佐と思い、ここに駄文を記すことをご容赦いただければと思う。

つきあってくださった方が見えれば、本当にまとまりもな長いだけの駄文につきあってくださってありがとう。言い尽くせぬ思いはあれど、一人でも当著を読んでくださいとは言わない、あの事件とその周辺の出来事に思いを馳せてくれれば今ここに起こっていることについて考えるだけの知性を日本人は持ち合わせているのだからと祈るばかり。






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最終更新日  November 23, 2007 10:33:23 PM
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