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カテゴリ:その他の心理学等
不幸に至る認知には特徴があります。
アドラーは早くからそのことに気づいて(当時認知論をとっていたのはアドラー心理学だけでしたから)、「神経症の患者は『~するべきではない』とか『~すべきだ。』とか『~できない』とか『みんなはこうなのに私はこうだ』などの不幸に至る考え方の癖を持っている。」のようなことを言っています。 このアドラーの認知論を推し進めたのが、アルバート・エリスの論理療法(REBT)です。知られていないことですが、エリスはバリバリのアドレリアンで北米アドラー心理学会の重鎮です。 そして、論理療法に影響を受けたと思われるのがアーロン・ベックの認知療法です。私が初めて認知療法に出会ったときにその理論があまりにもアドラー心理学にそっくりだったのでビックリしたのですが、当然だったのです。 認知療法では、不幸に至る認知の癖を「認知の歪み」として詳しく分類しています。 ベックは次の10の認知の歪みをあげました。 1、全か無か思考(all-or-nothing thinking) 物事や出来事をとらえるときに、「白か黒か」とか「成功か失敗か」とか「百かゼロか」という両極端の見方をしてしまうことを「全か無か思考」といいます。 2、一般化のしすぎ(overgeneralization) 1つの良くない出来事があると,「いつも決まってこうなる」とか「私はうまくいったためしがない」などと考えること。 3、心のフィルター(mental filter) 1つの悪いことにこだわって考え続けて、他のことはすべて無視してしまうこと。あたかも1滴のインクがコップ全体の水を黒くしてしまうように。「心のサングラス」ともいう。 4、マイナス化思考(disqualifying the positive) ただ良いことを無視するだけでなく、なんでもないことやよい出来事を悪い出来事のように考えてしまうこと。 5、結論の飛躍(jumping to conclusion) そうなってしまうという根拠もないのに悲観的な結論を出してしまうこと a. 心の読みすぎ(mind reading) 相手が自分のことを悪く思っていると思いこんでしまうこと b. 先読みの誤り(the fortune teller error) 今後の成り行きが絶対悪くなると決めつけること 6、誇大視と過小評価(magnification and minimization) 自分の短所や失敗を過大に考え、逆に長所や成功したことを過小評価すること。「双眼鏡のトリック」とも言う。 7、感情的決めつけ(emotional reasoning) 自分の感情が現実をそのまま反映していて、事実を証明する証拠であるかのごとく考えてしまうこと。(感情は認知の結果に過ぎないのに。) たとえば、自分が今 不安だから「失敗するに違いない。」と思いこんだり… 8、すべき思考(should thinking) 何かやろうとする時に「~すべき]「~すべきでない」と考える。(この世に本当は「すべきこと」や「すべきでないこと」など存在しないのに。「した方が良いこと」と「しない方が良いこと」はあるけど……) 9、レッテル貼り(labeling and mislabeling) ミスを犯した時に「私はダメ人間だ」とか「この大馬鹿野郎!」などと自分に否定的なレッテルを貼っること。 レッテル貼りは、「一般化のしすぎ]が極端な形で現れたもの。レッテル貼りをすると、自分を責める感情に巻き込まれて冷静な判断ができなくなる。 10、自己関連づけ(personalization) 何でもかんでも自分のせいにしてしまうこと。 認知療法ではこんな認知の歪みをトリプルカラム方などの方法で地道に、転換させていきます。もちろん、幸せに至る認知に転換させていくわけです。 認知療法は合う人と合わない人がいます。 ………………………………………………………………………………………… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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