我思う、ゆえに我あり

2009/05/12(火)14:35

PRは大事:オバマとパキスタン、アフガニスタンの三者サミット

時事(190)

先週、ワシントンにパキスタンとアフガニスタンの大統領がやってきて、オバマと併せてサミットを開きました。 日本はそれよりかは、小沢辞任で盛り上がっているかもしれませんが。。。 で、またまたパキスタンの駐米大使大活躍です。以前この大使が就任したときに就任しただけで、ワシントンポスト紙に載るなんて、うらやましい限り、とここで書いた御仁です。 とにかくセンスがいい。 その最たるものは、CNNでのインタビュー。CNNの人気アンカーとの独占インタビューをオバマとのサミット前日にセッティングして、オバマが一番ききたいであろう言葉、パキスタンはアメリカと協力して、スワット県のタリバン軍を一掃すべく攻撃する、と発表。アンカーが本気にやるんですか?と念を押しても、やります! アメリカのメディアを喜ばせる言葉が、オバマをも喜ばせたのはいうまでもない。 きっとぎりぎりまで首相と大使との間でやりとりがあったに違いない。その直前まではスワット県が首都イスラマバードに近いからちょっとタリバンが後退する代わりに休戦状態という形になっていたのだから。 でも、首相としては、アメリカから経済支援などを取り付けないと、パキスタンに帰れない。で、大使の説得に応じざるを得なかったろう。 実際、専門家の言葉として報道されている限り、タリバンを攻撃してスワット県から追いやるということは、同時に地域住民をも追い出すことになる。 ので、これは非常に政治リスクは高い。が、タリバンが支配権においた市民に対し、厳密なイスラム法(イスラム教は生活の端々にまで戒律を設けている)を守れ、といい、住民の反発を食らう、との報道がアメリカでなされている。(ということは、その反対か、一部の人間だそうだ、というのを拡大解釈して全住民にしただけかもしれないが) その辺りの事実は分からないが、とりあえず、パキスタン政府がアメリカと協力する姿勢を強く打ち出せる背景がパキスタン政府にあるとアメリカに思わせることはできる。(要は、だからパキスタン政府を信用しろよ、といいたい) アメリカ的には、パキスタン軍の宿敵はインド軍であり、インドに対する防衛はできているのに、タリバンを十分に意識した行動を取っていない、と疑っている。 というより、アメリカだけがタリバンを敵視している、という裏返し的な証明でもあるが。 とはいっても、一瞬でもアメリカにいい印象を与えるには、そんなことはとてもいえず、アメリカに媚を売った。 で、効果は上々。ブッシュ時代、毎週数回ブッシュと衛星中継で会談する機会を持てたアフガンのカルザイは、バイデン副大統領に数ヶ月に一回くらいだよ、とにべもなく断られた。 そのカルザイもCNNに出演したのはしたが、サミット後となり、アフガン国内でアメリカ軍が意図的ではないだろうが、関係ない市民を戦闘に巻き込んで死傷者を出す。これが、アメリカとアフガンとの間に入ったヒビである、何とかせい、といい、アフガンが何も悪くないような態度を取ってしまい、パキスタンと対照的になってしまった。 カルザイに言わせれば、自分しかアフガンの大統領でいられる人物はいない、といわれている。アフガンも内部分裂が激しいので、各種大名たちを納得させられるのはカルザイくらいだ。2001年当時もそうだったが、今もそのようだ。但し、いろいろ汚職はしているようで、国民から冷ややかな目で見られている、と報道されている。 サミット後の動きがどうなるかは、今後の進展次第だが、PR作戦の巧拙でここまで、差が出るとはね。

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