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テーマ:気になったニュース(30422)
カテゴリ:時事
チーターの唄に、「三歩進んで、二歩下がる」という一節がある。(ちと古いか)
今の世の中、「二歩下がる」時代にいるんだろうか。 昨日ワシントンで、グレン・ベックを中心としたTea Party運動がマーチン・ルター・キング牧師の「I have a Dream」演説47周年記念日に、キング牧師が行った場所、リンカーン・メモリアルで集会を開いた。 グレン・ベックって何者だ?と思ってみたら、Foxニュースのキャスターだ。 キング牧師は、草葉の陰で泣いているようにしか思えない。 Foxニュースといえば、基本的にニュースを配信しているとは思えないテレビ局。アメリカ国民の2割がオバマがイスラム教徒だと勘違いさせている主根源だと思うんだが、それがFoxニュースを飛び出してリンカーン・メモリアルで、サラ・ペイリンと組んで運動を起こしている。 きいただけで、鳥肌が立つ。 今日の新聞を見る限り、人であの辺り一帯埋まっている、というわけでもないようだ。それでも、昨日のメトロはすごい大変だったようだが。 そもそも、この運動に出ている人たちは、何が問題だと思っているんだろう? いっていることは、正直ようけ分からん。 とりあえず、現状が気に食わない、というのは分かる。半分観光で半分ピクニックで来ている、というのも分かる。 けど、それ以上の説明があやふやなのだ。 人によっては、オバマ政権になって成立したメディケア制度に反対だという。報道によると、グレン・ベックは、昨日オバマは、白人を嫌いなやつだ、といったという。また、プラカードに、オバマはケニアに帰れ、というのもあるという。 KKKの時代に戻りたいってことですかー?しかも、黒人の権利拡張を謳い文句の一部にした、キング牧師の、有名な演説した日にいうことですかー?キング牧師は、白人の子と黒人の子が仲良くする日がくることが夢だといいませんでしたかー? これじゃ、キング牧師の冒涜だ。 確かに、アメリカは大きな変革期にいる。 アメリカが世界一である、という自信は大きく損なわれているし、経済はちっとも良くならないし、人口的にも、近い将来に白人がアメリカ国民の過半数を割る予定だし、とうとう黒人がアメリカ大統領になった。まだ、軍事的には最強であるけれど、イラクでも失敗、アフガンでも失敗、ビンラディンは未だに捕まっていないし、911の敵は取れた、とはいえない状況だ。 だからといって、彼らのイメージする、古きよき時代に戻れるか?というと、戻れない。日本が80年代に戻れないように。 けど、戻りたい、という声だけが、昨日リンカーン・メモリアルに響いた。 それって、社会運動か?単なる泣き言大会じゃないのか?泣き言大会じゃ、何ら建設的なものは生まれない。謙虚さもない。 80年代アメリカにいなかったから、分からないが、日本のイケイケモードと違って、アメリカにとって沈んでいた時代。この頃、アメリカは真剣に「日本型経営システム」を学んだ。そして、さらに彼ら流に消化して、SCMなどを引っさげて復活してきた。 この学ぶ姿勢には、謙虚さがあったはずだ。 謙虚さで知られていた日本が、勤勉、謙虚さという本来の美徳を失い、アメリカが逆に吸収した。 今また、90年代のイケイケモードで浮かれ烏になって、アメリカ国民は銀行口座にいくらカネがあるのかも考えずに、バンバン、クレジットカードを切りまくって、とうとう所得<消費、になって、誰も金を貸してくれない状態になるまで、この習性をやめなかった。 アメリカもまた、第二次世界大戦により世界最大の大国になるまでは、謙虚で貯蓄をするという美徳を持ち合わせていたのに。 そして、今ようやく、貯蓄をするという基本に戻り始めている。 その一方で、Tea Party運動が起きている。他にも、911の跡地(といっても、911の跡地の近所というのがより正しいが)にモスクを建てる(正確には、改修)のに半狂乱に反対する人たちがいる。 モスク建設に反対する人たち、911の遺族たちの怒りや悲しみに配慮すべきだという。 本当にそんなことを思ってんか? モスク建設に反対する人たち、911の遺族たちの怒りや悲しみを悪用して、ビンラディンやアルカイダと何一つ関係のないイラクに戦争を仕掛け、本当の敵である、アルカイダ撲滅に集中させるべき資源をそらしまくるという行為をしてなかったんか?そこに遺族の怒りや悲しみの配慮はどこぞにあるんだ? 挙句の果てには、オバマ政権を非難する政争の道具にしか使っていないくせに。 Foxニュースにいわせると、911の跡地にイスラムのテロセンターを作ろうとしているんだ、という。 馬鹿も休み休み言えー。 ちなみに、アメリカにも言う人はいて、Foxニュースのロジックを使うなら、Foxニュースはテロ団体のテレビ局だ、ともいえる、というのを言う人がいる。めっちゃ受けます。(友よ、教えてくれてありがとう。) http://www.thedailyshow.com/watch/thu-august-19-2010/extremist-makeover---homeland-edition そうした動きはアメリカだけか、と思っていたら、今日のNYタイムスに似た様な話を日本でも起きていると書いている。 外国人排除が激しい団体が世間の注目を浴びようとして躍起になっているという。そして、朝鮮学校などに押しかけて、嫌がらせをしているという。 確かに、日本も失われた10年が20年になろうとしている。そして、今までの自信が損なわれて、若者はとりあえず消費しない、将来の希望が持ちにくい社会になっている。むしろ、現状にネガティブな意味で順応している。先日中国がGDP比較で日本を追い越したという報道がでたとき、やはりNYタイムスに東大の加藤教授が小文を寄稿していて、むしろほっとした、肩の荷が下りた感じ、と表現していた。 けど、一度覚えたおいしい時代は忘れがたいのだろう。自分たちを振り返る前に、他人を傷つけて、溜飲を下げようという人たちがいる。 アメリカのTea Party運動の人たち同様、そこには謙虚さが足りない。 一体、精神的にも、肉体的にも傷つけられた人たちは、何をしたというのだ? そんなことをしても、何一つ解決にはならない。建設性のかけらもない。 そりゃ、人間ときには愚痴を言いたくなるのも分かる。 けど、それが愚痴であるということも、分からないといけない。愚痴っている暇はないはずだから。 水戸黄門じゃないが、「泣くのが嫌なら、さあ歩け」なのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 30, 2010 02:35:38 PM
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