そんじょそこらの台風なんか足下の風の日。
風のせいか分からないけれど、
此処に暮らし始めて初めての停電。
信号が消えているのは、街が止まったみたいで、
ほんとに変な感じだった。
道を埋め尽くす、枝からもがれた葉。
今夜は、コロンビア出身の超絶サックスプレーヤーを迎えて
レクチャーを受ける、クリニックというものをした。
温厚そうな人で、柔らかい音で、
でも遠くから聴くととても力強くて、
まさにマジックだった。
優しい音。
実は強い音。
それはとても難しいこと。
優しくて弱い音になったり、
強いだけで通らない音になったり、するから。
その人を全面にフィーチャーした曲をやっていたら、
「僕が君の譜面を吹くから、きみがソロをして」
そんな注文がいきなり、来た。
沢山知らない人も見てるし、
OBや仲間や後輩も見てる。
できないよーと思って半泣きだったけど、
ここで場をしらけさせる事こそ、
本当にあたしがやってはいけないこと。
「こうなったからには」
思わずそういって、楽器を掴んで立ち上がったあたしに、
「そうそう、そうだよ」と、もう一人のプロの方が言った。
とても優しい顔で微笑んでいた。
どうにかしてやる、と、
どうにでもなれ、が混ざった気持ちで、
曲が始まった。
譜面が無いのです、ジャズってのは。
その場で考えて、それを吹く。
コードだけがふってある譜面。
やりきった!
夕べから勉強や準備で寝てなかった事もあり、
テンションも集中力も最高潮。
まずは、やってみること。
無理難題じゃんと思っても、
何かを振り切って踏み出す事。
そうしないと始まらないし、
そこがそもそもの始まりなんだね。
だって、その人からアドリブや演奏へのアドバイス貰えたの
あたしだけだもんね;)
メールアドレスや電話番号も教えてもらったしー。
らっきぃ。
こんな大物とこんなお近づきになれるだなんて。
報われた。
その後は八時からさっきまで、打ち上げてた。
日本の早口言葉を教えてあげたら、
あたしが一度言うのを聴いて、
あたしよりも早く言う。
すごい。
耳と舌がただもんじゃない。
練習しよっと。
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