昨日の夜の話。
一週間分くたくたになって足取りも重く、
ようやく部屋に辿り着いたと思ったら、
部屋の扉に分厚くてでっかい蛾が止まっていて入れない。
入れない、というよりも近付けない。
びとっと貼り付いていて動く気配もない。
じわっと脂汗がにじんでもう無理。
そういえば去年は巨大なカマキリで、
おととしは巨大なカブト虫だった。
年に一度オオモノが出るのは、決まりなのだろうか。
3人の男友達に電話をし、助けを求めるけれど、
ひとりは会社でしかも遠すぎるし、
もうひとりも会社だし、
もうひとりはまだ繋がらない場所にいるしで、
私は泣きそうになった。
逡巡している間に夜はぐんぐん更けて行く。
あたたかい夕飯も冷たいビールも、
この変な暑苦しい空気の温度に向かって、
ぐんぐんその差を縮めて行く。
もういや。
私は意を決して、失礼きわまりない策を実行することにした。
半年前に引っ越してきた階下の男の子。
そのとき挨拶に来てくれたときの印象がとてもよく、
彼ならきっと手伝ってくれるだろうと。
しかも、窓に電気がついているのをチェック済み。
でもなあ、でもなあ、
あのとき以来話したことも無いし、
顔もよく覚えてないし、
もう夜の10時半だし、
ああ、ああ、でも、入れない、と行ったり来たり。
運良くか運悪くか誰も通りかからなかったけれど、
傍から見たらあたしは相当怪しかったと思う。
意を決して彼のチャイムをピンポン。
なんて切り出そうかすごくすごく考えて、
何度も何度も頭の中でリハーサルをしたけれど、
こんなお願い、他に言い様も無い。
奇跡的に彼は玄関先まで出てきてくれて、
私は望んでいたことな筈なのに引っ込みが着かなくなって、
自己紹介を半年ぶりにしてから、素直にお願いをした。
「あの、夜分遅く突然本当に申し訳ないんですが、
どうしても助けて頂きたいことがあって。
うちの部屋のドアに蛾が止まっていて、それが大きくて、動かないし、
うちに入れないんです。追っ払うの手伝っていただけませんか?」
一息で言ったら拍子抜けする位こころよく、しかも笑いながら、
「ああ、いいですよw」
彼もびびる程の大きさだったため、
これもまたチェック済みだった彼の部屋の外にある傘を使うことを提案。
ゴルフみたいな感じで追っ払ってくれました。
「どうもありがとうございました。
おかげさまで週末をはじめられます。」
「いえいえ。また何かあったらいつでも言って下さい」
なんていい人!
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Last updated
2006/07/18 12:20:09 AM
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