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夕暮れ、パンダの助手席から夕日が丸く小さく鮮やかに光った。
正面に視線を戻したら、まばたきの数だけの残像がちらついた。 ======= ぐりぐりぐり、とリップクリームを何周も塗る。 ちっとも色気がなくて、コケティッシュさの かけらさえないことはちゃんと分かっている。 でも今はどうしようもないのだ。 ======= 告白してくれた相手に「それは大変ですね」と 言ってしまう私はやっぱり良くないのだろうか。 ======= 以前より伸びた髪の毛は、 いつかみたいにするするのまっすぐじゃない。 櫛をさせば流れて落ちた黒髪は、 今はゆるゆると毛先ばかりにウェイヴの名残をみせて あとは重さのままに伸び、自然のままに痛んでいる。 よく見れば緑の黒髪なんかじゃない。 極めて濃くて黒に近い、茶色だ。 生活感のある長みを見せる自分の髪の毛を、 文字通り梳りながら、嫌いじゃないと思った。 ======= 体重が減り続けるのはなんでだろう。 見た目はあまり変わらないのに、と 不思議に思って風呂上がりに鏡で検分してみた。 おなかの辺が薄っぺらくなったのは分かっていたけど 今度は背中が薄っぺらくなっている。 サックスで付いた二の腕の筋肉は取れない。 地味な腹筋もまだ頑張ってくれている。 あんたは肩が薄い、と母が私をさすりながら言った。 そういえば、手を握れば私の手を欠かさず検分する祖母の顔が 今夜は風呂上がりから夕食から寝る前まで、 いつになく上気したようにピンク色だった。 風邪でもひいていないか気がかりである。 遠くで一人暮らしをしていた頃には 家族の死をうっかり想像しては恐ろしくなる、 という笑えない涙と焦りを何度も繰り返した。 一つ屋根の下にいようとも、 その畏れみたいなものは本質的に量的に変わらない。 そういうことを今日、初めて思った。 ======= 坊主頭じゃないお坊さんが、 じいちゃんにお経をあげにきてくれた。 ばあちゃんの家は真宗じゃけど、 ばあちゃんの実家は真言宗よ、と祖母は言う。 真宗のお経には微妙にブルーノートが入っている。 そこに引っかからずに、家族が普通の顔をして 歌みたいなお経をあげているのがなんだか面白い。 ばあちゃんも、この歌みたいなお経が面白いと言っていた。 ======== 懐かしい人に、新年を機にご挨拶したいと思う。 特に、ある一人の教授に。 彼は私を覚えていてくれるだろうか。 「あなたは書いて生きる人になります」と 去り際に彼は私に声をかけてくれた。 それが予言だったのか私の望んだ道だったのか はたまた一過性の運命的な偶然なのか、 私はいつでもどこでも、書いて糊口を凌いでいる。 ======= <香水の整理> ディミーターのカナビス:きついから混ぜるか直嗅ぎ用 ウォーホルのモンロー赤:百貨店系熟女 ウォーホルのモンロー黄:シトラス ウォーホルのモンロー緑:バニラ多め CARONのやつ:ゴージャス DiorのDUNE:好きだけど濃い ナショナルコスメティックのやつ;寝る前用 ニナリッチのリュールドトン:きちんとしたお出かけ 貰い物のエンヴィ:さっぱり、無個性 ダリのオレンジ、ロング瓶;つけて眠れる ダリのグリーン、ショート瓶;若干、男性系 ディグニータ:やっぱり無いと生活が成り立たないね ======= たとえば山の家に一週間でもひとりでこもって 無眠マラソン(要は孤独で客観的な持久戦)や DVDの見倒しや、フルボリュームでの音楽再生や、 質素な食事を好きな食器で食べることや、 泥酔や、心持ちな感じのODや、過眠や、 黙って山の音を聞く事や、あてなく睡魔に身を任せる事や、 それまでに現像を済ませた写真の整理や、 倉庫にしまい込んだ冬物の探索や、 読書や、そんなことをしたいなと思ってるよ。 ======= 会いたい人に会いたい。 欲求よりも切実に思うよ。 ======= 祖母は物忘れがけっこうある。 だから、先々月の自分の店を巻き込んだ火事のことも、 その日の昼寝の後にはいったん、忘れていた。 だから今は滔々と語ってみせる火事の顛末は、 彼女が順を追って繰り返し家族や関係者から聞いたもの。 繰り返して聞いた事柄は彼女の忘れにくい事実になる。 そんな記憶の仕組みは、哀しい部分もあるが、 不謹慎にも早々と、20代の分際でかすかに憧れる。 ======= 書き散らした言葉に意味があると、 まず始めに誤解させてくれたのは誰だったろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/12/17 01:45:17 AM
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