いつもより少なめの薬で、
いつもより早めに眠気が訪れた昨夜。
そこに、自然の睡魔が混ざっている気がして、
呑気に身を任せたのがいけなかった。
夜中に苦しく目が覚めた。
開かずの血眼で這うようにして不快さの元を探し、
微かな起動音を立てたまま「スリープ」していたPCを強制終了する。
電源スイッチを黙って長押しする行為が何か残酷なものに思えた。
そうして、脇にある分岐コンセントもオフにする。
ベッドに改めて倒れ込んだまま、
電球がひとつ付いたままになっているのを
見逃していた事に気付いてうんざりする。
灯りがあると眠れないのは昔からだ。
もはや体を動かすのもままならないので、
片手だけをベッドの下にぶらさげて、
手探りで探り当てたコンセントを、
弱い力できしきしとゆすりながら執拗に引き抜く。
ようやく再びの暗闇。
傍らにある小さな金属のケースから、
ミントのタブレットに紛れている甘い薬を
無造作に舌に落として齧る。
そのまま浅い眠りに落ちた筈のわずか後に、
薄い瞼はブラインド越しの朝日に反応してしまう。
うう、と眠らずに夢だけ見ていた活発な脳を抱えて
海老の様に背を丸めて毛布に頭をくるみ、
そのまままた片手だけを伸ばしてアイマスクを探す。
だからといって眠られるわけでもなく。
昨夜の眠りは不注意の事故だった。
一睡もできないよりも遥かに辛い。
今夜は処方通り、二十数錠をきっちり嚥下しよう。
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いつだって、どこか胸を張り切れない。私は、
生まれつきの妙な後ろめたさを振り切りたかった。その為に
「頑張る事は良い事だ」と心で唱え続けていた。筈が、
「頑張る事」を頑張って、中身がついでになっていた。
頑張る事を頑張っている。その姿が、
周りに気を遣わせていたのに。それさえも
気付かない程、私は頑張る事に躍起になっていた。
今は、「頑張らない」ことを頑張ってしまう。
私は何だって、頑張ってしまうのだ。
頑張らなくていいよ、はとても優しくて難しくて困る。
頑張りたくないよ、と本当は思っている。
でも、頑張っていない、がどんな感じなのか、
それをすっかり忘れてしまったのだ。すると、
頑張っていないのがどんな感じだったのか、頑張って、
思い出そう、やってみないと、と思ってしまう。
思いやりが片思いの輪のようにくるくると、くるくると。
行き場の無い頑張りが、その円の中でくすぶっている。
頑張りの火も消せず、思いやりにも応えられず。
私は多分、頑張るのが、本当は上手ではないのだ。
だからこそ頑張らないと、とまた訳の分からない思いが始まる。
誰かの言う通り、これはただの「損な性格」なんだろう。
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Last updated
2009/02/04 11:16:47 PM
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