アルトーのラジオを聴いた。
声が、イメージと違ってすこし残念だった。
あんなに余裕のない声をしているなんて、
意外だったよ。
切羽詰まった声だった。
初めてフランス語を怖いと感じた。
息が気道から流れ出る空気音が
なまなまと伝わってくる言語はたまにリアルすぎるね。
個人的な愛情を抱いていない人物の裸を見ることが
とりわけ気分の良いことではないのと似ている。
なぜか気の毒だった。
彼の言う意味での「真の自由」には
私は近づけないし、今のところ近づきたくない。
君の言うところの感覚器官には、もちろん脳も含まれるのだろうね?アルトー?
自由の条件とやらに辿り着いた君は、結局自由になれたのかな?ねえアルトー?
私はあなたが自分で自分を、余計に生きづらくしていたようにしか思えないんだよ。
苦しかったね、アルトー。
気付くべきではないことも、
追いつめるべきではないことも、
きっとあると思うんだよ。
腑に落ちない些細なことを顕微鏡にかけるのは危険だ。
独力で無理に辻褄を合わせてしまって、
その辻褄に自分を合わせてしまうと、
もう逃げ場なんてなくなってしまうよ。
自分で経路をいちど導き出したが最後
それを変えることが生理的に出来ないたちなら、
それはもう、致命傷と言っても良いくらいのものだと思う。
あなたは自己陶酔をせわしなく飛び越えた。
あるいは積極的に無視した?
もう少し、その辺りをたゆたっていても良かったのに。
たとえばほら、コクトーみたいに。
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Last updated
2009/04/29 01:50:09 AM
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