博士
これは7月2日の日記です。****************************************************今日からしばらく歯科業界(特に口腔外科)のお話です。 みなさんは歯学博士と言うと普通の歯医者よりも出来る人 治療も上手な人と思うでしょうか。 でも実はそれは違うんです。 何故違うのか、まずは歯科の仕組みから話したいと思います。 歯科は全国に26(だったかな)の大学があって、6年制です。 うちの大学の場合、そのうち2年が教養、後の3年が専門と 模型での実習、最後の一年が実際に患者さんの診察です。 でもこれは珍しくて、教養がある大学自体がとても少ないし 患者さんに触れられる大学もほとんどありません。 で、卒業と同時にペーパーのみの国家試験を受けて、受かったら 晴れて歯医者です。 その後の進路は大学に残る場合、大学院、研修医、うちの場合は 専攻生(後で詳しく話します)、後は外の病院や開業医で勤めたり いきなり開業することも可能です。 (今年から研修医制度が導入されたので、全員研修医をまずすることに なったようですが) でも普通は患者さんを触ったこともないのがほとんどなので、いきなり 開業する人はまずいません。 大学院は4年、研修医は2年が普通で専攻生は無制限です。 (ちなみにうちの大学では大学院専攻生はお金を授業料と いう形で年に40万近く!!払って、研修医は手取り17,8万 だったかな?給料が出ます) 大学院を出ると博士に、研修医を終えると研修終了の証書をもらえます。 それ以外にもうちの大学では大学に一定期間在籍した人は博士を 取る資格を得ることが出来ます。 で、博士を取るためには英語の試験と論文を書いてこれを 学内で承認されることが必要なのですがこの論文は別に 臨床に直に沿ったことではなくて、基礎的な(細胞とか 遺伝子とか薬とか)研究の論文がほとんどなのです。 (うちの大学は一番博士を取るのが大変らしいので他は もう少し簡単に取れるみたいです) そして科によっても違いますが、こと、うちの口腔外科では、 臨床とこの研究はどうしても両立しないので、博士を 取ろうとする人はその期間臨床をせずに研究に専念することになります。 特に卒後の2ー3年と言うのは、一番技術が上達する時期 なのですが、この大事な時期に研究に専念して取る人が 一番多いので、臨床が苦手になってしまう人が多いのが実態です。 つまり口腔外科では大体において博士を持っている人の方が 臨床には力を入れず、研究大好きな人が多いのです。 もちろん素質もあるので、博士を持っていても臨床も凄く 上手な人もいますが。。。 で、博士がどういう風に役に立つかと言うと、良く言われるのが、 博士は足の裏の米粒のようなもの。。。 ”取ろうと思うとなかなか取れなくて、取っても使えない”んです。 開業するときに箔がつくのと、病院などで役職につくためには 博士がないと難しいのですが後はあまり使い道がありません。 そんなことから私は卒業するときに名より質、と 専攻生になることにしました。 続きは次回に。。。