1994074 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

風光る 脳腫瘍闘病記

衝撃

本格的にリハビリが始まって2ヶ月も過ぎた頃、研修医のスッギーが部屋を訪ねてきた。

「腫瘍の正体、分かりましたよ、先生の方から説明があるのであとでナースステーションの横の部屋に来てください」

「やっと分かったの?」本来なら手術と平行して病理検査に出して、その日の内に腫瘍の正体が分かるはずだったのに、よっぽど私の腫瘍は難しいらしく結果がでるまで2ヶ月以上もかかってしまったのだ。

私は主治医の待つ部屋へと行った。ちょっと緊張する。先生の説明が始まった。

「腫瘍は良性でした。ジョウイ腫瘍と言って、字は「上」に「衣」と書きます。良性なんですけど、レベルが4段階あって一番悪い4です。」さらに説明が続いた。

「再発する確率は高いです」「それでですね・・・・骨髄液の流れに乗って頭に行ってる可能性があるので明日、脳のMRI検査を受けて下さい」

「はぁ・・・、分かりました」私は何が何だか分からなかった。

私の病室の前にはPTのO先生がいた。現実に引き戻された瞬間だった。

溢れでる涙を止める事が出来なかった。「再発?脳腫瘍?歩けないだけでも辛いのに脳に腫瘍が?」

号泣してる私の元に主治医が来て、申し訳なさそうに「明日、骨髄液採らせてね、悪いバイキンがいないか調べるから」

私は声にならない声で「O先生、ベットに戻る」
ベットに戻ってさらに涙が溢れでてきた。

「先生、悪いけどカーテン閉めてくれる?」
「うん」先生はカーテンを閉めてくれた。

「ありがとう。もう、大丈夫。明日ね」全然、大丈夫じゃなかった。
今まで生きてきた中であれほど泣いた事はなかった。

スッギーがカーテン越しに覗いてきて「大丈夫?」と聞いてきた。私は首を横に振った。

「また後でくるね」

脳腫瘍?その日の夕食はのどを通らず夜は一睡も出来なかった。




© Rakuten Group, Inc.