|
テーマ:★つ・ぶ・や・き★
カテゴリ:舞台
天才とは1%のひらめきと99%の努力である。
スポーツや芸術にとどまらず、各種の分野において、天才と評される人たちがいる。 何もしないで結果を出してしまうように思いがちだが、実際は努力と費やした時間の結果だ。 とかく外側に立っていると、当事者の努力を知らずに、天才というものに憧れる。 ぼくも天才になりたかった一人だ。 初めてサッカーボールを蹴ったとき、「天才あらわる」と、コーチたちに騒ぎ出して欲しかった。 初めて舞台に立ったときは「君は天才だ」と演出家に涙を流して言って欲しかった。 甘い期待は、残念ながら現実がこっぱみじんに砕いてくれた。 若い頃は、努力というと汗臭く、そして泥臭くて、不格好なイメージを持っていた。 才能はというと。 爽やかに、涼しい顔でこなしてしまうイメージだ。 だから努力は才能には勝てない。 そう思い込んでいた。 しかしそんなことはない。結果を出している人はみんな、努力をしている。 努力がカッコ悪いと思っていた自分に反省である。 自粛期間中、家にいる時間が増えたので筋トレを始めた。 なかなか元に戻らない下っ腹をへこませるためだ。 おこなっているトレーニングは、筋トレしてからマラソン、というメニューだ。 しかしそれだけでは、40過ぎた体には不十分だったので、食事制限も開始した。 朝と昼はしっかりと食べて、夜は炭水化物を食べない。 そして野菜中心に食事をとる。 それから、脂質と糖質も気にするようになった。買い物をするときには、商品の裏側をチェックすることもしている。 体重計を買い、毎日チェックも怠らない。 すぐできたみたいに書いてはいるが、その実、何度も失敗している。 失敗してはもう一度チャレンジして。何度も繰り返し、ようやく運動も食事制限も習慣化してきたところだ。 結果はというと、Tシャツを着てもお腹のふくらみが気にならない程度にはなった。 体重は2キロ落ちた。 めざましく体型が変化したわけではない。筋肉もちょっとできたくらいだ。 まだまだ理想の体型とまではいかないが、それでも十分満足していた。 つい先日までは。 先日というのは、自粛期間があってから会えていなかった大学の先輩たちと、半年ぶりに飲みにいったときのことだ。 お互いの近況を語りつくし、宴も終盤にさしかかったとき、向かいに座る先輩が不意を突いて無造作に言葉を投げてきた。 「痩せたよね?」 確信半分、確認半分。 むけられた言葉の先にいたのは、ぼくではなかった。 隣に座るもう一人の先輩だった。 「そうだね。痩せたね」 当たり前のように答える隣の先輩。 周りに気づかれないように、ぼくは両手で肘をぎゅっとつかみながら聞いた。 「何かトレーニングとかしてるんですか?」 「トレーニングじゃないけど、1日に5個食べていた菓子パンを2個にしたからかな」 はぁ? 「食べるのガマンして、菓子パンを2個にしたから痩せたと思うんだよね」 ・・・ガマン? 先輩。 それ。 そのドヤ顔しながら指で鼻の頭をかくの、やめてもらっていいですか? 先輩。 ぼ・く・は、40分筋トレしたあと、8キロ走ってます。 メッチャしんどいです。 それで半年かけて2キロおとしました。 それから、19時までに夕飯をすませるように心がけています。夜は炭水化物を食べてません。 だけど下っ腹はしぶとく生き残っています。 先輩もそうですよね? ねえ!?そうですよねえっ!!!? 炭水化物の代わりにお腹がふくれるものをと思って、切り干し大根を買っています。 一人暮らしの男が切り干し大根買って作っているとか、気持ち悪いのも承知ですけど、それがなにか? わかっています。 ええ、ええ、わかってますよ! 努力してますなんて、言えば言うほどカッコ悪いことだって! わかってますから! 先輩。帰る電車が別で良かったですね。 今日だけは一緒に帰りたくありませんでしたから。 嗚呼、菓子パン食べるのを3つ。たった3つ少なくしただけの人に負けたという現実を受け入れられません。 才能とか努力とか関係ないって人がいる事実。 かんばっている人の横を、ピョ~ンっと軽く飛び越えていく人がニクい。 こっちが、ちょっとずつちょっとずつ整備している道を、あとからきたトラクターで無造作に駆け抜けていくみたいだ。 そして整備した道を荒らしてしまう。 そしてそして、そんな奴に文句を言っても勝てないんだ・・・。 悔しいけど。 ・・そう。菓子パン3つに負ける人生だ。 昔だったら学校で。 今だと職場で。 この自粛期間中に、職場の後輩が20キロのダイエットに成功した。そして職場の人たちから称賛を浴びている。 「スゴいね」「頑張ったね」「見違えてみえるよ」 昨年、私が2キロ、体重が増えたときには、「太ったね」と、容赦なく言葉を浴びせてくれた職場の人たちは、元に戻った体重を見ても、「頑張ったね」と誉めてはくれない。 とうぜん「見違えてみえるよ」なんて言葉は、あさっての方向でホコリをかぶって忘れ去られている。 ダサいの承知。 悪いのも承知。 大人げない? かまいません。 言わせていただきます。 110キロから90キロに落としたのが誉められるのなら、こっちだって110キロになりたいわッ! 「太ったね」と言うのなら、痩せたときには責任を持って「痩せたね」と言うのが人情というものではありませんか? いえ、人情というのなら。 「痩せたね」と言われた人は、ウソでもメチャクチャ努力してるってことにしませんか? 菓子パン減らしただけって・・・。 それってガマンなの? 才能ってことにしといたほうが、楽だったきがするが、仕方ない。 悲しいけど、、ぼくはきっと、菓子パン3つ減らしただけで痩せる人には勝てない人生なのだ。 そう割りきって生きていくしかない。 だけどもし。 もしも何かの間違いで。 空から豚が降ってくるくらいの間違いで、「頑張ってるね」と誰かに言われたそのときは。 「菓子パン5個食べてたのを4っつにしたんですよ」 と言ってやりたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.10.29 21:58:55
コメント(0) | コメントを書く 【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
|
|