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しかたのない蜜

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2008年09月27日
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テーマ:アニメ!!(3880)
カテゴリ:アニメ
が、自己嫌悪と畏れの代わりに胸にわき上がってきたのは、甘くて切ない感情と、スザクのおもかげだった。
 もう一度、スザクと愛し合いたい。
 そんなことを強く願っている自分がいる
 
「そ、そんな……私が、あいつを好きだなんて……」

 我知らずつぶやき、両腕で体を抱きしめるカレンにC.Cがひざまずいて顔をのぞき込む。その瞳は今まで見たことのないあたたかいものに包まれていた。

「素直になれ。そしてふたたび、あの男と愛し合え。それがお前の本当の望みなのだから。そして”ここ”ではお前たちの望みを叶えてやれる」

 C.Cの大きな瞳が、魅入るようにカレンをのぞきこむ。
 途端に、脳裏に電流のようなものが走り、一つの言葉が脳裏に浮かんだ。
 ずっと秘めていた想いが。

「スザク! 私、今でもあなたが大好きよ!」

 瞼を開けると、スザクの顔があった。
 泣きそうな表情で、こちらを窺っている。
 カレンの意識が戻ったのがよほど嬉しかったのだろう。
 飛び上がらんばかりに喜んだスザクに抱きしめられる。

「良かった……良かった、カレン! 」

スザクの腕につつまれたのは、あのいまわしいギアスにかかっていた間以来だった。 

 ギアス解除後もその間の記憶は残った。
 スザクを幼なじみの恋人だと信じ、自ら進んで抱かれていた自分。
 スザクを想い、彼に愛され、それだけがすべてだった自分。

(ど、どうして私、あいつのことこんなふうに思ってるのっ?)

 正反対の理想を持つ敵。
 忌むべき相手だったはずなのに。

 けれどもスザクへの想いは消せなかった。
 そんな自分の二律背反が許せなくて、ますますスザクを憎むことで、想いを忘れようとした。
 彼さえこの世にいなければ、また元の自分に戻れると思った。





                                    つづく



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最終更新日  2008年09月28日 00時31分01秒
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