しかたのない蜜

反射的に体を離そうとするスザクを、強く抱き留める。

　ふだんのスザクなら、たやすくカレンの束縛から逃れただろうが、今は怪我と精神力のため、そうはできなかった。

　いや、それ意外にも――過去の二人の関係に未練があったと思うのは、カレンの自惚れ
だろうか。

　スザクを見据えて、カレンは強く、甘く誘いかけた。

「そのギアス、私と二人で支えてみない？」

「でも……このギアスは、ルルーシュと僕のもので……」

「けれど、ルルーシュの願いはあなたにゼロとなって、世界を見守ってくれということ
でしょう？　それ以前に、あなたがギアスに押しつぶされて死んでしまってはルルーシュの願いはどうなるの？　それならスザク、あなたは私を抱いて。あの頃のように」

　スザクの瞳が大きく揺らいだ。

　もう少しだ。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく




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