３６５ＤＲＯＰＳ

　お昼前、妙に園庭が賑やかだったので、テラス越しに覗いてみると、

　年長クラスの数人が庭中をあちこち走り回って、何かを叫んでいた。

　生後５ヶ月の担当児を腕に抱いたまま ガラス窓を片手で開けて、

　「どうしたの？」 と、この集団迷走の経緯を聞けば、

　「あのねっあのねっ、タイヘンなんだよー、おひさまちゃんが

　　いなくなっちゃったの。どこに行ったか誰もわかんないのー」




　・・・・・・。


　あらまー、そりゃあタイヘンだわ。

　おひさまちゃんは みんなのトモダチだもんね。
　
　急いで探さなくっちゃ。




　０歳のテラスに駆け寄って、私に事情を話してくれたサヤちゃんも、

　すぐまた庭に戻り、再びみんなと おひさまちゃんを探し始めた。

　「おひさまちゃーん、どこ～？」

　「出ておいでよー、ごはんだよー」

　「おひさまちゃ～～～んっ！！！」

　他の子たちも口々に、おひさまちゃんへの呼びかけを叫んでいる。

　さすがだなぁ～、みんな優しいねぇ～、良い年長さんたちだなぁ～。

　うーむ、ちょっとばかし感動～・・・(笑)




　そして、生真面目なナナコちゃんなどは、ほとんど絶叫状態で、

　「おひさまちゃ－ん、おひさまちゃーん、返事して～っ！！！」
　
　って・・・

　
　



　・・・やさしいナナコちゃん。

　でも、たとえその声が

　当のおひさまちゃんに聴こえたとしても、

　たぶん、返事は・・・・・できないと思うよ。








　だって、おひさまちゃんは　【カメ】　なんだもん。


　


















　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まぁ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　“挙手” もできませんけどね。