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カテゴリ:ざっかん
今はもうない。 思い出の中にしか存在しない。 私の育った家の庭でも この季節には梔子の花が咲いた。 蒸し暑い夜に、重く香る白い花。 振り払いたいのに纏わりつくその香りは 忘れたいのに消し去れない記憶のようで。 『あなたがいないと生きていけない』 ・・・なんて考えは、 愚かな思い込みか、幻想に過ぎず。 別に冷めてるわけじゃなくて。 ただ単純に、恋愛至上主義になれるほど 甘い人生は送っていない・・・ ってことか。 だって人は、 親を喪っても 子を喪っても 最愛の “あなた” を喪っても 生きていくものでしょう? それを覚悟してるか それを口にするかの その違いだけ。 ・・・なんて あたしの方が先に逝ってしまうのかも知れないし。 たとえ誰かを喪っても、人は生きてはいけるもの。 それでも、 『もしも、 あなたが居なければ、 あなたに出逢わなければ、 あたしの人生はもっと味気なかった』 心からそう思えるような そんな相手なら居る。 確かに居る。 それはとても 意味の大きなことじゃないのかな。 それが、たとえ 振り払えないほどの痛みと 纏わりつく哀しさを備えていたとしても。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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